「ラジオマニア2020」レビュー

気が付いたら9月。TBSラジオニッポン放送東海ラジオの秋改編が早くも発表されてるようで。
TBSラジオは夕方ワイド「ACTION」が1年半で終了することとなり、夜ワイド「Session-22」が夕方にお引越し。夜には昔文化放送がやったような大人向けの教養番組を組むようです。また全曜日の深夜4時台がガラッと衣替えするようです。

ニッポン放送は今週から新しい午後ワイドが始まっていますが、ナイターオフ番組は地方局向けには9月29日(火)から、ニッポン放送プロ野球公式戦が終わる11月と2段階でスタートすることになり、内容もあの本田圭佑さんに前田裕二さん、ゲッターズ飯田さん、安東弘樹さんと曜日別パーソナリティの2時間番組になるそうです(金曜は関東では夕方ワイドを兼ねる3時間半番組)。これとは別に、飯田浩司アナ以来16年ぶりとなるスポーツ専門職ではない男性アナウンサーが入ったそうで初鳴きが予告されています。

東海ラジオでは番組表も公表されており、深夜にネットしている文化放送制作の長寿番組「走れ歌謡曲」が4:30終了になっていることに衝撃が走っています。

東海ラジオの改編の目玉はそこではなく、この春土曜ワイドのパーソナリティとして迎えられた大前りょうすけさんが平日午後ワイドの担当になること、後任の土曜ワイドの担当があのぜんじろうさんになること。元・稀勢の里の荒磯親方の番組ができたりもするようです。
じゃぁ、大前りょうすけさんって誰?
そこで「ラジオマニア2020」(三才ブックス刊)です。

ラジオマニア2020 (三才ムック)

ラジオマニア2020 (三才ムック)

  • 発売日: 2020/08/27
  • メディア: ムック
知らぬ間にぬるっと、いえ8月27日に発売されていたらしいです。
なんとか一読し終えたのでさらっと薄口レビューを書きなぐっていきます。

ちょっとオレンジ色の文字が大きくて、ラジオが3機種並んでいるし、混み合っている印象を受けます。
その大きな文字『話題の新機種もレビュー! いま欲しいラジオを徹底解剖』が示すように、機種レビューが結構あります。物欲がそそられます。
巻頭カラーページだけでも

  • ハイエンドBCLレシーバー TECSUN H-501 (6ページ)
  • 北米向けから中華製まで 高級短波ラジオ徹底比較! (5機種、6ページ)
  • ソニーICF-M780N VS アイワAR-MDS25 (2機種、6ページ)

本文でも第2章のところで

  • 北米のメーカー、C.CRANEのEP PRO(4ページ)
  • 中国のメーカー、RADIWOWのR-108の新型と旧型の比較(4ページ)
  • 中国のメーカー、TECSUNのPL-990 (3ページ) ※記事執筆時点では日本未発売らしい

が紹介されています。
まぁ外国製がほとんどです(アイワもTECSUNのOEMと言われている)が、外国のラジオ受信機でもamazonでポチれば手に入る世の中ですからね。そこまでやるのがマニアなんだと思います。
話がそれますが、「ラジオ受信バイブル2020」(2月17日発売、一応買ってはいます)でもポケットラジオから手回しラジオまで多種多様なラジオ受信機のレビューが載っています。

話を戻して、そんな今年の号の巻頭インタビューが、「大前りょうすけ」さん(6ページ)と「遠藤麻理」さん(4ページ)。実はこのお二方には共通点があります。
大前さんはワタナベエンターテインメント所属のお笑い芸人さん。ラジオと無縁に育ちお笑いの道に居た大前さんの転機になってしまったのが2016年に担当することになった名古屋のRadioNEOの朝ワイド。RadioNEOは2019年12月にほとんどの自社番組を終了させることを決め、大前さんも突然レギュラー番組を失いました。ところがこの春から東海ラジオCBCラジオFM愛知と3局で番組を持つ売れっ子になった逆転人生。いやホントに「逆転人生」に出られるんじゃないかという興味深いお話です。
遠藤さんは今年6月30日RadioNEOと同じ日に亡くなった新潟のFM PORTの朝の顔だった方です。そこまでたどり着くまでのことや、FM PORT閉局の衝撃、そして8月からBSN新潟放送で午後ワイドを持たせてもらえるようになっても変わらない思いなどが語られています。なお、「ラジオライフ」本誌には遠藤さんに自分のワイド番組枠を半分譲ることになった新潟放送の近藤丈靖アナのインタビューが載っています。偶然だと思います。

本文は4章+中面カラー特集からなります。
◆1章 ラジオ番組をもっと楽しもう!
この冒頭が、放送作家の河野虎太郎氏が「ラジオ番組表2020春号」でもちょこっと書いた『新型コロナウイルスとラジオ』。やはりこの半年人類が振り回されている新コロがラジオに何をもたらしたのかは大きな問題です。公開番組や中継コーナーが無くなり、アクリル板が立ちリモート収録が広がり再放送も増え、それでもコロナにやられる出演者が何人も現れた。その一方で頑張ろう特番的なものを作った局もあった。細かくまとめられています。また、新コロ第1波のころ、独自の「非常事態宣言」を出していた北海道でSTVラジオごきげんようじ」はどうなっていたのか、NHK帯広局の神門光太朗アナは何をしていたか。そんな記事もあります。福岡のCROSS FMでは「Love your RADIOあなたのお店応援キャンペーン」という企画をしていたようです。TBCラジオでも類似の企画をやってたかな。
楽しくないですね。気を取り直すようにradikoプレミアムで聴ける番組ガイドがあります。北海道のAIR-G'が「育成型フルーツアイドル」フルーティーなるアイドルの番組を上げればエフエム青森王林ちゃんでおなじみRINGOMUSUMEの番組を上げています。北陸放送南海放送も女性アイドルユニットの番組を上げています。なお、TBCラジオからは「ラジオな気分フライデー2」の14時台の石川太郎さんの旅コーナー、Date fmからは月イチで開催(放送)されている音楽番組「#妄想フェス毎月開催!?」が紹介されています。
これらとは別枠でラジオ沖縄が7月に立ち上げた新番組「ROK技術倶楽部」が紹介されています。技術職の社員さんたちが作る異色の番組です。

◆カラー特集
恒例の『1局集中ガイド』今年の訪問先は千葉県の県域FM局、bayfmです。今年は『コロナに負けない!』という副題がついていて、昨秋の台風の被災地でもありコロナ禍にある局としてというテーマでインタビューが行われています。千葉では唯一の県域民放ラジオ局ですからね。夕方の看板番組「The BAY☆LINE」については各曜日のパーソナリティの簡単な紹介に留めていること、実はジャニーズタレントの番組が多いことはスルーしていることなど、割り切ってるなと思いました。メンバーそれぞれが番組を持っているということでトークユニット「YK型」のリモートインタビューというのもあります。
『レトロモダンなステレオDSPラジオの製作』は既存のラジオの基板だけを取り出してレトロモダンという外観の受信機に作り替えるというもの。デザインにこだわる人には良いかもしれません。製作系のお話はこのあとの第3章にも出てきます。

◆2章 受信に役立つ情報&テクニック
『FM補完放送中継局の大研究』ではAMラジオ局をAM中継局とFM補完中継局のどちらが多いかで分類することで何が見えてくるかを考察しているのですが、それよりもAMラジオ局、FM補完中継局、FMラジオ局の送信アンテナがバラバラの場所にある(順に川崎市横浜市秦野市)神奈川県で、AM局とFM局の中継局がある小田原市近辺では聞こえ方がどう違うかを調べていることの方が興味深いと思います。
『2020年版短波BCLの最新動向』や前述の機種レビューもあります。

◆3章 ラジオハイパーマニアックス
ラジオをデコる(?!)デコり方の紹介や、カラーページにもあったようなDSPラジオの基板を使ったアナログラジオの製作がある一方、対馬受信旅行記とか各局radiko音声比較(実際に旅するわけではなくradikoプレミアムの音声の聴き比べ)があったり、「必聴ラジオ100」(1月16日発売、買ったけど読んでない…)の新版が出るらしいことが書いてあったりの雑多なページ。「ラジオ局(超)ローカルニュース」という小ネタのページでHBCラジオが引っ越し作業中と書いてあって、TBCラジオも(同じ敷地だけど)引っ越したのにな、何も書かれてないなと思う。
なお、radikoプレミアムの音声の聴き比べでは、当然ながら筆者の主観である、という断りがあるものの北海道・東北の項では

負けじと頑張った結果、音圧を上げ過ぎちまったのがDate fm
(中略)
AM局はというと、おとなしいというか気合が足りない

AIR-G'を除いて低評価でした。TBCラジオradiko担当の方、もし暇がありましたがご一読ご一考をお願いします。我々の年代になるとハイレゾは良いよねと言ってもモスキート音が聞こえない(苦笑)という話もありますが。(←他人のネタパクりました、ごめんなさい!)

◆4章 ラジオ番組表アーカイブ
今回は表紙が当時のトップアイドルあややの2001秋号。紙幅が足りなかったかAMは在京3局と名古屋の2局に大阪のMBSとABCだけ、OBCは割愛。FMに至ってはFM東京J-WAVEと『1局集中ガイド』で取り上げたbayfmの3局だけというあっさりとしたもの。文化放送で土曜の午前に沢田研二さんと志村けんさんの二人で番組があったということに驚きます。「ナベとものチアーズランド」が文化放送東海ラジオABCラジオにネットされていたこと(ごく一時期ネット局が増えたのだ)に驚く人も多いかと思います。今でも続いている番組がある一方鬼籍に入られた方もちらほらあり、近い昔なんだか遠い昔なんだか。

そして、別冊付録『Radio-Mania handbook』が付いています。
主なラジオ局の開局記念日が載っている9月スタートのダイアリー、受信報告書のひな型、民放各局のデータと主な自社番組のメルアド、NHKの周波数リスト、「ラジオ番組表」誌にもあるコミュニティFM局リストと周波数リスト、主送信アンテナの場所をまとめた送信所リスト(この項だけFM PORTとRadioNEOが載っている)、そして民放ラジオ系列一覧表からなります。
ふたつだけ苦言を。
TBCラジオの項で「スベル兄弟」のハッシュタグが『#スベル兄弟』って載ってるのだけど、正しくは「#suberu」ですよね。放送時間が『20:30~21:30』って載ってるのだけど、正しくは「20:00~21:30」(この春から7月まで)でした。そんな「スベル兄弟」も7月に終わってしまいました。8月末に出る書物の原稿依頼が何月ごろに来るのか知りませんが7月末での番組終了が決まっていたのであれば普通載せないですよね。かなり早い時期に原稿依頼が来ていたのか急に終了が決まったのかどちらでしょう。
2月発売の「ラジオ受信バイブル2020」の防災ラジオ特集で紹介されている茨城県コミュニティFM局「FMだいご」。コミュニティFM局リストで運営母体が設立当初の「大子町開発公社」のままになっている。「ラジオ番組表2020春号」では現在の運営団体「まちの研究室」に正されているのに。それとこの別冊付録『Radio-Mania handbook』のコミュニティFM局リストでは書かれている3つの中継局が「ラジオ番組表2020春号」のコミュニティFM局リストには書かれてなくて、『Radio-Mania handbook』でも「ラジオ番組表2020春号」でも周波数リストにこの3つの中継局は載ってない。データのアップデートが中途半端だなぁ。そういうところをちゃんとしてほしい。