「ラジオ番組表」2022春号レビュー

三才ブックス刊「ラジオ番組表」2022春号は4月28日に発売されました。
もはや恒例となった別冊付録が付いて1320円(税込み)と高価なのですが、今号の別冊付録は2020年に発売された「必聴ラジオ100」「必聴ラジオ2021」から抜粋した「必聴ラジオベストセレクション」でご機嫌を伺っております。
AM、FM、民放、NHK問わず62番組が紹介されています。番組によって1ページだったり2ページだったりして、Date fm『SOUND GENIC』は2ページを割いて紹介されています(「必聴ラジオ100」でも2ページにわたって掲載されていました)。
抜粋と言ってもデータはアップデートされており、たとえば『SOUND GENIC』はコーナーレギュラーが現在のものになっていますし、東北放送『3.11みやぎホットライン』(「必聴ラジオ2021」掲載)はパーソナリティが藤沢智子アナと守屋周アナの二人であることが紹介されています。もちろん以前発売された2冊に掲載されていても現在終了してしまっている番組は今回は掲載されていません。『ロジャー大葉のラジオな気分』(「必聴ラジオ100」掲載)とか。『蓮臺寺 お寺でふぅ~』(「必聴ラジオ100」掲載)は3か月に1回の番組として継続しているのだけどtbcラジオタイムテーブルに載ってないからか選に漏れてしまっています。
「必聴ラジオ100」「必聴ラジオ2021」は現在も発売されているようですが、他社からも同様のラジオ番組レビューのムック本が出ていますし三才ブックスも今年1月に「ラジオマニア.net」というラジオ情報サイトを立ち上げて番組情報を紹介するようになったので、適宜目についたところからラジオ番組を見つけていただければと願います。

別冊付録の紹介を先に書きましたが、別冊付録はラジオに携わるプロのライター(三才ブックスと関わりの無い方もいます)がおすすめの番組を深く解説したものであるのに対し、本誌は今春の改編情報を概観するものとなっています。

表紙は金髪の女性。モーニング娘。’22の生田衣梨奈さんです。
表紙の裏は恒例の「ポチっとMラジ」、MBSラジオの番組バナーが散りばめられた広告。おとなりはMBSラジオの注目番組インタビュー。今春は『アミューズPresentsチュート徳井・レイクレてっちゃんのA Music Chance』を担当される徳井義実さんと「LAZY LIE CRAZY」(レイクレ)のてっちゃんさん。音楽番組だそうで、この春リニューアルされたのかな、お二人の初収録の日に意気込みなどを伺ってきたということです。ちなみに番組スポンサーのアミューズは芸能事務所ではなくパチンコ&スロットのチェーン店のようです。
巻頭カラーの番組情報はまず「番組改編トピックス」。『オールナイトニッポン』レーベルの諸番組のパーソナリティ変更、NHKFM東京JFN文化放送TBSラジオラジオNIKKEIの改編情報が掲載されています。この枠は主に全国ネットの番組が紹介されるページなのですが、今期は文化放送が大きな改編になったこと、TBSラジオの午前ワイドの前任者の降板劇がネットニュースをにぎわせたことがあり、文化放送の午前・昼・夕方の各ワイド番組、TBSラジオの午前ワイドがこのページで紹介されています(本誌は伝統的に終了した番組やましてやそのいきさつについては一切触れません)。JFNは深夜ワイドを刷新し、狩野英孝さんが月曜深夜に番組を持ちました(Date fmにもネットされています)。NHKからはラジオ第一土曜お昼の新番組『とれたて音楽館』を担当する徳田章アナの写真が載っているのですが、何でイチゴの被り物?
「AM改編NEWS」は青森、福島、新潟、山口を除く43局の改編情報。今期は各局大きく変わったようで、やたらパーソナリティの写真を大きく載せて枠を占める放送局がなくなり文字が多め。『笑点』新レギュラーの桂宮治さんがTBSラジオ文化放送で新番組を始めることになり両方に同じ写真が出ています。東北放送からは『GoGoはみみこいラジオな気分』の枠拡大、新コーナー、新パーソナリティが紹介されています。
その後には「ラジオマニア」NEWSと題してKBS京都福山潤 キョウトニイケズ』の番組紹介、中国放送の覆面パーソナリティ・一文字弥太郎さんが2月に急逝された話題(「ラジオマニア.net」に追悼記事が掲出されています)、「ラジオマニア.net」の紹介が載っています。

目次のページから白黒になります。
「全国102局最新タイムテーブルのページ」
あれっ、数が減った? 今号からNBCラジオ佐賀の掲載が無くなったのです。これまでNBC長崎放送長崎県佐賀県で別編成を組み、佐賀で制作して長崎にネットする『さらば青春の光の「青春デストロイヤー」』という番組までありました。しかし、昨秋に佐賀県でもradiko長崎放送が聴けるようになったのを機に長崎と佐賀の別編成が全てなくなり同一編成となりました。信越放送青森放送など他の地域別編成をしていた局がradiko配信きっかけで地域別編成を止めたのと同じことが長崎でも起きたわけです(和歌山放送だけは地域別編成が続いているらしいです)。地域別の番組が全県(長崎の場合は佐賀と長崎の2県)で聴けるようになったと捉えることもできなくは無いのでしょうけど。昨秋の前号はそれでも長崎と佐賀の番組表を掲載したのですが、今号は長崎の番組表だけになりました。佐賀の住所、URL、ベリカード(受信確認証)の掲載は無くなり佐賀県内の中継局のデータは長崎県内の中継局の後に書かれています。ちなみに、NBCラジオ佐賀は2020年6月に佐賀駅前に、NBC長崎放送は2021年11月に長崎駅前にそれぞれ移転しましたが、本誌では移転後も移転前の旧住所のまま掲載されています。NBCラジオ佐賀のサイトでタイムテーブルをクリックすると2021.10-12期のものが表示され、2022年に入ってから放置状態になっているようです。NBC長崎放送のサイトでタイムテーブルのpdfファイルをダウンロードすると、本誌に掲載されているものは上部がちょん切られていることが分かります。そこには長崎と佐賀の周波数が書いてあり長崎と佐賀の共通の番組表であることが分かります。NBC長崎放送の新社屋移転のプレスリリースのpdfファイルもあります。
講釈が長くなりましたが、民放AMが47局、NHKは第1、第2、FMで3局と数えます、民放FMが51局、それとラジオNIKKEIで計102局という計算となります。
前述の通り今期は各局改編が大きめなので1枚1枚見て味わっていただきたいのですが、ひとつだけ。ラジオ大阪が久しぶりに若者向け夜ワイド「サクラバシ919」を立ち上げました。この番組は大阪市の桜橋ではなく東京の「ミクチャ」のスタジオから発信されており「ミクチャ」で同時生配信されています。ラジオ大阪、正確には大阪放送株式会社ですが2005年から産経新聞グループになっていたのですが、昨年7月に産経新聞が持ち株の一部を「ミクチャ」の運営会社DONUTSに売却し、DONUTSが筆頭株主になりました。産経新聞は第2位株主でまだラジオ大阪のロゴにはフジサンケイグループの目玉マークがついていますが、今回の企画が上手くいけば今後何か面白い動きが出てくるかもしれません。
ラジオNIKKEIまで102枚のタイムテーブルが終わると、AFN東京の大まかな番組表に続いて各種データのページに移ります。海外日本語放送スケジュール、全国339局コミュニティFMリスト、最新版全国放送局周波数リスト、全国AM番組ネット局一覧表、50音別タレントINDEX。
NBCラジオ佐賀の番組表が無くなったことで「全国AM番組ネット局一覧表」が50番組から70番組に増えました。今期の改編の目玉の一つに『オールナイトニッポン0(ZERO)』のネット局が5局増えたというものがあります。山口、宮崎は一覧表に反映されている*1のですが秋田、福島、熊本は反映されていません。TBS系列からニッポン放送への鞍替えは2020年以降顕著になっていますが、秋田と福島はTBS派だと思っていたので意外でした。意外といえば今期は北海道放送が7局目の『レコメン!』フルネット局になったのも意外でした。ナイター中継で文化放送にお世話になるようになった恩返しなのでしょうか。そういえばこっちも秋田と福島はTBSから文化放送に乗り換えたんだった。
また余談が長くなりました。令和とは忖度をする時代なので「全国AM番組ネット局一覧表」の粗探しは止めたのですが*2、今回はさらっと眺めただけでも東北放送の欄に『アナログタロウ 痛快!アナログヒッパレ~♪』(石川太郎の「ジャパネットたかたラジオショッピングスペシャル」が放送され無い週の(土)9:00-9:30)、『キョートリアル!』((月)22:30-23:00)、『吉田照美神羅万SHOW』(野球中継が無い週の(土)16:00-16:30)が載っていません。他の放送時間に注釈が付く番組を正しく取り上げられているのに。
白黒ページの最後は読者投稿「リスナーの主張」やプレゼントのお知らせ、「イチ推し番組・DJランキング」の応募券8枚などがあります。読者投稿のなかには、そうだそうだそのとおりだ、と激しく同意するものもあるのですが忖度してここには書かないでおきます。まぁそんな広告主たちに忖度なんてしたくは無いのですが。東北放送のアナウンサーたちにとってはラジオドラマのいい練習になってるようなCMもありますし、何かの役には立っているのでしょう。

巻末カラーページはまず「FM改編NEWS」。5ページに全国41局のローカル番組が詰め込まれています。Date fmからはいつの間にか金曜夜の『Music Spiral』からいなくなっていた門松良祐さんが月曜夜に『門松良祐のフォーティーラブ(40・0)』を始めたこと、月曜昼に県内のアマチュアミュージシャンを取り上げる『MUSICA♪NOVA』が始まったこと、『SESSION!』月曜の担当が四星球というバンドになったこと、月曜ばかり3点紹介されています。NACK5ではこれまで日曜朝に番組を持っていた斉藤リョーツさんが土曜早朝のワイド番組の担当になったようで、ということは土曜早朝のワイド番組を担当していた斉藤百香さんは月-木夕方の『キラスタ』のみの担当に戻ることになりますね。
FM大阪では「あのレジェンド声優が登場」という話題が紹介されています。『New Normal Life~優しさであふれる毎日を~』。Date fmのサイトの日別番組表を見て気になって第1回をradikoタイムフリーで聴いてみました。何が気になったか、Date fmのサイトの日別番組表にはTBCラジオと違って番組スポンサーが明記されているのですが、そのスポンサー名に聞き覚えがあったからでした。「イドルシアファーマシューティカルズジャパン」。似たような会社名の「アクテリオンファーマシューティカルズ ジャパン」がスポンサーだった『Keep On Smiling』という番組がありました(20101年4月-2018年9月)。まさか、その番組と同じパーソナリティ山寺宏一さん。それに今回は野沢雅子さんと二人で担当すると言います。調べるとアクテリオンは2017年ジョンソン・エンド・ジョンソンに買収されヤンセンの子会社になったのだけど、アクテリオンのバイオテクノロジー関係の研究開発部門は分離独立してイドルシアになったのだそうです。かつて拙blogにFM大阪の番組が相次いで某若手女優のFM東京の番組のせいで打ち切られたと主張してきた者がいました。彼の言が正しいとは私は思いませんが、彼の言によれば打ち切られた番組が雌伏3年半、当時のスポンサーをルーツに持つ企業をスポンサーに復活を果たしたということになります。しかも野沢雅子さんもかつてFM大阪制作の番組を持っていました。一時期Date fmにもネットされていましたがいつの間にか大阪と東京の2局ネットとなり昨年9月で終了していたようです。ということはこの度山寺さんの番組と野沢さんの番組がまとめて復活したとも言えます。ただし前の山寺さんの番組が一時期とは言え38局フルネットだったのに対し、今回は大阪と東京、Date fmの3局ネットとなっています。大阪とDate fmは同時ネットです。
また脱線しました。最後は「読者が選ぶ好きなDJランキング」改め「第1回イチ推し番組DJランキング」結果発表。私は勘違いしていたのですが、これまでは春号は中間発表だったのですがこれからは半年ごとに結果発表となります。勘違いしていた人は私のほかにもいたのではないでしょうか、得票数を見ると一人を除いてさほど多くなく、2票以上入った方もそう多くはありません(今回は1票だった人の名前は割愛されています)。これから本書を買われる方は募集期間が半年であることに留意する必要があると思います。これから募集するのは地方番組部門(※東京・神奈川・埼玉・千葉以外の県域放送局のローカル番組で他局にネットしていない番組)と名アシスタント(パートナー)部門の2つだそうです。
今回発表される部門は3つありました。それぞれの1位の方のインタビューが掲載されています。アイドル部門は表紙の顔、モーニング娘。’22の生田衣梨奈さんです。9期だそうなので石田亜佑美さんの先輩になるのですね。「モーニング女学院」が始まって10年が経ったのだそうで、たまには聞いてみようかな。アナウンサー部門は秋田放送の鴨下望美アナ。実は彼女一人だけ大量の得票を得たのですが、一緒に番組を担当している秋田放送の林さくらアナが4位、二人の番組と担当曜日が違うもののFM秋田の裏番組の担当者であるフリーアナの相場詩織さんが2位と秋田県の皆さんが今回も大活躍でした。そういえば一般人ということになっている某アイドルの奥様も元秋田放送アナウンサー。実は全国から秋田美人に負けない美貌の持ち主を集めているのだろうか? あっ、なべくらみほさんも元秋田放送アナウンサーだった(笑)。コミュニティFM番組部門でも4位に秋田県の横手かまくらFMの番組が入っていますが、こちらの1位は福島県須賀川市のウルトラFMの『Dream Zoneの今日も”おけまる”』。Dream Zoneは全国各地で番組を持っているラジオパーソナリティグループなのだそうです(局の公式サイトにはアイドルグループと書いてある)。この番組にはあの襟川クロさんの映画コーナーやねづっちさんのお笑いコーナーもあるんだそうです。二人ともTBCラジオで聴かなくなったと思ったら福島でコーナーを持っていたのか。「JCBAインターネットサイマルラジオ」で聴くことができます。
裏表紙裏は「三才ブックスオンラインショップ」の宣伝。5月27日まで有効の500円オフクーポンが発行されるコードが書いてあります。裏表紙は今号も「音響芸術専門学校」の広告が出ています。出稿ありがとうございます。

*1:ただし山口は番組表に『上柳昌彦あさぼらけ』を載せていないため放送時間が29時までとなっている、ある意味忠実に反映している

*2:本当は私が衰えて粗を見つけることができなくなったから止めたのです