仙台CATVが経営権を譲渡 でケーブルテレビについてあれやこれや

仙台市には2つのCATV業者がありました。宮城ネットワーク(キャベツ)と仙台CATV(CAT-V(キャット・ヴィ))です。基本的に東北線の仙台以南と仙山線とで囲まれた仙台市中心部と南部がCAT-V、逆に北側と東側がキャベツのサービスエリアという住み分けがされていたようです。キャベツはJCOMの傘下に入って久しいのですが、この度CAT-Vも別の業者の傘下に入ることとなったようです。
仙台CATV、経営権を譲渡 静岡の大手と基本合意 | 河北新報オンラインニュース
せっかくの機会なのでCAT-Vとキャベツ、CAT-Vを傘下に置くことになるTOKAIケーブルネットワークについてWikipediaから調べてみましょう。

・宮城ネットワーク(キャベツ)
先に謝っておきます。何でこんな愛称をつけたのかは分かりません。
セコムのコンピュータ事業の子会社・セコムトラストシステムズ社のサイトの沿革に
『1983年 仙台市で都市型CATV会社、宮城ネットワーク株式会社を設立。』
とあります。セコムの子会社だったんですね。セコムはこの時期、茨城と新潟にも同様の会社を設立しています。キャベツにはセコムのほかにカメイ株式会社や富士ゼロックスなど出資が出資しており、仙台市河北新報社、在仙の放送局はキャベツとCAT-Vの双方に出資しています。
会社設立は1983年8月なのに、CATV局の開局は平成になってから、1990年6月です。インターネット接続の提供開始はは1999年8月です。
セコムとカメイは2006年11月に株式会社メディアッティ・コミュニケーションズに持株を譲渡し、メディアッティグループ入りします。商社のトーメンに香港の通信会社が加わってできたケーブルテレビ統括運営会社(MSO)だったようです。そのメディアッティは2008年12月にジュピターテレコムJ:COM)に買収され、2009年4月に吸収合併されます。この際宮城ネットワークはJ:COM連結子会社となり愛称も「J:COM 仙台キャベツ」になります。この頃には仙台市がわずかな株を持つものの他の株主はいなくなったようです。
2010年8月、本社がそれまでの北根黒松から現在の八乙女へ移転します。
企業としての宮城ネットワークは2011年10月にジェイコム関東に吸収合併され消滅(ジェイコム関東はジェイコムイーストに社名変更)します。このジェイコム関東もジュピターテレコムに合併される前は「株式会社タイタス・コミュニケーションズ」というMSOでした。伊藤忠商事東芝などが出資していた会社だったようです。2019年6月にJ:COM内のガラガラポンで現在は「株式会社ジェイコム埼玉・東日本」が宮城県で運営するケーブルテレビ局が「J:COM 仙台キャベツ」ということになります。

・仙台CATV(CAT-V(キャット・ヴィ))
会社設立は1983年3月。キャベツと異なりこれまで資本移動が少なかったせいかWikipediaの記述はあっさり目です。Wikipediaに書かれてある社長さんの名前は古いものです。WikipediaやCAT-Vのwebサイトには株主として仙台市河北新報社etcたくさん書いてありますが、CAT-Vのサイトに
『ビルメンテナンスの同和興業株式会社を核として、セキュリティの同和警備株式会社、そして仙台CATV株式会社が互いの利点を持ち寄り、多様な展開を可能にしております。』
と書いてあることからわかるとおり、同和興業の子会社です。「どうわこうぎょう」と打って変換を押すと私のMS-IMEでは「同和鉱業」と出ますが、同和興業は同和鉱業(DOWAホールディングス)とは無関係の仙台市に本社を置く企業です。同和興業のサイトによると同和興業の筆頭株主は「株式会社ドーワセブン」という会社だそうで、ググると元貸金業者だったようなのですが現在どんなことをしている会社なのかは見つけられませんでした。
同和興業のサイトには『平成元年 11月 仙台CATV株式会社が本放送を開始』と書いてあります。Wikipediaには『1985年(昭和60年)に高さ90mを超える仙台第一生命タワービルが竣工して以降、電波障害の恐れのある高層ビルが乱立するようになった。このため、市内の一部地域ではケーブルテレビなしには放送を見るのが困難な状態になり、』とあるので、その時期から本気出してケーブルを引いたのだろうか。キャベツにしてもCAT-Vにしても会社を設立してから放送を開始するまでずいぶん長い年月がかかっているのね。
この度TOKAIケーブルネットワークは同和興業と同和警備の持ち分、計89.7%分の株式を3月31日に取得する予定です。

TOKAIケーブルネットワーク
親会社から順を追って。
株式会社TOKAIホールディングス(本社:静岡市)はWikipediaによると、『2011年4月1日に、石油やLPガスなどのエネルギー関連事業を行っている株式会社TOKAIと、TOKAIの子会社でケーブルテレビやインターネット接続サービスなどの事業を行っているTOKAIコミュニケーションズ(旧称:ビック東海)が、株式移転による経営統合を行ったことで設立された。 』とのことです。
「株式会社TOKAI」(「ザ・トーカイ」、本社:静岡市)はチャッカマンを作っている「株式会社東海」(本社:東京都新宿区)とは無関係で、静岡県焼津市で都市ガス、LPガスの供給会社として発展し、現在は天然水の宅配など幅広く事業展開しているようです。
「TOKAIコミュニケーションズ」(本社:静岡市)のルーツは1977年3月に設立された焼津ケーブルビジョン株式会社(1978年5月、社名をビック東海に変更)。ビック(VIC)東海はゲームソフト何かも作っていたみたいですね。1996年6月、株式会社TOKAIと共同でインターネット事業を開始。2007年以降さまざまなケーブルテレビ会社を傘下に入れていきます。
TOKAIケーブルネットワーク」(本社:静岡県沼津市)は2012年4月、「TOKAIコミュニケーションズ」のケーブルテレビ事業を分社化して設立されたそうです。が、「TOKAIケーブルネットワーク」のサイトの沿革を見ると最初の行が昭和63年でしかも資本参加とか株式取得とかいう文字が並んでいて、あれっ? と戸惑ってしまいます。細かい事を詰めていくとややこしいことこの上ないです。
TOKAIグループのCATV事業は、静岡県・東京都・神奈川県・千葉県・長野県・岡山県の1都5県で9局を運営していることになるのかな。その中には長野県諏訪市のエルシーブイ(LCV)があります。LCV(レイクシティケーブルビジョン)の設立は1971年2月! 何故か1993年2月に株式会社倉敷ケーブルテレビの経営権を取得します。当時経営難に陥っていたようです。2007年1月には諏訪市コミュニティFM「LCV-FM」も始めます。しかし2009年12月、Wikipediaによれば『日刊写真通信社とぎょうせいが保有する全株式を静岡県のケーブルテレビ会社であるTOKAIコミュニケーションズに譲渡し、同社の傘下となった。 』。「日刊写真通信社」というのは「ぎょうせい」の関連会社みたいですがググっても何も引っかからなくてどんな会社なのかさっぱり分かりません。細かい事ですがこの時期であれば会社名はTOKAIコミュニケーションズではなく株式会社ビック東海です。

ところで、TOKAIグループはガスとCATVの供給から始まって暮らしにかかわる事業をワンストップで引き受けるTLC「トータル・ライフ・コンシェルジュ」という概念を掲げているそうです。ケーブルテレビでなくガス事業でも群馬県下仁田町秋田県にかほ市で公営ガス事業を継承したそうで、そう言われれば日本最大の公営都市ガス事業者が民営化したがってたなぁ。と言ってもCAT-Vとキャベツは提供エリアが決まっているわけで、TOKAIが仙台市ガス局を手に入れたとしてもガス供給区域の一部しかCATVと絡めることができないだろう。それでも十分大きな市場になるのかな。
閑話休題

ケーブルテレビ事業統括運営会社(MSO)について

書いていたらこの後の内容の方が分量が大きくなってしまったので項を分けます。
かつてケーブルテレビは限られた範囲を対象に地元資本もしくは第三セクターの会社が運営しているイメージでした(←私の頭の中だけか?)が、いまや大きな持株会社を作って経営統合する方向へ向かっています。端的に言ってジュピターテレコムJ:COM)のことなのですが、上述のタイタス・コミュニケーションズ(2000年9月に完全子会社化)、メディアッティ・コミュニケーションズ(2009年4月に吸収合併)や関西のケーブルウエスト(2006年9月に子会社化。現在のジェイコムウエスト)といったMSOを次々吸収。ついには当時業界2位だったジャパンケーブルネット (JCN) を2014年4月に吸収合併しました。
元々のジュピターテレコム住友商事と当時アメリカ最大のMSOだったテレコミュニケーションズ(TCI)社の合弁企業として1995年1月に設立されました。のちにTCI社やそのグループ会社のリバティメディアが所有していた株式は2010年にKDDIに譲渡されています。(TCI社についてはかつて拙blogのコメント欄で知ったかぶりしました。よかったら『駅伝<競馬 - みむめもーど』のコメント欄をご笑納ください)。2013年8月以降ジュピターテレコム住友商事KDDIが折半出資しています。当然両社それぞれにとっての子会社です。
JCNは2000年10月、富士通株式会社、セコム株式会社、東京電力株式会社、丸紅株式会社などが出資し設立され関東を中心に規模を拡大していくのだけど2006年3月にセコムと丸紅、2007年6月に富士通、そして2012年3月には東京電力がそれぞれKDDIに株式を譲渡します。KDDIは2013年12月にジュピターテレコムに持株を譲渡し、2014年4月にJCNは消滅しました。
現在業界2位は東海地区のケーブルテレビ局の事業連合として設立された株式会社コミュニティネットワークセンターなのですが、ここにもKDDIが途中から資本参加しています(筆頭株主ではありません)。

Wikipediaの「ケーブルテレビ」の項で日本のMSOとして紹介されているのは4社です。いろいろ付け足してみます。

前述のとおりいくつものMSOを吸収しては組織変更を繰り返している。上記のケーブルテレビ事業部門のほかにメディア事業部門があり5社9チャンネルを運営し6社8チャンネルに出資している。これらはMSO(ケーブルテレビ事業統括)に対してMCO(番組供給事業統括)と言うのだそうだ。また、「ショップチャンネル」を運営するジュピターショップチャンネル社が通販事業という別の部門に位置付けられている。

このほか、熊谷ケーブルテレビ株式会社を2002年から2012年まで運営していたが2012年4月にJCNに譲渡している。現在は株式会社ジェイコム埼玉・東日本傘下の局(J:COM 熊谷・深谷)になっている。
この末席に今後、仙台CATVが入るのですね。

CCJは2007年10月1日、CTV、JCV、NCTの3社が株式移転により設立した共同持株会社で、現在はこの3社にKNSが加わっています。CCJのサイトを見るとCTY、NCT、KNSの3メンバー局、JCVはパートナー局と区分けがされています。CCJの本社はCTYにあります。CTYは2017年4月にコミュニティFMのエフエムよっかいち株式会社を合併してCTY-FMとしています。コミュニティFMと言えば、JCVは2015年12月に上越市の隣の新潟県妙高市にFMみょうこうを開局しています。上越市には既に1999年2月にエフエム上越(FM-J)が開局しています。

CNCjの前身は2000年2月に設立された株式会社東海デジタルネットワークセンター(TDNC)。このTDNCを母体に、株式会社シーテック中部電力系の電設会社)の中部メディアセンター事業と、ITサポートセンター事業を承継し、上記★印の4会社を株式交換により完全子会社化して事業持株会社として2008年7月に設立された。 なお、TDNCには入っているがCNCiには入っていないケーブルテレビ局も多い。たとえば先述のCTYもTDNCには入っていたようである。

Wikipediaにあるのはこの4社なのだけど、例えばニューメディア(NCV山形県米沢市)は
・1986年6月『株式会社ニューメディア米沢』設立、1987年4月開局。
・2000年10月、函館ケーブルテレビ放送から営業譲渡され、翌年4月NCVは函館センターを開局した。
・2008年9月、メディアッティ・コミュニケーションズからケーブルネット新潟の経営権を取得。翌年1月に同社をNCVは合併した。
 ※「ケーブルネット新潟」の前身はセコムが「宮城ネットワーク」を作った同時期に作った「新潟ネットワーク」。「宮城ネットワーク」と同時期にメディアッティ傘下に移っていた。
・2017年7月、NCVが福島センターを開局。福島市においてケーブルテレビが初めて進出した。
と、1道3県でケーブルテレビ事業を営む会社もあります。1社でやっているのでMSOとは言えません。なお、NCVは「ニコニコケーブルテレビジョン」(Nikoniko Cable teleVision)の略だそうです。
NCVコミュニティFM「エフエムNCV おきたまGO!」を運営しています。総務省電波利用ホームページの「マスメディア集中排除原則について」によれば米沢市の2つの企業、金子建設工業(株) 、(株)HKYで過半数の株式を保有していることになっています。HKYがどんな会社なのかはよく分かりません。今は極楽湯の系列のスーパー銭湯だという話のようだし、ネットで調べた住所は現在葬祭会社が入っているようだし。