冬がはじまるよ

今日3月31日はBSデジタル放送の2つのチャンネル「Dlife」(BS258ch)、「FOX スポーツ&エンターテイメント」(BS238ch)、それに実態が最後までつかめなかったV-Lowマルチメディア放送「i-dio」が放送を終了します。
ところが、それだけでなく2つのFM放送局の停波が今日発表されたと知り、昨日公表された志村けんさんの訃報と並ぶ衝撃を受けています。

Radio NEOは2014年4月に「InterFM NAGOYA」として開局しました。その名の通り首都圏の外国語放送局「InterFM」が名古屋に建てたFM局でした。2015年10月に「Radio NEO」へステーション名を変更し、少しずつ名古屋ローカルの枠を増やしていきました。しかしそれらのほとんどが昨年12月末に終了、一部の番組は他の名古屋の放送局に移籍して継続という事案が発生していました。夕方の名古屋ローカル枠が今日で終了し4月からはほとんどの時間帯で「InterFM」垂れ流しになるようです。
外国語放送局というのは県域FM局を3つに増やすための方便だったのだろうと私は思っています。
大阪の「FM COCOLO」はライバル局「FM802」の傘下に入り民放唯一の1社2波(テレビに同様の例があるだろと思われる方もありましょうが、琉球放送琉球朝日放送は一応別会社です。「FM COCOLO」の運営会社はすでに清算されており2局とも「FM802」社が運営している)。
福岡の「LOVE FM」は西日本鉄道が持っていたコミュニティFM局に事業譲渡するという形で救済し、現在はRKB毎日放送からも出資を受け、RKBラジオでホークス戦中継と競馬・競艇中継が重なったときに競馬・競艇中継をLOVE FMに振り替えています。
そして名古屋では、放送機器メーカーでもある興和が中心となって「Radio-i」(愛知国際放送)を立ち上げたものの、何処にも経営譲渡することも無く10年半で放送を終了し会社を畳みました。そんなところに「InterFM」の経営権を持った木下グループが名古屋進出を発表し「Radio NEO」を立ち上げたわけでしたが、それも6年3か月で幕を閉じることになります。
名古屋市ではコミュニティFM局も2局廃局になっており(1局はのちに別会社として開局している)、既存のラジオ局が強すぎるのかラジオ業界の規模が拡大していかないようです。

FM PORT」(新潟県民エフエム放送)は上記の外国語放送局ではなく、県域の独立FM局です。Wikipediaには(開局時点ではJAPAN FM LEAGUEに加盟していたがのちに離脱。)と書いてあるのですが、「J-WAVE」のネット局的な立場でもないほぼ自主製作100%の県域局がそもそもどうして免許がもらえたのかが不思議でなりません。そりゃ新潟市だって政令指定都市ですが、北海道、名古屋、大阪、福岡といったいわゆる五大都市圏以外の地域で県域FM局が2局ある県は新潟ぐらいなものです。新潟トヨタ中越運送のバックアップがあったようですが、正直そこまで強大な企業なの? と思います。
2000年12月に開局し今年は開局20周年イヤー。しかしその前に「RadioNEO」と同じ6月30日に、19年半ほどでその歴史を終わらせる決断を下しました。お知らせを読むと正直に経営が苦しかったことが書かれています。
既存のAM局やJFN系列局ともコミュニティFM局とも異なる独特な番組編成をしていてそれなりにファンもいただろうと思います。好きな番組が終わるだけでも大変なのに、好きだった放送局が電波を止める、無くなると聞いたらその心中は如何ばかりか。さぞ辛かろうとお察しします。
新編成が始まってるのにまだタイムテーブル出ねーのかよ、新編成はパワーダウンも甚だしいじゃねーか、と地元のAM局に毒づいていられるのはまだ幸せなのだと思います。放送が聴けるだけありがたいのです。当地からFM PORTはもちろん聴けませんから思いを寄せることぐらいしかできませんが、新潟の皆様におかれましては最期の日々を愛でてほしいと思います。
今年は1月からRadioNEOの自主製作枠縮小だけでなくラジオNIKKEIの土日の放送時間が短縮になるなど、ラジオにとって不穏な年明けになりました。自粛ブームどころか外出禁止、経済活動の縮小が視野に入り始めた今、経営が持ちこたえられないラジオ放送会社が今回の2社に続いて出てくるのではという不安が生じてきました。コミュニティFMは今年11月に免許更新を控えていますので、更新をせず閉局する局が出てくるかもしれません。桜が咲くのに冬が来るなど、馬鹿な杞憂であってほしいと願います。