ニッポン放送停波

9月10日の話。第一報を知ったのが5ちゃんねるだったので、ネタかな? と思いつつ念のためニッポン放送のサイトを見てみると『AM1242kHzでお聴きのリスナーの皆様へ』という告知が。

本日朝8時31分より弊社・木更津送信所からの100kwでのAM1242kHzの送信が停止、足立送信所から1kwで送信しております。なお、FM93.0MHzとradiko(ラジコ)では通常通り送信しております。

台風15号による影響で、9月9日(月)午前3時23分、東京電力からの木更津送信所への電力供給が停止、その後、非常用発電機による電力供給で放送を続けておりました。しかし、9月10日(火)8時31分に非常用発電機が故障、木更津送信所からの送信が不可能になり、35秒の停波の後、足立送信所からの送信に切り替えて放送をしております。

東京電力の説明によると、本日夕方から夜にかけて、電力の供給が復旧する見込みで、木更津送信所からの送信も復旧の予定です。
リスナーの皆様にはご不便ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。

AM1242kHzでお聴きのリスナーの皆様へ | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93
(※これは復旧する前の記述です。既に復旧しているので内容は書き換えられています。)
その前日、9月9日は早朝に台風15号が首都圏を直撃し、前夜の東京・フジテレビ「Mr.サンデー」が終わってから大阪・読売テレビの「ミヤネ屋」に移動しなければならないミヤネさんが飛行機での移動に手間取り「ミヤネ屋」に遅刻するという失態が生中継で伝えられていました。「ミヤネ屋」はミヤネさんが到着するまで局アナの方なのかな、別の男性が進行していたのですが、その「ミヤネ屋」で、千葉県で高圧送電線の鉄塔が2基倒れている光景が放送されていました。スタジオにいらした専門家らしい方がおっしゃるには、これは本線です、ここから枝分かれして家庭や工場に届けられるのです、という感じのことをだったかと思います。実際千葉県では広範囲に停電が発生していたのでした。
その余波が、千葉県木更津市から送信しているニッポン放送に及ぶとは。100kWの出力で送信するにはそれなりの電気が来てくれなければならない、しかし電気の本線となる送電線の鉄塔が倒れてしまっては非常用電源で送信するしかない。ところがその非常用電源がトラブってしまったらしい。
災害によるAM放送の停波で思い出すのは何と言っても2011年3月に起こった東北放送の停波です。地震による停電と津波、それに非常用発電機の燃料が尽きたことが原因でした。これが口実となって「放送ネットワークの強靭化」が叫ばれるようになり(←誰によって?)、AM放送のFM補完放送がスタートすることになりました。
東北放送で言えば海にほど近い田んぼの真ん中のAMアンテナと中心部ながら山の上にある本社のFMアンテナ。ニッポン放送で言えば東京湾にほど近い木更津のAMアンテナと東京スカイツリーのFMアンテナ。異なる場所から2種類の電波を出すことによって一方が停波したとしてももう一方で受信することができる。
後からradikoタイムフリーで木更津送信所が停波したぐらいの時間帯の「垣花正あなたにハッピー」を聞いてみました。番組の途中に畑中デスクがやってきて木更津送信所停波の第一報を伝えました。東京都足立区にある予備送信所から出力1kWで減力放送していること、FM93.0MHzで聞けることも紹介されました。その後リスナーからのメールが届き始めます。突然聞こえなくなった、ラジオが壊れたのかと思った。FMに合わせたら聞けた。日頃から聞いているリスナーたちはAMがダメならFMにすればいいということを分かっています。FM補完放送の制度ができて良かったという実例ができました。マイクの前でしゃべっている垣花さんはAM放送が停波しましたと呼びかけることしかできません。気が付いたリスナーさんたちでTwitterで#1242でバズってもらえれば、とこぼしていました。
木更津送信所からの送信が復旧したことは「ミュ~コミ+」のオープニングとエンディングで吉田尚記アナがアナウンスしているのをradikoでリアルタイムで聴きました。
今回の停波の一件がどのように報じられているかググってみたら、J-CASTニュースが記事にしていました。
www.j-cast.com
確かにこの事案はAM放送のFM移行という問題について考えるうえで一つの材料を与えてくれました。FMがあるからAMはもう要らないと受け止める人もいるだろうし、AMをFMで補完できるように2種類の電波を出すことが必要だと考える人もいるでしょう。そもそもradikoがあるからAMもFMも不要だと考える人もいるかもしれません。
かく言う私もこの一件を実際にラジオを聞かずradikoで確認しているわけで。あっ、radikoじゃなくてラジオで足立送信所の1kWが受信できるかどうか試してみればよかった。足立送信所のベリカードがもらえればBCLerにとってはレアアイテムじゃまいか。と気が付いたのは「ミュ~コミ+」が終わった後でした。

ところで、木更津送信所って、太陽光発電やってなかったっけ?
tech.nikkeibp.co.jp
想定される発電量が年間約210万2000kWhということは1年は365×24=8760時間だから2102000÷8760≒239.95kWの電気が常に作れているって考えちゃダメなの? もちろん太陽光発電は売電のためにやっていることだから、ここでできた電気で自給自足することはできないのだけど。
この記事の6ページ目には非常用電源についての記述があって、1週間分の重油の備蓄もあるとのことだったのですが、今回は備蓄が切れる前に故障しちゃったんだから仕方がない。まぁ一日で直ったのが不幸中の幸いでした。東京電力からの電力の供給はしばらく復旧しないのでしょうから非常用電源には頑張ってもらわなければなりません。
そして千葉県の皆様は停電が長引いて大変ですね。電力網がやられたわけですから厳しいですね。停電期間が長引いてくるとケータイの基地局の非常用電源が切れて動かなくなり、スマホを充電したところでつながらないということも起こってきます。こんなブログを見ている余裕なんてないのは実体験として分かっています。冷蔵庫も扇風機もテレビも動かなくて苦しいでしょうが、どうか御無事でありますように。


追記(9月12日筆)
千葉県にAM電波を出している放送局がもう一局あることを忘れていました。
ラジオたんぱ、いや今はラジオNIKKEIか。短波放送も電波の種類としてはAMです。
そのラジオNIKKEIが『減力放送のお知らせ』を出したそうです。

本日12日(木)、送信設備の障害により、第1放送と第2放送は出力を減力して放送しています。
復旧次第、改めてお知らせいたします。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

ラジオNIKKEIの送信所は千葉県のほぼど真ん中、長生郡長柄町の長柄ダムの近くにあります。
たんぱの場合設備が古いという可能性もありますが、今般の台風に伴う大規模停電のせいだとしたら残念なことです。


NHK-FMの千葉局では本日13時から18時の毎正時と19時半に千葉ローカルの生活情報を伝えるそうです。
12時20分から13時までの時間は、関東地方のみラジオ第一とFMで「ひるのいこい」などの通常番組を停電関連のニュースに差し替えました。
NHKradikoではAMは各地方の拠点局の放送を流していますがFMは全国どこでも東京の放送を流すため、停電関連のニュースが全国で流れました。