ここ半年の放送免許の継承と閉局 2021春

4月27日なのでブログを更新しなければならないのですが全然進んでおりませんで。
東北放送エフエム仙台の2021年4月改編については4月24-25日付のところと4月28日付のところに書くつもりです。
ここには前日4月26日付に上げたものの続きを上げます。

免許の継承と閉局

今期は分社化とか経営悪化に伴う経営移譲とか、それぞれの事情で放送局の免許が移動した事例がいくつかあります。まずはプレスリリースのあるものから。

  • 2021年3月10日
    • 株式会社毎日放送の中波放送局等の免許承継

これは近畿総合通信局ではなく総務省の本省のサイトで発表されています。

 総務省は、毎日放送ラジオ分割準備株式会社(代表取締役 浜田 尊弘)から無線局免許承継申請のあった、株式会社毎日放送代表取締役社長 三村 景一)所属の中波放送、超短波放送による補完放送を行う特定地上基幹放送局の免許人の地位の承継について、本日、許可いたしました。

株式会社毎日放送の会社分割に伴うもので、毎日放送ラジオ分割準備株式会社なる会社は4月1日付で「株式会社MBSラジオ」に商号変更しました。具体的に継承された無線局は、『中波放送局 : 親局1局、中継局1局、超短波放送局(FM補完中継局) : 親局の主たる補完中継局1局』。
プレスリリースには出ていないのですが、これまでの毎日放送コールサインJOORは「株式会社MBSラジオ」が継承し、テレビ専業となった「株式会社毎日放送」は新たにJOOY-DTVというコールサインを取得しました。

信越総合通信局(局長 杉野 勲)は、上越ケーブルビジョン株式会社(代表取締役社長 齋藤 俊幸)から無線局免許承継申請のあった、エフエム上越株式会社(代表取締役 熊田 唯志)所属のコミュニティFM放送局等の無線局の免許人の地位の承継について、本日、許可しました。

具体的には『特定地上基幹放送局(コミュニティ放送) 1局、陸上移動局 2局』が4月1日付で継承されました。
上越ケーブルビジョン(JCV)は1984年12月設立の新潟県上越市妙高市を事業エリアとするケーブルテレビ事業者で、2015年12月開局のFMみょうこうを運営しています。FMじょうえつ(FM-J)のwebサイトで会社概要をクリックしても、FMみょうこうのwebサイトで会社概要をクリックしても、いずれもJCVの会社概要のページに飛びます。このことから1社で2局を運営していることがわかります。しかし2局の番組表を見るとワイド番組は別々に作られているようで、共通で放送される自社番組もあるのですが別時間帯に放送されているようです。しかし、ググってみつけた新潟日報の記事によると、『JCV側は将来的にFMみょうこうと周波数を統合し、同一内容の放送を行うことも検討するとしている』と言います。
上越市、エフエム上越を無償譲渡 4月JCVに 赤字経営続き | 地域 | 新潟県内のニュース | 新潟日報モア
この記事によると、エフエム上越上越市第三セクターで累積赤字がかさんでいたので、上越市としてはJCVに無償で引き取ってもらいたかったようで、第三セクターが運営するよりケーブルテレビ会社が運営したほうが市民にとっていいんじゃないぐらいに思っているようです。
ちなみに上越市妙高市は隣町で人口規模は圧倒的に上越市のほうが上です。JCVは長岡市NCT三重県鈴鹿市ケーブルネット鈴鹿三重県四日市市のCTYと経営統合し共同持株会社CCJの傘下にあります。CTYは2017年にコミュニティFMのエフエムよっかいち(PORT WAVE)を吸収合併しCTY-FMとしています。ケーブルネット鈴鹿鈴鹿ヴォイスFMに出資しているようです(出資割合は不明ですが大株主ではなさそうです)。NCTとFMながおか(長岡移動電話システム)は互いに独立した関係だと思われます。ケーブルテレビ会社とコミュニティFM会社の関係は町によってそれぞれです。

ここからは地方総合通信局からのプレスリリースがないものになります。

  • ナナコライブリーエフエム

埼玉県の朝霞、志木、和光、新座の4市をエリアとするコミュニティFMは2007年4月に「すまいるエフエム」(朝霞市、76.7MHz、1W)として開局し、2018年1月にクローバーメディアに譲渡され志木市に移転し「クローバーラジオ」に改称、2018年6月に77.5MHz、10Wに周波数変更、増力して4市に電波が届くようになりました。しかし2020年7月に経営難から9月末での停波を発表しました。ところが『有難いことに、この地域のラジオ局を存続させるために、手を挙げて下さる企業様が現れました』として10月以降も電波は送出されています。その奇特な企業は朝霞市のリゾンという不動産会社で、「コミュニティシェアFM」という会社名になったということまでは拙blogでも以前取り上げました。
それからどうなったのかとWikipediaを見てみると、『ナナコライブリーエフエム(77.5 Lively FM)の愛称でコミュニティ放送をしている』といいます。『ホームページでは2020年10月20日を開局日としているが、放送免許はすまいるエフエムから引き継がれており無線局としては途切れず進んでいる。本社はリゾン本社内に置かれているが、志木市のスタジオと朝霞市の送信所はクローバーメディアのものを引き継いでいる。 』とのことです。経営権が継承されたものの放送の実際は変わっていないのかもしれません。具体的にいつから「ナナコライブリーエフエム」になったのかというのは諸説あり、ググると昨年12月に局名告知が「あさかエフエム」から「ナナコライブリーエフエム」になったという話もあれば今年4月にグランドオープンするという話もあります。よそ者の私が深く追及する必要は無いのですが、まぁこれまで通り放送が続いているようで何よりです。

  • エフエムせとうち

瀬戸内というと瀬戸内海を想像しますがそこではなくて、奄美大島の南端にある鹿児島県大島郡瀬戸内町に2012年4月にできたコミュニティFMです。webサイトは無くブログがあるのですが4年以上更新されていません。ブログに書いてある住所は町役場の住所になっています。この放送局が今年3月から総務省電波利用ホームページの無線局等情報検索にヒットしなくなったと一部で噂になっていることを知りました。
Wikipediaを見ると地元紙の奄美日日新聞の記事(3月13日付)のリンクがあるのですが、それによると

既存の放送局「エフエムせとうち」は2月末で廃局し、3月1日から放送を停止した。新規事業者による放送局は4月上旬、同町古仁屋の「せとうち海の駅」1階に開局する予定だ。

とのことです。
コミュニティーFM新設へ 瀬戸内町 | 南海日日新聞
記事によるとどうやら運営するNPO法人が町からの補助金頼みだったようで、かつて茨城県大子町でも指摘された“コミュニティFMは町営放送ではない”という点で問題があったのかと思われます。町が改めて放送局の運営事業者を募集した際(昨年10月28日のようです)これまでのNPO法人は応募せず、新たに手を挙げた別事業者が別の場所で開局を目指すこととなったため、「エフエムせとうち」は廃局ということになってしまったようです。電波を止めずに継承する手もあったとは思うのですが、町はいったん清算する道を選んだようです。新放送局は「国税庁法人番号公表サイト」に「一般社団法人せとうちラジオ放送 」という名称が4月7日に登録されているようです。所在地が「せとうち海の駅」のある場所なので間違いないでしょう。開局に向けた動きはググってみたけど見つからなかったです。

これはコミュニティFMではなくJFL、サッカーリーグではなく大都市圏の2局目の県域FM局に分類されるFM放送局です。「日刊合同通信」のヘッドラインで知ったのですが、地元紙の北海道新聞の記事(2月16日付)のリンクを貼っておきます。
北の達人、エフエム・ノースウエーブ買収 音声コンテンツ向けの広告配信強化:北海道新聞 どうしん電子版

北の達人は、ネット上で音声サービスの利用が増えていることに注目。効果的な音声広告を制作し、自社商品の売り上げ増につなげる。また自社商品などを扱うラジオ通販番組の制作も検討している。

「北の達人」というのは化粧品や健康食品をネット販売する会社だそうです。ラジオショッピングにはまだビジネスチャンスがあると意欲的な企業のようです。この買収を単に地方の放送局を手に入れたということではなく、radikoを使って自社ブランドを全国に届ける足掛かりを得たと考える考察もあるようです。参考までにリンクを貼っておきます。
”北の達人”のラジオ局買収から見る、メディア化するD2C企業|エルモ/Marketing Media Lab|note
ラジオショッピングは押し付け感が少ない、というのは誰のことだとは言いませんが日常会話の延長で商品の紹介ができそれをすんなりと聞けるのは納得ができます。
とりあえず4月1日付で社長交代が行われ、これまでの筆頭株主「えんれいしゃ」の社長さんだった方が降り、昨年3月に「北の達人」社に招き入れられた公認会計士の方が就かれたようです。

異業種の方が買収したと言えば、AMラジオ局の茨城放送。以前からFM補完放送の実施で「i-FM」という愛称を掲げていましたが、今年の4月1日より愛称を「LuckyFM」(ラッキーエフエム)に変更しました。URLもいつのまにかibs-radio.comからlucky-ibaraki.comに変わっていました。FM放送局であることを前面に押し出していくのかな。
この春の改編の目玉が「ダイバーシティニュース」(月~木21:00-21:55)というニュース番組で、日替わりのコメンテーターを招いてyoutubeで同時配信も行うのだそうですが、政治がテーマの毎週火曜日のお相手役は佐藤千晶さんなのだそうです(月曜:丸山裕理さん、水曜:瀧口友里奈さん、木曜:名越涼さん)。火曜日だけでも聞いて、いや観てみなければなりません。ううぅ「トリニクって何の肉!?」の真裏か。コメンテーターさんたちに茨城に来てもらうわけでは無く東京ラッキースタジオというところから配信するようなのですが、ググると麹町の日テレのすぐそばにあるその建物はグロービス経営大学院東京校が入っているビルだそうで。茨城放送のオーナーの本業である学校ですね。