半年に一度の定例行事です。 自分なりにできる限り調べてはいますが誤りがあったり抜けているものがあったりしているかも知れません。
補助金交付決定
総務省のサイトの「予算執行の情報」というページで「補助金等交付決定」というEXCELファイルをダウンロードして「民放ラジオ難聴解消支援事業」という事業を探しています。
今はもう秋なので令和5年第2四半期のファイルが上がっていればよいのですが、これが出るのはしばらく先の話です。
同じ理屈で今春に紹介できなかった令和4年度第4四半期のファイルは今は見られるようになっていて、2月22日付で北陸放送が載っています。後述しますが既にこれに関わるFM補完中継局は開局しているようです。
さて、令和5年度第1四半期のファイルで見つかったのは、令和5年6月6日付で新潟県柏崎市、CBCラジオ、東海ラジオ放送、大分県佐伯市、大分放送。
柏崎市については信越総合通信局からは何の情報も出ていないのだけど、柏崎コミュニティ放送(FMピッカラ)の受信障害対策中継局と思われます。すでに4局あります。柏崎市の入札情報について調べてみたら『防災情報通信システムGF追加整備工事』に関する様々な図面が見つかりまして、受信点が3カ所、送信点が5カ所という規模の大きなもののようです。谷根受信点と谷根送信点、西長鳥受信点(住所は小島)と西長鳥送信点、旧・西山町では鎌田受信点と宮川、椎谷、大崎の3送信点、というネットワークのようです。というわけでGF(ギャップフィラー)すなわち受信障害対策中継局が5局できることになるのでしょう。
CBCラジオと東海ラジオ放送は同額なのでどういうことかなと思っていると、東海総合通信局からプレスリリースが出ていました。
(地方総合通信局からのプレスリリースはリンクは貼りません。興味のある人は各自ググってください。)
それによりますと『都市型難聴を解消することを目的に、エリア内でAMラジオ放送と同一番組がFMラジオ放送で良好に受信できるようFM補完中継局を共同で整備する。』とのことで、『豊橋市とその周辺都市及び周辺都市の一部(約336,500世帯)』のエリアが対象です。補助割合は2社とも都市型難聴対策なので2分の1です。
後述するつもりですが東海ラジオは、11月1日の放送免許更新に際し豊橋中継局をはじめ岐阜、三重、愛知の3県に所有する9つのAM波中継局すべてに対し『AM局の運用休止に係る特例措置の適用希望申請』を出している、つまり親局以外のAM中継局をやめるつもりでいるようです(CBCラジオはこの申請を出していないようです)。となればFM補完中継局を早めに設置することが期待されます。
大分県の2件については九州総合通信局からプレスリリースが出ています。
それによりますと、
・佐伯市は、エフエムさいきの放送中継局及び受信障害対策中継局を整備しラジオ難聴解消を実施。補助割合は3分の2。
・大分放送は、AMラジオ放送親局のFM補完中継局を整備し難聴解消を実施。補助割合は2分の1。
佐伯市は平成の大合併で九州で最も広い市になり、中継局を多数設置する必要がありそうです。すでに4局設置していますが、議会の議事録を検索すると『鶴見全域、米水津・弥生・青山の一部』などで整備が行われる予定らしく、公共工事の発注の見通しについてのpdfにはこれらとは別の上浦大字最勝海浦という場所で『福泊FM中継局整備工』という具体名が載っています。
大分放送は事業費が少ないので何局も建てるわけではなさそうです。
なお、本省の情報流通行政局から
- 令和5年6月9日 FM補完中継局の免許申請の受付
というのが出ていて、放送対象地域:大分県、送信場所:別府市、周波数:93.3MHz、出力100Wという内容なので、たぶんこれが今回大分放送が整備するFM補完中継局になるのだと思います。ちなみに、大分放送のテレビは別府市(十文字原)から送信されていて、FM大分はその別府市(十文字原)から2017年に大分放送のFM補完中継局と同じ大分市(横江山)に移転しています。
予備免許付与
本免許が下りる前には予備免許が降ります。地方によっては予備免許が出ていることが各地方の総合通信局より発表されます。
とか。4月以降では4件あります。うち2局は既に開局しています。
呼出名称としては甲賀市の中心部である旧・水口町を冠した「みなくちエフエム」(甲賀市の外れになる旧・信楽町は放送区域から外れています)なのですが、放送局の愛称は「エフエム花」というのだそうです。設立者がお花屋さんだからというのが理由のひとつなのですが、その背景を知って驚きました。
コミュニティFMに関して最も詳しいであろうサイト「コミュニティFM大図鑑」で「エフエム花」開局の記事から引用します。
エフエム花は甲賀市で花屋を営む「かずろう」こと中村一弘さんが中心となって開局しました。中村さんは2011年の東日本大震災の際、音楽イベントの収益を宮城県仙台市太白区のエフエムたいはくに義援金を贈ったことをきっかけに翌年から同局で番組を持つようになり、この番組を通じてラジオは「人を育ててくれる素敵な媒体」だと感じて、2018年頃から地元でもコミュニティFMを開局しようと準備を進めてきました。
「エフエム花」は、ラジオが花のようにあなたのそばに寄り添う存在でありたいと願い名付けました。「みんなのココロに花咲くラジオ」を掲げ、市民による手作りの放送局を目指していきます。
実際、エフエムたいはくのサイトを見ますと今でも番組を持っていることが記されています。『花歌 -Flower songs- 』(金曜14:30∼14:55、再放送日曜23:00∼23:30)。
知らんかった! 聴けるタイミングが合えば一度聴いてみたいと思います。
- 2023年8月4日 株式会社アイビーシー岩手放送のFM補完中継局に予備免許 - 田野畑村及び普代村などで受信状況が改善 -
この田野畑局が開設されることで、地理的・地形的な影響によりAMラジオ放送の受信が困難であった田野畑村及び普代村などでも、株式会社アイビーシー岩手放送の放送番組をFMラジオを使って聴くことができるようになります。
って書いてあるんだけどさぁ? 田野畑にはAM中継局(1062kHz、300W)があるんですよ? そのAM中継局が受信困難だったの?
『【別紙2】 放送エリアの目安』にFM補完中継局(81.5MHz、20W)と既存のAM中継局の放送エリアの図があるのですが、FMはAMと比べて綺麗に一回り範囲が狭まっています。それは田野畑村と普代村の区域にほぼ沿った範囲になっていて、AMではエリアに入っていた北側の野田村と南側の岩泉町小本がFMでは外れます。岩泉小本には2015年7月にFM補完中継局ができていますが、野田村の人たちはどうすればいいんですかね。久慈市にはまだFM補完中継局はありません(AM中継局はある)。既存のAM中継局は11月の放送免許更新に際して『AM局の運用休止に係る特例措置の適用希望申請』を出しているので今後はFMのみとなるのでしょうね。
先述のサイト「コミュニティFM大図鑑」によりますと、茅ケ崎市は湘南で唯一コミュニティFMのない街になっていたのですね(他の市町はいずれかの局の範囲に入っている)。桑田佳祐さんの提唱で桑田さんと小中学校の同級生という宮治淳一さんらが動いて設立されたようです。そのせいかコミュニティFMにも拘らず『桑田佳祐のやさしい夜遊び』が同時ネットされているようです。
プレスリリースには『四国では8番目の開局となります』とあるのだけど、閉局している局が香川県に3局あるので、四国に現存する局が8局になるというのが正しいと思います。四万十市と言っても放送区域は別紙pdfを見た感じだと旧・中村市の南部とお隣の幡多郡黒潮町のうち旧・大方町の南部といったところでしょう。四万十市と隣接して高岡郡四万十町というのが存在して、うちの命名が何日早いと争っているのだとか。合併する以上は中村市とか窪川町のままでは角が立つから四万十という全国的なブランドを市名、町名にしたかったのかな。
本免許付与
放送局が開局するときには免許付与のプレスリリースが各地方の総合通信局から出るものなのですが、近頃は予備免許の時しか出さなかったりして、この半年で本免許のプレスリリースは2件しかありません。実際に開局している局はもっとあります。
前述の通り2月に補助金交付が発表されています。その時のプレスリリースによると対象世帯は約2万1千世帯。北陸放送のサイトを見ていると金沢と七尾の補完中継局の狭間の区域を今回の羽咋局でカバーすることになります。
- 2023年9月29日 イベント用FM放送局に免許 -燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会の開会式・閉会式を実況放送-
たまに期間限定の放送局ができることがあります。10月7日から10月30日までの予定とのことです。
ところで今回の国体は「特別国民体育大会」という名称のようなのですが、何が特別なんだろうと思ってググってみたら、本来は2020年にやるはずだったのがコロナのせいで中止に追い込まれ、何年も前から決まっている他県の開催予定をずらして今年に特別に組み入れられたことが特別なようです。また、国民体育大会という名称も今回が最後になり、来年からは「国民スポーツ大会(国スポ)」に名前が変わるらしいです。そう言われれば「体育の日」もいつの頃からか「スポーツの日」に名称変更されていたようです。
開局済みの局
総務省電波利用ホームページにある無線局等情報検索でここ最近の免許付与について検索してみますと、免許の年月日が2023年4月1日以降であるFM放送局は10件ヒットしました。
放送局 | 中継局名*1 | 設置場所 | 周波数(MHz) | 出力*2(W) | 免許付与日 | 開局日 |
---|---|---|---|---|---|---|
特定非営利活動法人京丹後コミュニティ放送 エフエムたんご |
久美浜 | 京丹後市久美浜町地区 | 79.4 | 20 | 令5.4.13 | 令和5年6月1日*3 |
↑ | 丹後 | 京丹後市丹後町地区 | 79.4 | 15 | ↑ | ↑ |
株式会社わたらせコミュニティメディア FMわたらせ |
JOZZ3DB-FM かぞエフエム |
埼玉県加須市 | 76.1 | 10 | 令5.8.1 | 令和5年8月5日*4 |
八重山広域市町村圏事務組合 | 白浜?*5 | 沖縄県八重山郡竹富町 | 83.9 81.5 |
0.05(0.17) 0.05(0.17) |
令5.8.23 | ? |
↑ | 船浮? | ↑ | 83.9 81.5 |
0.05(0.17) 0.05(0.17) |
↑ | ? |
とまこまいコミュニティ放送株式会社 FMとまこまい |
JOZZ1BE-FM とまこまいエフエム |
北海道苫小牧市 | 83.7 | 20 | 令5.8.28 | 令和5年9月1日*6 |
有限会社三瀧商店 エフエム花 |
JOZZ7BU-FM みなくちエフエム |
滋賀県甲賀市 | 77.5 | 10 | 令5.9.1 | 令和5年9月10日 |
株式会社茅ヶ崎エフエム 茅ヶ崎FM(エボラジ) |
JOZZ3DC-FM ちがさきエフエム |
神奈川県茅ヶ崎市 | 89.2 | 20 | 令5.9.22 | 令和5年10月1日 |
北陸放送株式会社 | MRO羽咋FM | 石川県羽咋市 | 93.1 | 100 | 令5.9.22 | 令和5年9月25日*7 |
燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会実行委員会 | JOYZ0AQ-FM かごしま国体・かごしま大会イベントエフエム |
鹿児島県鹿児島市 | 88.6 | 2 | 令5.9.29 | 令和5年10月7日 |
八重山?
困ったときにはチャンネル・周波数情報で最も詳しい個人サイト「でんぱでーた」。その掲示板を見ると、八重山毎日新聞が昨年12月にアップした記事へのリンクがありました。
ラジオ新中継局設置へ 八重山広域事務組合 | 八重山毎日新聞社
それによりますと・・・
これまで八重山地方では石垣島の於茂登岳から西表島の祖納岳と与那国島の久部良岳に電波を発信していたが、経年劣化が進んでいるため於茂登岳の設備を撤去し、バンナ岳と川平前嵩にある既存の施設と鉄塔を活用して新たに機器とアンテナを設置する。さらに西表島では白浜や船浮の両地区内に追加の中継局「ギャップフィラー」を整備する。
ということのようです。
国の沖縄離島活性化推進事業費を活用しているのだそうで、「民放ラジオ難聴解消支援事業」を探している私には見つけられなかったわけです。。。出所は総務省ではなく内閣府からで、事業費の10分の8が補助されるようです。令和3年度の第2回、令和4年度の第1回、第4回で補助金が交付されています。
「でんぱでーた」には八重山広域市町村圏事務組合へのリンクも貼ってあったのですが、行ってみるとトップページに『入札公告(八重山地区ラジオ中継局機能強化事業)』というリンクがあり、各中継局の設計図などがダウンロードできるようになっています。既設の民放地デジの鉄塔にFM用アンテナをくっつける、西表島の白浜、船浮の両地区の学校にギャップフィラーの八木アンテナを設置するといった感じです。白浜、船浮の周波数は祖納中継局と同じで、島内同一周波数になるように同期放送が取り入れられています。バンナ岳の新石垣中継局と新川平中継局の周波数がRBC88.1(予定)、ROK89.9(予定)と現行の石垣局(RBC89.0、ROK87.8)と異なっているのが気になるところですが、無線局等情報検索では現行のままです。これも免許更新の11月かな?
ちなみに、NHK-FMは2012年3月に於茂登岳からバンナ岳に移転し、バンナ岳と川平の2局体制になっているようで、Wikipediaによると移転は土砂災害対策なのだそうです。
未開局の局
予備免許が下りていてまだ本免許が下りていない局はIBC岩手放送の田野畑FMと高知県の「FMはたらんど」だけかと思います。このほかに公表されていないものがある可能性はありますが。
放送局 | 中継局 | 設置場所 | 周波数(MHz) | 出力(W) | 予備免許付与日 | 開局予定 |
---|---|---|---|---|---|---|
株式会社アイビーシー岩手放送 | IBC田野畑FM | 岩手県普代村 | 81.5 | 20 | 令和5年8月4日 | 令和5年11月 |
MSI株式会社 FMはたらんど |
? | 高知県四万十市 | 77.9 | 20 | 令和5年10月13日 | 令和5年11月 |
そういえば「FMはたらんど」のコールサインが発表されていない。四国には過去に10局存在していたのでAAからAJまでが使われているはずなのでその次のAK、JOZZ9AK-FMになるはず。「でんぱでーた」ではそうなっている。77.9MHz、20Wっていうのは宮城県岩沼市の「エフエムいわぬま」とおんなじだなぁ。岩沼市の姉妹都市は高知県南国市。中村もとい四万十市とはちょっと離れてはいるけど何か縁があるのかなぁ。
それでは、『ここ半年の放送免許の継承と閉局 2023秋 - みむめもーど』に話は続きます。
*2:カッコ内の数字は最大輻射電力
*4:コミュニティ放送局「FMわたらせ(76.1MHz)」/加須市
*5:2局のどちらが白浜でどちらが船浮かは確定していないが、出力が同じなので区別がつかない。
*6:【苫小牧市】ついに開局!様々な方の想いを乗せ、「防災の日」にラジオ局「FMとまこまい」スタート♪ | 号外NET 苫小牧市
*7:MROラジオをよりクリアに!羽咋市など新たに2万1164世帯で「FM放送」開始(MRO北陸放送) - Yahoo!ニュース