「ラジオ番組表」2021春号レビュー

新コロの猛威がまさかの2年目に突入する中、三才ブックス刊「ラジオ番組表」2021春号は例年通りの4月27日に発売されました。

別冊付録

今号も昨春にスタートした別冊付録が付いて1320円(税込み)と高価なのですが、今号の別冊付録はありそうでなかった新機軸『全国ローカルワイド番組大全(AMラジオ編)』正味64ページ。タイトルの通り全国のAMラジオ局のワイド番組がたぶんほとんど紹介されています。高くなった分だけの価値はあります。
この付録は三才ブックス・ラジオ班のTwitterで4月9日に公表され、これに興味を持ったネットニュースサイト「まいどなニュース」で紹介されました。Yahoo!ニュースにも載っているのでリンクを貼っておきます。
有名ラジオ専門誌の編集長、テレワーク中にひらめいた付録は「初めての試み」 本誌表紙は根本凪さん(まいどなニュース) - Yahoo!ニュース
テレワークがきっかけで発案したというというところが時代なのかもしれません。radikoプレミアムで(有料ですが)全国のラジオ局が聴けるので、家で仕事をしながらでも気軽に聞けるのがラジオのワイド番組の良いところなのだと思います。
内容ですが、まず平日の帯番組(月曜から金曜、もしくは月曜から木曜の番組)について早朝、朝、昼、夕方、夜、深夜というおおまかな時間帯の区分で全国各地のワイド番組が紹介されています。そのあとに月曜から順に曜日別のワイド番組が紹介されています。ワイド番組というのは1時間を超えるというのが定義だったような記憶がありますが、本誌奥付にある説明では『全国ネットされていない90分以上のローカル番組』を基準としているようです。
時間帯の区分はかなりあいまいで、それがAMラジオ的だと言われればその通りなのですが、朝6時台、7時台の朝ワイドと9時台、10時台の午前ワイドが同じ朝のカテゴリーとされ、「伊集院光とらじおと」(8:30-)→「森本毅郎・スタンバイ!」(6:30-)→「くにまるジャパン 極」(9:00-)→「おはよう寺ちゃん」(5:00-)の順に掲載されていると、時系列が・・・、と混乱してしまいます。ここだけがタマにキズですが、すべてのAM局に朝ワイドはあるのでそれらが一覧できるというのは壮観です。
東北放送に関しては、朝のカテゴリーで「Goodモーニング」と「en∞Voyage」が紹介されています。が、「en∞Voyage」の名久井アナと安東アナが隔週水曜担当となっていて、本誌掲載の基本番組表よりも情報が新しくなっているのには驚きました。5月から変更になります。午後のカテゴリーにはこの春スタートした「GoGoはみみこい ラジオな気分」、夕方には「シロクジTUNE」、月曜には「NEW NEWS」、金曜には「ラジオな気分フライデー2」、土曜には「サタディ・イン・ザ・パーク」、「あつらじ」、そして日曜にはデーゲーム中継日程の都合でまだスタートしていない「ロジャー大葉の愛してJ-POP天国」までもが紹介されています。紹介内容も簡潔かつ適切です。

表紙と特集

ラジオ番組表2021年春号 (三才ムック)

ラジオ番組表2021年春号 (三才ムック)

  • 発売日: 2021/04/27
  • メディア: ムック
今回の表紙は「虹のコンキスタドール」、「でんぱ組.inc」の2グループのメンバーなのかな、根本凪(ねもと・なぎ)さんです。
拙blog的に根本さんといえば東北放送の根本宣彦アナウンス部長(水戸市出身)を思い浮かべるところですが、こちらの根本さんも水戸市出身。ということで地元のLuckyFM茨城放送(今年4月からFM局ぽい愛称になりました)で番組を持たれているようです。
今号の特集は「熱きローカルラジオ」。巻末カラーページにこの根本さんをはじめ11名のラジオパーソナリティのインタビューが詰め込まれています。どうしても紙幅の都合で一人当たりの記事が短めになるのですが、その中からあふれ出るラジオへの熱量は感じられると思います。東北地方からはエフエム岩手の阿部沙織アナが紹介されています。新人なのに被災していないのに震災特番を任されてしまった体験からリスナーとの信頼関係について述べられています。

本誌の中味

ピンクが基調の表紙をめくると表紙裏は恒例のMBSラジオの全面広告。新しいキャッチフレーズ「ポチっとMラジ」の上下に様々な自社番組のバナーが散りばめられたものです。その右隣にはこれまた恒例のMBSラジオのパーソナリティへのインタビュー記事。今回は「Aマッソの両A面」(第二火曜26:00-28:40)を担当されているAマッソのお二人。東京支社のスタジオではなく大阪の本社に出向いて(帰省して)放送されているのだそうです。ホームで深夜に生放送することの意義などが語られています。わたし的にはインタビュアーがいつもの豊田拓臣さんではなく日本エクストリーム出社協会の天谷窓太さんとなっているところに驚きました。違うよ、「おながわさいがいエフエム」でおなじみの天谷窓太さんですよね。豊田さんは巻末特集「熱きローカルラジオ」を担当されています。
「番組改編トピックス」ではオールナイトニッポンブランドの新番組「オールナイトニッポンX(クロス)」などニッポン放送オールナイトニッポン関連の改編、文化放送の深夜番組のリニューアル、FM東京JFNNHK第1&FM、TBSラジオラジオNIKKEIそれぞれの春改編について紹介されています。
「AM改編NEWS」では青森、秋田、信越、岐阜、高知を除くAM42局の改編情報。ラジオ関西で今何かと話題の東ブクロさんの番組ができるとか、山陰放送では「細かすぎて伝わらないモノマネ」でおなじみみょーちゃんさんとオキシジェン田中さんの番組ができるとか、細かい情報を知ることができます。かつて渋野日向子プロと契約していたRSK山陽放送が屋根裏のプロゴルファー・タケ小山さんとプロゴルファー・すし石垣さんの番組を始めたそうで、やはりゴルフに力を入れている局なんだなと思ったり。九州朝日放送が“KBC IMPAX”を思い起こさせる超長時間ワイドを始めるそうで、月-木の朝の部を担当される小林徹夫アナの写真を見て年齢相応に齢を重ねているんだなと思ったり。いろいろ思うことができます。東北放送からは新午後ワイド「GoGoはみみこい ラジオな気分」が紹介されています。
お次のページには特別企画『ジャンル別ラジオの楽しみ方大図鑑』。ラジオ機にもいろんな種類があって生活スタイルなどに応じて使い分けられるという提案として興味深く読むことができます。
巻頭カラーページの最後は三才ブックスオンラインショップの宣伝、本誌読者限定の500円オフクーポンが発行中だそうです。興味のある方は是非本誌を買ったうえで入手してください。

目次のページから白黒になり、本文である全国103局最新タイムテーブルのページとなります(NHKは第1、第2、FMで3局と数えます)。
番組表を1枚1枚あげつらってこの局のこの編成は“あたおか”だと叫ぶのは慎んだほうがよいのでしょうがひとつだけ。この春からなのかな、「宮川賢のまつぼっくり王国」が高知放送にネットされることになったのね。その放送時間が木曜正午! しばらく聴いていないので(毎週聴いていたとしても)あれこれ言う権利は無いのだけど、今や真っ昼間に放送されてもいいような品行方正な番組になったのだろうか?
ラジオNIKKEIまで103枚のタイムテーブルが終わると、AFN東京の大まかな番組表に続いて各種データのページに移ります。海外日本語放送スケジュール、全国336局コミュニティFMリスト、最新版全国放送局周波数リスト、全国AM番組ネット局一覧表、50音別タレントINDEX。
データで気になったことを2つ指摘しておきます。ひとつはコミュニティFMの大館放送とエフエム真岡が『2020年11月開局予定』と昨秋号のままになっていること。開局が今年にずれ込んだ大館放送はともかくエフエム真岡は2020年11月に予定通り開局したはずなのだけどコミュニティFMリスト、最新版全国放送局周波数リストとも開局予定のままアップデートされないでいます。
もうひとつは福島県に2つある受信障害対策中継局の扱い。会津地方の昭和村に9か所、浜通り葛尾村に11か所あるのですが、昭和村の9か所は具体的な地名が公表されており葛尾村の11か所は公表されていないためか、周波数リストでは昭和村の9か所は列記されていて葛尾村は1つだけの表記になっています。また、昭和村のNHK第1はコピペミスと思しき局名の誤植があり、葛尾村ふくしまFM(81.8MHz、福島・郡山局と同じ)は昭和村のふくしまFM(82.8MHz、会津若松局と同じ)と同じ周波数のところに誤記されています。なお、ラジオ福島ふくしまFMの番組表ページの局データ部には昭和村はひとまとめに「昭和村」として掲載されていて葛尾村は掲載されていません。
全国AM番組ネット局一覧表は50番組が調査されています。かつて拙blogはこのネット番組表の誤植探しをメインコンテンツにしていましたが平成の終わりとともに誤植探しもやめました。しかし、今号では東北放送のところを眺めていてひとつ見つけてしまいました。「吉田照美神羅万SHOW~斬り捨て御免」(日)16:00-16:55が抜けています。実際の運用としてはデーゲーム中継がある日は16:00-16:25は「ベストミュージックコレクションジャパン」がクッション番組として入っていて「神羅万SHOW」は16:25-16:55の30分バージョンになっています。また本稿を書き始めた5月9日はデーゲームが2時からだったため「神羅万SHOW」は13:00-13:55に繰り上がりデーゲーム中継は13:55-15:00と16:00-17:00の2部構成になりました。
全国AM番組ネット局一覧表の下段には「番組INFORMATION」として10の番組が紹介されています。拙blogではここで紹介されている番組がどの放送局でネットされているのか書け、と言い続けてきたのですが今号では紹介されているすべての番組についてどこの放送局でネットされているかが書かれています。例えば「X-GUNの激烈!ガッテム」は『TBC、YBSなどで放送』と書かれています。X-GUNほどの有名人だと50音別タレントINDEXにも『X-GUNの激烈!ガッテム 東北放送(日)24:30~25:00他各局ネット』と載っているわけですが、そうでないパーソナリティの方もいらっしゃるわけで、ネット局名を書いておいてくれればその局のページを見れば少なくともその局の放送時間だけは分かるわけですから聴取の助けになります。
白黒ページの最後は読者投稿やプレゼントのお知らせ、「人気DJランキング」の応募券10枚などがあります。

巻末カラーページはまず「FM改編NEWS」。5ページに全国41局のローカル番組が詰め込まれています。FM愛媛でティモンディの番組ができたとか、滋賀県e-radioムーディ勝山さんの番組ができたとか様々な情報が得られます。Date fmからはミュージシャンがDJを務める番組「SESSION」が紹介されています。
そのあとは前述のとおり「熱きローカルラジオ」5ページ11名のラジオパーソナリティのインタビュー。
最後は「読者が選ぶ好きなDJランキング」の中間発表。AM、FM、コミュニティの3部門に分かれていますが、いまのところ最も得票が多いのは長野県のコミュニティFMで番組を持っている「ダンプおやじBOY」さんです。何年か前に上位に入ってインタビューが載ったことがありましたね。お気に入りのパーソナリティさんがいる方は今号と昨秋号から応募券を切り取って秋が来るまでに応募すれば順位はまだまだ変わります。
裏表紙裏は「ラジオ受信バイブル2021」と「必聴ラジオ2021」の宣伝。裏表紙は今号も「音響芸術専門学校」が出稿されています。スポンサーについてくれてありがとうございます。