女子プロゴルフ放映権問題、来季からJLPGAに帰属で合意

あれから3年経つんですね。
女子ゴルフ来季は36試合 テレビ局主催3試合中止 - みむめもーど
JLPGA側はいったん日テレ系局が主催のツアー3大会の中止と1大会の内容変更を発表したのでした。のちに日テレ系局側が折れる形でおととしの大会は継続。去年はコロナのせいで中止になった大会もありましたが今年も継続されました。そのうちの1大会は「ミヤギテレビダンロップ・レディース」です。
ただ、これは完全決着ではなく放映権についてはずっと交渉が続いていたようでした。そして今回、JLPGAから完全勝利宣言が出たわけです。
女子プロゴルフ放映権問題、来季からJLPGAに帰属で合意 - ゴルフ : 日刊スポーツ
リンク先の記事より。

JLPGAは、これまで主催の日本女子プロ選手権や日本ゴルフ協会JGA)主催の日本女子オープンなどを除き「公認」として1大会当たり数百万円の公認料を得るにとどまっていたが、今後数年で各大会でJLPGAの「主催」となるよう主催者サイドと交渉中。実現すれば、大会の運営方式など大会における全権利がJLPGAに帰属することになる。

現在のツアーは各大会の資金をほぼ全額、主催、特別協賛企業などに依存しており、実現するかどうかは不透明。JLPGAが各大会で放映権、主催権を握った場合、同時に金銭面などで運営責任を負うことになる。

ニッカンの記事には載ってないのだけどほかのニュースサイトの記事を見ると2022年度に関しては放映権料は無料のままということのようです。
としても、JLPGAはテレビ局から放映権を手放させて主催者でもなくします、これからは全大会がJLPGAの主催になるのでJLPGAから放映権を買ってくださいねという方針をよく日テレ系局が呑んだなと感心します。そのカラクリをこちらのサイトでは次のように解説しています。
来年から女子ツアー放映権はすべてJLPGAに帰属確定 試合はどこで見られる? | ゴルフのポータルサイトALBA.Net

しかし今年、JLPGAはこの件に関して“最後通牒”を突き付けた。例年どおり8月末までの翌年の開催申し込みを、現在の主催者はみな行った。開催協約書提出締め切りは9月30日で、これもいつもの流れ。このとき、17大会の主催者が、放映権の帰属に関して条件をつけた。ここ数年は、こうして問題を先送りにしながら、何とか現状を保ってきた。これに対して、JLPGAがきっぱりとした対応を取った。

協約書提出締め切りから間を置かず、JLPGAから届いたのは、こんな内容だった。『10月25日17時までに条件なしで協約書を出さなければ、競技開催の意思がないとみなし、優先交渉権は失効する』というもの。その場合、日程変更や新規募集を11月1日から始めるというダメ押しつき。放映権のJLPGA帰属を認めない限り試合はさせない、ということだ。

(3ページに分かれているうちの1ページ目の終わりの部分より)
要するに条件付きなんて認めない、全面的にこちらの言い分に従え。さもなくば大会を取り上げるぞ、と脅したわけですね。この記事は3ページに分かれているのですが、2ページ目を読むと、主催企業は大会を開きたくないわけでは無いので呑まざるを得なかったというのが裏側だったようです。ただ、3ページ目を読むと

22年に関しては、権利のみがJLPGAに帰属し、放映権料は発生しないことになっているため、全試合、今年とあまり変わらない形で行われることになりそうだ。だが、放映権料が発生し始める23年になるとどうなるか。放映権料が発生すれば、主催者側には賞金、運営費に加えてその負担が増える。「金額次第ですが、放映権料が発生したらその分、賞金を下げるという話もすでに出始めています」「試合をやめるといい出せなかったところも、“実害”が出始めたらどうなるかわからない」という声も、大会関係者からは聞こえてくる。

と、主催者側の負担が増えるのなら賞金の減額や大会からの撤退を考えている人もいるみたいです。まぁ女子ツアーは今が人気沸騰の時期なので数年経てばほとぼりが冷めて放映権問題とは関係なく撤退を考える人は出てくるでしょうね。そういえば賞金ランキングによるシード権という制度が無くなるというニュースもありました。
国内女子ゴルフツアー 賞金ランクのシード権消滅、再来年度からポイント制 - 国内女子ゴルフ : 日刊スポーツ
たしかに大会によって賞金はまちまちですからね。年末にかけて1試合ごとに賞金女王争いが入れ替わるのを見る楽しみが無くなるのは残念なところはあります。すべての大会がJLPGAの主催となればJLPGAで毎週の大会の賞金が統一され毎週選手たちは同じ条件で試合ができるということになるのかどうかわかりませんが、安い大会と高い大会でモチベーションは変わるものなんでしょうね。再来年からは順位に応じてもらえるポイントによるランキングで決めるそうで、これには賞金ランキングでは加算されないアメリカツアーに参戦した時の成績もポイントでは加算させるという利点があるんだそうです。
テレビ局が放映権を持っている弊害として、最終日の中継が日曜夕方の録画であることが挙げられています。優勝争いを生で見たいゴルフファンにとっては地上波の録画よりもネットで生配信してくれるほうがいい。過去には有力選手が活躍しているかのように誤解させるような編集をして中継の番組を作った放送局もありました。そんなことをされるならネットで時々刻々と変化する争いを眺めるほうがいいかもしれません。地上波で見られるのはお手軽ではあるんですけどね。
ところで、NHKのスポーツニュースでは男女ともゴルフツアーの大会名は放送されません。大会名をアナウンスすることが主催企業の宣伝になると考えているのでしょうね。主催がJLPGAになればこれまでの主催企業に当たるものはプロ野球なんかでいう試合ごとの冠スポンサーみたいな扱いになるのかな。
来年の「ミヤギテレビダンロップ・レディース」はこれまで通り開催されるということでよいのでしょうが、2023年から放映権料が発生するのか、2025年から主催でなくなったら大会はどうなるのか。これからも折に触れ目を配っていきます。