今日6月8日の河北新報には3面に「語る 東日本大震災10年」というインタビュー記事のシリーズで、NHK仙台「ゴジだっちゃ!」パーソナリティの杉尾宗紀アナのインタビューが載っています。あの夜NHK仙台の夜勤担当だったのでした。そういえば「おかえりモネ」15話であの夜仙台から気仙沼に戻ろうとするモネのお父さんとモネが乗っていた車のカーラジオから流れていた音声は誰の声だったのだろう。杉尾さんの声ではなかったと思うのだけど。東京から全国向けのラジオの音声を使ったのだろうか。
本題は今日ではなく昨日、6月7日の河北新報。社会面の23面下段の広告の中に公告を見つけてしまったので書き写しておきます。
資本金の額の減少公告
当社は、資本金の額を三一億円減少し四億円とすることにいたしました。
効力発生日は令和三年七月三十一日であり、定時株主総会は令和三年六月四日に終了しております。
この決定に対し異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から一箇月以内にお申し出ください。なお、貸借対照表の要旨は次の通りです。
令和三年六月七日
宮城県仙台市青葉区本町一丁目一五番五号
仙台CATV株式会社
代表取締役社長 日高 邦明
※原文は縦書き、社長のお名前の高の字は正しくは「はしごだか」です。
官報(令和3年6月7日)号外(第126号)74ページにも同じものが載っていますが、資本金の減少額について河北新報では「三一億円」、官報では「三十一億円」と表記が異なっています。ほかに異なる点は、河北新報で効力発生日はで始まる段落が官報にはありません。河北新報では上記「資本金の額の減少公告」と下記「第39期決算公告」の2つの公告に分かれていますが、官報ではひとまとまりになっていて「第39期決算公告」という文字はありません。
第39期 決算公告
2021年6月7日
宮城県仙台市青葉区本町一丁目一五番五号
仙台CATV株式会社
代表取締役社長 日高 邦明
貸借対照表の要旨
(2021年3月31日現在)(単位:千円)
科目 金額 資
産
の
部流動資産 384,298 固定資産 1,119,967 資産合計 1,504,266 負
債
及
び
純
資
産
の
部流動負債 424,281 固定負債 642,306 退職給付引当金 67,279 役員退職慰労引当金 23,669 その他 551,358 負債合計 1,066,587 株主資本 437,678 資本金 3,500,000 利益剰余金 △3,062,321 その他利益剰余金 △3,062,321 繰越利益剰余金 △3,062,321 純資産合計 437,678 負債・純資産合計 1,504,266
※右揃え、左揃え、中央寄せといったレイアウトがグダグダなのは許してください。官報にも同様のものが載っていますが河北新報と異なる点がいくつか。
- 河北新報では2021年と西暦表示だが官報では令和3年と元号表示。
- 流動負債の項に河北新報では内訳が書いていないが、官報では『賞与引当金:8,763』が書いてある。
- 固定負債の項に河北新報には『その他』があるが、官報には書いていない。
- 利益剰余金の項に河北新報には『繰越利益剰余金』の細目があるが官報にはない。逆に官報には『(うち当期純損失):(98,786)』の細目がある。
以前東北映画制作の合併公告が発表されました - みむめもーどのコメント欄で教えてもらった感じで読み解いていくと、これは累積赤字が昨年度よりさらに98,786だけ増えて3,062,321になったということを意味するのかな。資本金が3,500,000だからこのペースで赤字が膨らめば近いうちに累積赤字が資本金額を超える、債務超過に陥りかねない、という認識でいいんですよね。
というわけで資本金を3,500,000→400,000に減資することになりました。減少幅が3,100,000で3,062,321に程近いということは、これまで出してもらっていた資本金で累積赤字を穴埋めしますということでいいのかな。ケーブルテレビもそんなに儲かっていないらしいということになるんだろうね。
ところで、仙台CATVの株主と言ったら同和興業に同和警備、ではなく静岡市のTOKAIケーブルネットワークに代わったのでした。昨年2月に拙blogでも取り上げています。
仙台CATVが経営権を譲渡 でケーブルテレビについてあれやこれや - みむめもーど
同和興業と同和警備の持ち分、計89.7%87.9%分の株式を2020年3月31日に取得したのでした。では残りは? Wikipediaを見てみると…
株式会社TOKAIケーブルネットワーク(87.9%)
株式会社仙台放送
株式会社日本ケーブルテレビジョン
株式会社電通グループ
? 仙台放送? CAT-Vの公式サイトの会社概要のページを見ると確かにそう書いてある。
web.archive.orgで昔の株主構成を調べてみると、2016年3月ごろのもので
資本構成 / 仙台市、河北新報社、七十七銀行、東北放送、仙台放送、宮城テレビ放送、東日本放送、エフエム仙台、ユアテック、電通、アサツーディ・ケイ、みずほ信託銀行、クロステレビ、仙台シティケーブル、日本ケーブルテレビジョン、同和興業、同和警備
とありました。かつては横並びに(?)既存の放送局の名前が連なっていたわけです。東北放送に関しては後日有価証券報告書を見て確認しましょう。仙台放送を残して他社は撤退したということになるのですね。仙台シティケーブルという会社がよくわからないのですが、昨年清算されたようです。所在地が河北新報社と同じなので河北新報の関連会社なのだろうか。ほかにも電気工事会社のユアテックとか広告会社のアサツーDKとか。クロステレビはよくスタッフロールで見かける名前ですがWikipediaを見ると『番組制作、機材リース、人材の派遣などを行う企業』と説明されていて、業務請負の派遣先としてミヤギテレビ、仙台放送、東北放送などが列挙されています。日本ケーブルテレビジョンはCNNの国内配給元でありテレビ朝日の番組制作の子会社であるそうです。
Wikipediaに戻ります。『TOKAIホールディングスの連結子会社に』という節で傘下に入った背景として次のように書かれています。
映像配信サービスの台頭による競争激化などで経営環境は厳しく、光ケーブルエリアの拡大に向けた資金調達法を検討する中で、譲渡を決断したと報じられている。
河北と日経の記事のリンクが付いているのですが、河北の記事はもう読めません。ドメインが変わったせいもあるのかと思い河北のニュースサイトで検索窓にCATVと入れてみたのですが何も出ませんでした。
ケーブルテレビ会社のケーブルはケーブルテレビ会社が自前で引かなければならないのでしょうから元手はかかるのでしょうね。
日経の記事では『取得額は公表していないが、10億円超とみられる』『2019年3月期の売上高は10億円だった』とあります。
私は経済に疎いものでよくわからないのですが株式取得額と売上高がほぼ同じなのは偶然なのでしょうか、会社買収とはそういうものなのでしょうか。それからちょうど1年経って減資により累積赤字を一掃することになったというのは清算したほうがよいものを選り分け終えたということなのでしょうか。だとすれば来年からは経営が上向くことになるのかな。他人の懐に首を突っ込む前に自分が失業しないように働けよという話ではあるのですが。