「ラジオマニア2019」レビュー

今年も9月5日に三才ブックスより「ラジオマニア2019」が発売されました。
それなのに買うのをすっかり忘れていて、7月27日に発売になっている三才ブックスの書籍「ローカルラジオスター」と一緒に買いました。「ローカルラジオスター」はまだ手付かずです。広島だけ表紙が違うと聞いてうらやましいと思いつつ、仙台だけ表紙が違うとしたらそれは売れないよなとも失礼ながら思うのでした。そちらはそのうち読んで何か書くかもしれません。「ラジオマニア2019」では表紙裏に「ローカルラジオスター」の広告があり、巻末に「執筆後記」が載っています。『ラジオ、その愛』というサブタイトルが付いているのですが、それは決して大げさではなく、これだけでも「ローカルラジオスター」として取り上げられた8名のラジオパーソナリティ人間性の一端、インタビュアーの真摯な姿勢が伝わってきます。
それでは、「ラジオマニア2019」について。

ラジオマニア2019 (三才ムック)

ラジオマニア2019 (三才ムック)


表紙はAIWAから出たワールドバンドラジオ「AR-MDS25」。奥の方にAIWAから出ているもう一つの機種「AR-MD20」も見えます。AIWAブランドを使用する権利がソニーのラジオを実際に作っていた十和田オーディオ社のものになったと聞いていたのでソニーのラジオの後継機種かと思ったら中国TECSUN社のOEMなんですよね。
今年度版を一読した感想としては、機種レビューが多めだなと思いました。実際、表紙には赤い文字でこんなキャッチコピーが書いてあります。
『そのラジオ、買いか否か?』
具体的に目次から機種名を抜き出すと・・・
巻頭カラーページだけでも

中面のカラーページでは

後半の第2章「受信に役立つ情報&テクニック」においては

DAB+は日本では採用されていないデジタルラジオの方式で、この受信記を書いた方はノルドメンデという欧州のメーカーのTRANSITA 200という機種を通販で買ったうえでドイツに持って行くというマニアっぷりを発揮されています。

ちなみにマニアと言えば、本誌の後半にはラジオのマニアについて細かく分類してみた読み物「ヘンタイラジオマニア番付」があります。鉄道マニアで言う所の乗り鉄とか撮り鉄とかいう分類をラジオでやってみるとどうなるか。もちろんラジオは聴くものですが、その番組の楽しみ方や関わり方によって細かく分かれるもののようです。番組というソフトではなく受信機というハードでもいくつもの分類ができるようです。あとで紹介しますが自作ラジオとかラジオの改造なんてのもこのカテゴリーです。そして、たぶん私はここに入ってしまうのでしょうが放送の制度、システムについて自己満足で趣味として知識を集めている層。こう書かれてしまわないように気をつけないといけないなと自戒する私なのです。


明るい話をしましょう。巻頭カラーページに戻ります。
目次の次は二人の女性アナウンサーのインタビューから始まります。
ひとりは新潟放送の三石佳那アナウンサー。今春の「ラジオ新番組選手権」で優勝されたそうで今後が期待される方です。もう一人は茨城放送菊地真衣アナウンサー。ミスユニバースにも挑戦されたと聞いてヤな予感がして調べたら、菊地さんが準グランプリになった茨城県大会のグランプリは・・・そう、茨城県日立市出身のあの人です(もちろん本誌にあの人は一行たりとも出てきません)。


前述の機種レポートのあとモノクロページになって、第1章「ラジオ番組を楽しもう」。
まず「ラジオマニアニュース」。去年はどうでもいいニュースからどうでもよくないニュースまで取り混ぜていたと思うのだけど、今年はどうでもよくないニュースとどうでもいいニュースが完全分離。どうでもよくない方のニュースはいずれも本当に大きなニュースだと思います。「王の帰還*1は私もタイムフリーで聴きました。
「ラジオの裏方お仕事内容紹介」はなんとなく知った気になっている裏方さんの仕事について、こんなことをやっているのか、と見直すことができると思います。
「ラジオ 記憶のすみっこ」は「カルトQ」のようなクイズコーナー。私はほとんどハズレました。我こそはと思う方は「検索厳禁」で挑戦してみると良いと思います。
もちろん「各局イチ押し!フレッシュプログラム」では各ラジオ局イチオシの番組が紹介されています。東北放送からは夕方の新感覚ニュースショー「NEWNEWS」、Date fmからはこの春スタートした圧倒的午後ワイド「RAD~Radio All Day~」が紹介されています。IBC岩手放送や山形放送、ラジオ福島は載っていませんが、フレッシュな番組が無かったのだろうか…。民放ラジオ101局のうち71局のおすすめ番組が載っているので、興味をそそられるものが見つかったらradikoプレミアムででも聞いてみてもらえるとありがたいです。
ラジオ放送に関する情報としてはこのほかに、後半の第2章「受信に役立つ情報&テクニック」において「短波BCLの最新動向」が解説されています。


中面カラーページの恒例企画「1局集中ガイド」。今年は「うちに来てほしい」との要望を受け、KBS京都へ。TBSラジオよりも1日早く開局している歴史のある放送局です。ラテ兼営局ですがテレビの話は無しでラジオのスタジオの設備が細かいところまで紹介されています。平日のワイド番組を担当されている4番組8名のインタビューもあります。この夏あの北野誠さんと竹内義和さんを同時にゲストに招くという事件*2を起こした角田龍平さんにその事件について尋ねているのが本誌らしいと思います。もちろん番組紹介もあり、京都出身のお笑いコンビと言えば…そう、チュートリアルの「キョートリアル!~コンニチ的チュートリアル~」にミキの「ミキの兄弟でんぱ!」も紹介されています。本誌は秋改編前の9月に発売されています。チュートリアル徳井さんの税金問題のために急遽「キョートリアル!」が打ち切られた局向けに放送された京都のバンドQyoto(キョウト)の「今日はQyotoにおいでやす」も紹介されています。


今年度は機種レビューが多いと冒頭にも書きましたが、ラジオ受信機は買うだけでなく作るという手もあります。
ラジオの工作に関しては
中面カラーページに「FMステレオ・デスクトップラジオの製作」。
昨年もICチップを用いた電子工作がありましたが、今年もあります。
後半の第3章「ラジオハイパーマニアックス」ではマニア向けなものが2台。いや2題。
ひとつは「ラジオ魔改造」と題して、東芝TY-HR3というポータブルラジオを2台使って…こんなことができるのは見た目は昔ながらのアナログラジオ風でも中身はDSPチップでできているからなのだそうです。
もうひとつは「Google Nest Hubで自転車ラジオ」。スマートディスプレイというのがあるの? 私はもうそこから分からないのですが、そういうのを自転車にくっつけてカーラジオを聴くっぽくradikoを聴きながら自転車に乗る。そんな夢のようなことも今の世の中だと出来てしまうのですね。


時代はradikoでありFM補完放送です。FM補完放送の制度やAM放送の将来に関しては第1章と第3章にそれぞれ読み物があります。また第2章ではFM中距離受信に関するレポートがあります。
巻末は恒例の第4章『ラジオ番組表アーカイブ』。今回は30年前にタイムスリップ。「ラジオ新番組速報版」1989年秋号の抜粋となります。表紙の顔は田村英里子さん。定価650円というのも時代を感じさせます。時代と言えば「ローカルラジオスター」で取り上げられている8人のラジオパーソナリティのうち3人が既に番組を持っているのね。及出泰さん(現・YASUさん、HBCラジオ)、ヒロ寺平さん(FM802)、小田静枝さん(現在はひらがな表記、FM802)。主要局のみということで広島FMとか中国放送までは載っていないのだけど、「1局集中ガイド」で取り上げられたKBS京都は載っています。「KBS京都はいぱぁナイト」という夜ワイドがあった時代です。まぁ懐かしい番組が次から次から。
東北放送だって、まだ午後ワイドが「TBCプロムナード」だし、パーソナリティ陣の中に郡和子アナがいるし。誰が30年後に衆議院議員になって仙台市長になると思うか。そういえば午前ワイド「昼までご一緒あなたとAM」の女性アナウンサー5人のうち一枠が消されている。岡崎トミ子アナが衆議院議員選挙に出馬するために退社したのがこの頃だったのかな。そうかと思えば夜ワイド「男女りすなぁ若者語」には本間秋彦さんや佐々木真奈美さんがいるし、日曜夜には「ロックンミーハー」という真奈美さんがDJを務める音楽番組もありました。日曜午後の「サンデーテレフォンリクエスト」は石川太郎アナと金ヶ崎伸子さんのミミゾーコンビがいます。写真は無いけど土曜午後ワイド「佳山明生のわがまま土曜日」の出演者として藤沢智子アナと渡辺敏之アナのナベともコンビの名前が書かれています。(※この段落でのアナ表記は30年前に局アナだった方に用いています。)


もし、本書の内容に、この程度じゃラジオマニアとは言えねぇな、と思う人がいるなら、投稿を募集しているのでアピールするのもアリだと思います。本誌で使用した機種のうちいくつかについて読者プレゼントもあります。
別冊付録「RADIO-MANIA handobook 2019-2020」は本誌の表紙では「受信に役立つデータ手帳!」と紹介されています。こちらはまだきちんと読んでいないのですが、2019年9月をスタートとする向こう1年間のスケジュール帳(主なラジオ局の開局日付き)、受信報告書の様式(和文、英文)とか、ラジオ局の周波数や住所、主送信所のおおよその位置といったデータが載っています。

*1:「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」に伊集院光さんがゲストで出た回

*2:何がどう事件なんだと思う人は各自ググってください