宮城のスポーツを浅く振り返る

新年早々B2リーグ仙台89ers後藤敏博監督が解任されました。
<B2仙台>後藤監督の解任発表 中村代表「改善見込みなく大なた」 | 河北新報オンラインニュース
監督就任時、Date fmAIR JAM Friday」の「スポーツてんこもり」のコーナーにゲスト出演されたのを偶然聞いていたのですが、基本を一からやり直さなければならないみたいなことを話していて、89ersの選手ってそんなにレベルが低いのかと心配になったのを覚えています。まぁ昨季は終わってみればB1全18チーム中最低の勝率で、B1残留プレーオフにも敗れB2に転落したのだから弱いのは確かなのだろうけど。今季はまだ半分残っているとは言えけが人も多いらしいし、B2東地区で仙台より上位の秋田、福島、山形にまだ1勝もできていないなど、たぶんプレーオフ進出は絶望的なのでしょう。現状秋田が独り勝ち、岩手が独り負けな感じなのでB3に転落することは無いでしょうが。
1年で1部リーグに復帰しようとして無理をして泥沼にはまるって昔サッカーチームにあったような気がします。それは気のせいとしても、新監督がチームOBだそうなのでチームの雰囲気が変わって今季は無理でも来季に復帰争いができるかもしれません。気長に期待しましょう。
ちなみにB2リーグとB1リーグとの入れ替えは(B1クラブライセンスの有無で変化するがそれを一旦脇に置くと)、東、中、西の3地区の各1位チームとそれらを除いた15チーム中で一番のチームの4チームによるトーナメントで1位、2位になったチームがB1に自動昇格(B1下位4チームの残留プレーオフの下位2チームが自動降格)。3位になったチームがB1残留プレーオフで2位(言い換えればB1で下から3位)になったチームと1試合の入れ替え戦で争う。B2リーグとB3リーグとの入れ替えはB2最下位とB3から推薦されたクラブ(たぶん最上位チーム)が1試合行うそうだけど、昨季はB2クラブライセンスをもらえなかったクラブが出た事情で入れ替え戦をせずに済んだのでした。

そういえば昨年は宮城のスポーツチームについてひとつ残念な話題がありました。Vプレミアリーグの一つ下のVチャレンジリーグに所属していた仙台ベルフィーユが消滅したのでした。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201706/20170630_14008.html
ベルフィーユというのはそもそもかつてのバレーボール日本リーグ女子の強豪、日立のチームの愛称でした。その日立は2001年に廃部になります。現在Vプレミアリーグにいる日立リヴァーレ日立佐和という別のチームを母体にしている、日立の子会社の実業団チームです。
元日本代表監督で日立ベルフィーユの最後の監督となった米田一典さんは2005年に高松市で「四国Eighty 8 Queen」(エイティエイツクイーン)というクラブチームを立ち上げVチャレンジリーグまで昇格させていました。しかし2011年、不況で資金不足に陥ってしまいます。そんなときに何故かチームは仙台市に移転しチーム名も仙台ベルフィーユとなりました。高松のチームと同様地元密着を掲げ大口のスポンサーを持たないので運営は大変だったであろうとは思います。米田氏は実は病魔に侵されており翌2012年に亡くなり、運営会社は息子の米田隼人氏が継ぎ、監督は地元出身で元日本代表の板橋恵選手が兼任したのち諸隈英人氏を経て元日本代表監督の葛和伸元氏が務めました。
昨年5月、経営悪化のためVリーグ機構に参加資格を審査される見通し、という記事が出てからのゴタゴタはググれば出てくるはずです。Vリーグ機構に退会勧告を受けてしまい、その後兵庫県の「ヴィクトリーナ姫路」なるチームへの合流という話が持ち上がったものの、一部選手しか移籍の意思を示さなかったこともあり、姫路のチームが仙台のチームの権利譲渡という形でVチャレンジリーグに参戦する構想も頓挫しました。選手は他のチームに散り散りになり結構な数の選手が現役を引退しました。ベガルタイーグルス89ersに続く仙台で第4のトッププロチームができるという夢は成就しませんでした。
Vプレミアリーグは今季で終了し、来季からは新しいV.LEAGUEが始まるらしいです。Bリーグぽくクラブライセンス制度を作って女子に関してはV1リーグBリーグぽく東地区と西地区ができるようです。その下にV2リーグがあり、将来的にはV3リーグも作るようです。日本リーグVリーグ→Vプレミアリーグと看板を掛け替えるたびに何らかの進展はあったのでしょうが、プロの(従来の実業団ではない)クラブチームがやっていける道は厳しいようです。
ところで今季、仙台ベルフィーユが在籍していたVチャレンジリーグ1の下のVチャレンジリーグ2にプレステージ・インターナショナルアランマーレなるチームが参戦しています。プレステージってあのプレステージ? とふしだらな妄想を膨らます私は人でなし。Wikipediaで調べると『東証第一部上場を果たしたアウトシーシング企業のプレステージ・インターナショナルは、地域活性化と雇用安定を掲げ』て女子スポーツチームを発足させたのだそうです。秋田市にバスケット、富山県射水市ハンドボール、そして山形県酒田市にバレーボール。バレー部に関しては新しいV.LEAGUEでV2リーグに必要なS2ライセンスを取得しているようです。

暗い話ばかりではありません。明るい話といったら何と言ってもコバルトーレ女川JFL昇格でしょう。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201711/20171127_14019.html
正直女川町からJリーグを目指すプロチームを結成したという話を知ったとき、どんだけ夢物語なんだ、と思いました。ごめんなさい。
東北社会人リーグ1部に昇格するも震災に遭い1年間活動できない状態になってしまったのを乗り越えて2016、17年と2年連続優勝。2016年は地域リーグ決勝大会改めチャンピオンズリーグを突破できなかったのですが、今回は一次ラウンドは2位でワイルドカードでの進出だったものの決勝ラウンドは90分勝ち1、PK勝ち2の無敗で優勝(ちなみに2位は一次ラウンドでコバルトーレに土をつけたテゲバジャーロ宮崎。決勝ラウンドで再戦しコバルトーレがPK勝ち)。女川と宮崎がJFLに昇格することになりました。本当におめでとうございます。
ただ、女川のホームグラウンドが人工芝なので規定でJFLの試合が開けないのだとか。ホーム戦では石巻かどこかの競技場を借りながら戦わなければならなくて、アウェイ戦では青森から宮崎まで全国を飛び回らなければならないし、苦労はこれからも続くのでしょうが、できるだけ1年で降格することの無いよう頑張ってほしいと願います。
ちなみに今回のJFLで東北地方の3チームはラインメール青森が2位、ソニー仙台が3位、ヴァンラーレ八戸が5位と上位を占めました(優勝はHondaFC)。15位、16位のブリオベッカ浦安栃木ウーヴァFCが関東リーグに降格することになります。このため関東リーグ1部、2部は昇格、降格のルールが例年と違うことになってしまったようです。
そういえば、東北リーグと宮城県リーグの昇格、降格についてまとめるのを忘れてたなぁ。宮城県サッカー協会のサイトに出ているから今年はいいか。