「ラジオマニア2023」レビュー

気が付けば10月27日。例年なら例の本の発売日。しかし今年は10月30日だそうだ。誰がそんなことを言った? この本の付録の手帳「RADIO-MANIA handbook 2023-2024」の10月30日のところに秋号発売予定日と書いてある(2024春号は例年通り4月27日の予定)。

(※Amazonでは本書付録の手帳がなぜか「受信・聴取に役立つ ラジオパーフェクト手帖」とかいう書名で分売されている。Kindle Unlimited会員というのに入っていると無料で読めるらしい。)

今年は8月29日に発売されていたのですね。日頃から放送関係のネタを仕入れるのに読んでいる「ジュリエットオスカー634受信ブログ」(旧「 放送まにあ 試験電波発射中!!」)で知って9月ごろに買ってきてはいたのですが、このところ生来の怠け癖に拍車がかかっていて書くのが遅れました。

表紙は木枠にアナログな選局つまみと半円形の周波数表示の数字が目を引く置き型ラジオとスマホにラジコでRBCiラジオ「民謡で今日も拝なびら」を選局している画面が表示されている物の対比。表紙をめくってすぐの扉のページにも同じ写真。表紙には『快適・クリアな極上ラジオ体験!』、扉には『電波もradikoもとことん楽しむ!』というキャッチコピーが書かれています。
目次を見ると今回はラジオ受信機の記事が多めな印象。
「ラジオマニアニュース」4ページに続いて、まずは表紙に登場したラジオが4ページにわたって紹介されています。台湾のSANGEAN(サンジーン)社製のホームラジオ「SANGEAN WR-304」。見た目の下半分がスピーカー、直径3インチ(76.2mm)6.5Wということもあって音質が良いらしいです。受信感度もいいみたいです。ただお値段が・・・このご時世ではこれくらいするものかな。
お次は「国内マイナーメーカーラジオカタログ」6ページ。オーム電機(AudioComm)、エルパ(朝日電器)、コイズミ(小泉成器)、キュリオム(山善)、ヤザワというホームセンターとかでよく見かけるような会社の紹介と各社から出ている商品の中から1機種ずつの使用リポートが載っています。
普通のラジオのお次は短波ラジオ、「短波ラジオ5機種徹底比較使用レポート」6ページ。ラジオって機種によって周波数が低い時と高い時で感度が違ったりするんですね。そういうことを考えたことが無かったのでびっくりでした。何機種も使ってきた人だからこういうことを書けるんだろうなと思いました。
さて、巻頭カラーページの最後には「国内マイナーメーカーラジオカタログ」のコーナーで紹介された機種を含む、ラジオライフ編集部にあるラジオやBluetoothスピーカー計30台を読者プレゼントのお知らせもあります。興味のある方はそれだけでも一読してみてはいかがでしょうか。

去年刊のレビューを読んで巻頭カラーページ恒例の「パーソナリティ深掘りインタビュー」が今回は無いことに気が付きました。「ラジオライフ」本誌か例の本のDJ人気投票を読めということでしょうか。
そんなことを思いつつ、モノクロページに入ります。まずは第1章「ラジオ番組をもっと楽しもう!」。
「全国からでも楽しめる! 発掘!コミュニティFMおもしろ番組8選」。今回はコミュニティFMで放送されている番組の紹介。ミュージックバードの午後ワイドでもあるエフエム世田谷制作の「アフタヌーンパラダイス」から始まって、おっと、Radio3「川柳575便」も紹介されているではないですか!!! 今回は東日本の局が中心だったので次回は西日本編がある・・・かな? 例の本でもこのところ別冊付録にコミュニティFMの番組表をつけていますから、その点で相乗効果が期待できるかもしれません。なお、この稿は「おながわさいがいエフエム」でおなじみ天谷窓太さんが書かれています。「エクストリーム出社協会」の方だと思っていたら、「さつまいもアンバサダー」を務めていらっしゃるんですね。仕事の幅が広い。
コミュニティFM事件簿」なるいわゆる闇の部分に関する読み物4ページに続いて、恒例「radikoで聴きたい各局イチ押しプログラム!」。東北放送からは佐藤朱アナの「佐藤朱の月YOU!あかり」、Date fmからは伊達武将隊の伊達政宗公さんの「響鳴乱舞!仙台DATE-MON」が紹介されています。戦国武将のディスクジョッキーからカエルの悩み相談(? FM愛媛の番組)までラジオは多様性にあふれていることが一読すればわかります。
昨年刊のこのページでTBCラジオは「NEWNEWS」を出稿していたんですね。その「NEWNEWS」も今は亡く、そういえば番組のラストを飾るコーナー「Heart in Heart」でおなじみ谷村新司さんも先日亡くなられました。とうとう「NEWNEWS」に谷村さんが出ることは叶わなかったのですね。

真ん中のカラーページは恒例の1局集中ガイド。今回は「南海放送」。
拙blogでは愛媛県に触れることを書くとコメント欄に私が消化できない量の理解できない内容の書き込みをしてくる常連投稿者がいるのでどうしたものかと思っていまして、ここに書くのも気が引けるのですが。ラジオスタジオの紹介や数多い自社制作番組の紹介・パーソナリティインタビュー、そして何より田中和彦会長のロングインタビューが最も尺を取っている。TBCラジオで喩えるなら安田立和さんレベルのレジェンドアナウンサーでいまだに番組を持っていらっしゃる方。担当番組の紹介のみならずラジオの未来についてまで話が広がっています。
カラーページもう一つのネタは今流行りのChatGPTに音質のよいDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)ラジオチップのおすすめを尋ねたら紹介されたという、フィリップス社製の「TEA5767」を用いてラジオを作ってみようというもの。今回は工作ネタはこれ1本だけです。

再びモノクロページに。第2章「注目の受信機材レポート」。「都心で8素子FMアンテナ+ローテータ―*1設置レポート!」、「米国のラジオGP7/SSB使用レポート」、「SKYWAVE SSB2の全貌」、「外部アンテナ導入のすすめ」、「FM用アンテナ AF-1-SPの実力をチェックした!」の5本です。外部アンテナってあるといいなと思います。ローテーターなんで夢ですよね。第3章「受信に役立つ情報&テクニック」でも「目指せ100局!限界受信チャレンジ」で都内で100局受信を目指すためにTECSUN社製のループアンテナAN-200を利用しています。第3章は100局チャレンジのほかに「最強の「岬受信地」で遠距離受信にチャレンジ!」、「ダイバーシティー受信の実用性を調査してみた!」、「2023年版短波BCLの最新動向」の3本です。遠距離受信をするうえで外部アンテナと並んで海上伝搬の活用はポイントとなるところです。ならばどの岬で受信するのがよいか。地形図とにらめっこして推測して実際に行ってみて受信してみる。こういう旅をしてみたいものです。ダイバーシティー受信というのはノイズを軽減させて安定した受信を目指す技術のようなのだけど、まだ途上の技術なのかな。途上と言えば短波BCLで問題と考えられているのが、短波放送の周波数を使って株の売り買いのデータを送る短波帯デジタル固定局の実験試験局が作られているということ。なんでも日米間の光ケーブル回線を使うより短波の電波を使うほうが数十ミリ秒だけ早く届くんだそうです。そんな一瞬に血道をあげて株で儲けようという、仙台弁で言うところの「欲たかり」もここまで来たかという話があるのだそうです。
第4章「ラジオハイパーマニアックス」では私も拙blogを書くためによく利用している総務省のサイトをについて紹介する「ラジオファンのための総務省ホームページ活用マニュアル」が面白いと思いました。先ほど紹介した短波帯のデジタル試験局についても総務省のサイトを駆使して記事を上げている個人ブログがあります。公共の電波ですからね、ある程度の事は公表されていて自分で調べることができるのです。このほか第4章では11月に刊行予定の書籍「教養としてのラジオ用語辞典」の紹介や「ラジオ局 超ローカルニュース」、「ラジオ番組表1998春号」のアーカイブ。98年春は「生島ヒロシのおはよう一直線」が始まった期なんですね。まだMBSラジオにネットされています。まさか25年経った今MBSラジオがネットを打ち切りラジオ大阪にネットされているなんて、そんなことを考えていた人は世の中に一人もいないでしょうね。珍しくラジオ大阪の番組表も載っています。

今回も日本国内のラジオ放送局のデータが詰まっている別冊付録「RADIO-MANIA handbook 2023-2024」が付いています。はじめに今年9月から来年8月までのダイヤリーがあるのだけど、冒頭書いた通り「ラジオ番組表2023秋号」の発売予定日は10月30日のところに書かれています。

*1:原文ママ。正しくはローテーター、アンテナを回転させる器具。