カルメン’100-77

『UFO』は1978年の日本レコード大賞受賞曲だけど発売は1977年12月だったんですね。その1977年の最初に出した曲が『カルメン’77』。
ピンク・レディーを持ち出しているのは単なる駄洒落です。
UFO2 - みむめもーど
有報こと有価証券報告書東北放送株式会社の第95期有価証券報告書は定時株主総会が終了した6月20日の午後に金融庁の電子開示システムEDINETに公表されました。ご案内の通り、収入というか売上高が減った分だけ経常赤字が悪化したということになっています。損益計算書をご覧になってください。

それはそれとして、私が気になったのは第4章の4、役員の紹介のあとにある「監査の状況」という項目のところ。

当社は、常勤監査役1名及び社外監査役2名で任意機関である監査役協議会を構成している。

任意機関ってどういうこと?
ちなみに前期、昨年の有価証券報告書でここに対応する部分の言い回しは

当社は、常勤監査役1名及び社外監査役2名で監査役会を構成している。

でした。監査役が集まって話し合うのであろう監査役会が任意機関である監査役協議会というものに変わったようです。なお、この項目を読んでいると

 監査役会および会計監査人が設置されていた当事業年度に開催された監査役会は3回で、全監査役が3回すべてに出席している。

 (中略)

 当事業年度の監査役会においては、監査の方針及び監査計画、監査報告の作成、会計監査人の選解任又は不再任に関する事項、会計監査人の報酬等に対する同意、監査役会設置会社及び会計監査役設置会社の定めを廃止する定款変更案に対する監査役会意見表明、定時株主総会への付議議案内容等について審議した。

と書かれています。
EDINETで公開される資料には有価証券報告書本文のほかに監査報告書と添付文書(招集通知、決議通知、定款)があります。で、株主総会の招集通知というpdfファイルを眺めてみますと表紙の招集通知のなかに「第1号議案 定款一部変更の件」とあります。ページをめくると議案の概要が書いてあります。pdfのコピペができないので書き写します。

 減資に伴い会社法上の大会社ではなくなったことにより、会社法第328号による監査役会及び会計監査人の設置義務から外れたため、現在のコーポレートガバナンス体制を維持する前提で監査役会及び会計監査人の取り止め等、企業規模に合ったコンパクトな体制、それに基づく安定的な経営遂行を目指すべく、本総会終結の時をもって定款の一部を変更するものです。

Wikipediaで「監査役会設置会社」というのを調べると、現行の会社法においては、原則として株式会社には監査役会を設置する必要はないのだけど、大会社である公開会社には設置義務があるのだそうです。
大会社とは資本金が1億円を超える会社、東北放送株式会社は2021年12月1日に資本金を7億5千万円から1億円に減資して法律上の大会社ではなくなりました。公開会社というのは定款に株式の譲渡制限に関する条項を定めていない会社というぐらいの理解でよいでしょうか、逆に言えばすべての株式に譲渡制限がかかっているのであれば株式が公開されているとは言えないと。今後は法人登記で常勤監査役とか社外監査役とか区別して表記する必要がなくなるのかな。現在の監査役は3名で、東北放送河北新報社東北電力から1名ずつ出ているという認識でよいのだと思います。監査役が要らなくなるというわけでは無いので引き続き監査役としての業務は行われます。一方、会計監査人は公認会計士の竹田正幸さんが7年間担当されてきたようですが、今期が最後のお仕事でしたということになるのでしょうね。来年も有価証券報告書が公表されるのかどうかわかりませんが、その末尾に監査報告書は付かないことになるということになるのでしょう。

せっかくなのでこのまま東北放送株式会社の定時株主総会の招集通知を眺めてみます。
定款から監査役会に関する条文が削除されるなどの改定が提案されています。
取締役(この時点では候補)の紹介が載っています。唯一の新任となる和泉晃氏について、(注)3として以下のように説明されています。

候補者和泉晃氏は、株式会社TBSテレビネットワーク局長であり、2023年6月に同社執行役員に就任予定です。同社とは当社が加盟する放送ネットワークのキー局として継続的な取引関係があります。
和泉晃氏は、社外取締役候補者であり、候補者とした理由は、同氏が就任予定である放送事業会社の執行役員として、放送局の事業運営・経営戦略について助言や提言頂くことを期待したためであります。

前任の林氏についてもこんな感じの説明がついていました。
事業報告。※当期より東北放送株式会社単体での事業報告と致します とあります。
ラジオ部門。タイムセールスは前期比101.4%。「いぎなり宮城スイーツ」が好評を得た。前期好調だった健康食品の通販と行政の新型コロナ感染症関連広報などの出稿は縮小。プロ野球中継は土日などの単発セールスが苦戦したが、レギュラーナイターのセールスは前期を上回った。
スポットセールスは前期好調だった飲食のデリバリー関連や法律事務所関係のスポンサーなどの出稿が大幅に減少して前期比78.6%と苦戦した。
6月に実施したラジオの共同聴取率調査では、全日(6-24時、男女12-69歳)の聴取率で、FM仙台を上回った(TBC2.3%、FM仙台2.2%)。

ちょっと待った。
FM仙台は2021年12月調査で「★全日オールターゲット単独No.1の快挙!」(※男女12-69歳 全日平均)を宣言し、久々にアップロードされた2023年4月期のタイムテーブルのpdfファイルでも「★7:30~18:30(自社生ワイド番組OA時間帯)ALL TARGET(※1 男女12-69歳 平日・週平均)単独No.1(※2 '21年12月と’22年6月調査の合算データ)の快挙!」を宣言しているのだけど、これは2回の調査の合計だとFM仙台が上だが22年6月だけだとTBCラジオが上だということなのか? 21年12月は様々な細分化された項目でDate fmが圧倒的なシェアを獲得したという円グラフをたくさん載せたうえで『えっ!?60代のシェアですか? 聞くだけ野暮ですよ・・・。』と書いていたくらい数字がよかったから22年6月と合算してもまだなお貯金があるけど22年6月だけだと悪かったということなのか? コアターゲット(男女20-49歳)から外れる層である(12-19歳と)50-69歳ならTBCラジオはまだまだ聴かれているのか?

事業報告に戻ります。
テレビ部門。前年比タイム98.8%、スポット89.2%の計93.0%。
TVerとかNEWS DIGとか配信に力を入れている。
2022年度の仙台地区全日平均視聴率は個人、世帯とも2位タイ。
その他部門。「全国やきものフェアinみやぎ」は2万人以上の来場者、20年ぶりのtbc桜まつりは5500人、3年ぶりリアル開催のtbc夏まつりは89000人。
ママさんバレーボール大会ではAIカメラで自動撮影してWEB配信。そんなことも試みているのですね。

主要な事業所なんて項目があって、東京支社の移転が3月13日って明記されています。移転したんだな。
財務諸表の資産除去債務に関する注記というところで

当社は、営業事務所及び東京支社の建物貸借契約に基づき、退去時における原状回復に係る債務を有しているが、当該債務に関連する貸借資産の使用期間が明確でなく、移転の予定も無いことから、資産除去債務を合理的に見積もることができない。そのため、当該債務に見合う資産除去債務を計上していない。

という文章との整合性はどうなっているのでしょうね。前回もそうだけど、移転の予定もなかったのに3月になると衝動的に移転しているのだろうか。
有価証券報告書の第3の2主要な設備の状況を前期と今期で見比べれば建物が502→2584、機械及び装置が964→536、その他有形固定資産が992→4248(単位は千円)と大幅に変化しているのだから何かあったことは間違いない。私よりこの問題に詳しい「朝塩」警部殿は、かつて東京支社が入居していた南海東京ビルディングには既に別のテナントが入居していることを現地調査して確認していらっしゃいます。(「どちらTBCです - みむめもーど」のコメント欄に書き込まれています。調査ありがとうございます。) だから今回の数字の変化はシェアオフィス・SPACES赤坂から赤坂日ノ樹ビルへの移転に伴うものであることは間違いありません。
引っ越したかったら引っ越すのは勝手だし、株主でも何でもない私に断る義理なんてこれっぽっちも無いのだけど、株主に対してもたぶん説明はしていないんだろうね。
あっ、株主総会では会議の目的事項として「第95期事業報告及び計算書類の内容報告の件」とあるのだけど、Wikipediaで「会計監査人」の「職務」というところにこんな説明があります。

計算書類(およびその附属明細書)を監査する。事業報告(およびその附属明細書)については監査義務はない。 こうして監査を受けた計算書類が取締役会の承認を受け、さらに所定の要件を満たす場合には、計算書類は株主総会では「承認」は不要となり「報告」さえすればよい。

公認会計士さんがきちんと監査をしているので株主総会では財務諸表は報告さえすればよい。来期からは会計監査人が定款から消えるのだから株主総会で承認を受ける必要があるのでしょうか。まぁ反対する株主なんていないのでしょうけど。
株主が376名で2名減。その他の法人から1つ、個人その他から1つ、減っています。持株数ではその他の法人が200株減り、個人その他が200株増えています。誰から誰にどんな移動があったのでしょうね。

とりあえず今期の東北放送株式会社の有価証券報告書絡みでの感想はこんなところです。あとはコメント欄に何か書かれたら何か考えて書きます。


ところで、コメント欄に警部殿からMBSメディアホールディングスが非上場企業であるという情報をいただきました。その件に関して。
まず、JNN(TBS系列)ではTBS、CBCRKB持株会社はそれぞれ東京、名古屋、福岡の証券取引所に上場しており、新潟放送もかつてのジャスダック市場に店頭公開していた流れで現在の新潟放送持株会社BSNメディアホールディングスも東証スタンダード市場に上場しています(証券コード9408)が、MBSは上場していないんですね。そのせいかMBSメディアホールディングス有価証券報告書はEDINETに出ていません。持株会社のサイトの決算情報のページから財務諸表のpdfファイルをダウンロードする形をとっています。ちなみに、もう一つのJNN基幹局、HBCは2015年で有価証券報告書の公開を終了し、現在は局のサイトで決算公告のpdfファイルを公開する形をとっています。持株会社に移行したRSK山陽放送持株会社化する以前から有価証券報告書を公開しています。このほか、現在はJNNではありませんがMBSのライバル局、朝日放送は今は亡き大阪証券取引所に上場していました。大阪証券取引所東京証券取引所と合併したために東証上場ということになり、今でも東証に上場しています。

TBSホールディングス(2020年10月1日に東京放送ホールディングスから社名変更)の株主総会はまだみたいで最新の有価証券報告書がまだ出ていないのですが、古いものを調べてみたら、毎日放送の三村景一社長(当時)が社外取締役を務めていた時期の第92期(2018/04/01 ‐ 2019/03/31)の有価証券報告書で、社外取締役がこんなに立派な人ですよという説明を書くところ「社外取締役および社外監査役の員数ならびに当社との関係」の欄にこんな記述がありました。

取締役三村景一氏が代表取締役社長を務める株式会社毎日放送は、当社グループの中核会社である株式会社TBSテレビと同一の事業の部類に属し、かつ同社との間に番組供給・テレビ電波料などの継続的な取引関係があります。また、株式会社毎日放送認定放送持株会社である株式会社MBSメディアホールディングスは、当社の発行済株式総数の5.06%(信託分は除く)を所有しており、当社は株式会社MBSメディアホールディングスの発行済株式総数の9.75%を所有しておりますが、経営に影響を与えるものではありません。なお、取締役会長武田信二は、株式会社MBSメディアホールディングス社外取締役を務めております。

これはWikipediaの「MBSメディアホールディングス」の資本構成の項で書かれている2016年3月31日現在のデータで筆頭株主が「東京放送ホールディングス 2,570千株 9.75%」というのと一致します。そこから株を増やしているのか減らしているのか分かりませんが。どうやら2016年までは毎日放送有価証券報告書を提出していたみたいです。2017年に持株会社化することで有価証券報告書の提出義務を免れるようになったのでしょうか。