ここ半年のラジオ局の閉局と運用休止 2024春

去る昨年10月26日、コミュニティFMを除くすべての地上基幹放送局の新しい免許が一斉に交付されました。11月1日に発効しています。
それを機に閉局するAMラジオ中継局があるかもと思ってはいたのですが、実際に無くなったのは在阪AM3局の京都中継局ぐらいなもので。

閉局

2023年11月1日をもって(10月31日か?)廃局になったと思われるものはふたつ。

11月5日付のリストにはあったのを確認しています。11月7日付のリスト以降消えてしまいました。五所川原エフエムに関しては、つがる市の出来島局で免許人が伏せ字表示になっている(これはいつからそうなったのか分かりません)、金木局が消えたのと同時に市浦局の出力が1.2Wに減力している、という変化があります。局のwebサイトの会社概要は更新されていません。何故こんなことになったのか分かりません。ただ、宮城県登米H@!FMの南三陸中継局が開局した時の東北総合通信局のプレスリリースに付随する「【参考】東北管内におけるコミュニティ放送局の開設状況」というpdfファイルを読むと、五所川原エフエムの中継局は『2局』となっているので市浦局と出来島局の2つしか現存しない、金木局は廃局になったということになります。

熊本県水上村には熊本放送が免許人の中継局1局と水上村が免許人の受信障害対策中継局(SFM)が2局で計3局の中継局がありました。
11月7日付のリストには3局ともあったのを確認しています。11月8日付のリスト以降川口局だけが消えてしまいました。なぜだろうと思ってググってもこれといったものは見つかりません。ただ、村のwebサイトに載っていた村長の今年の年頭のごあいさつに

 村内では、令和2年7月豪雨、令和4年台風14号災害での復旧復興に取り組んでおりますが、江代千ケ平地区と川口地区では現在も住民18世帯31名が長期避難を余儀なくされています。昨年末から、一部村道が通行可能となりましたが、一日も早く安心して元の生活を取り戻すことができますよう、引き続き復旧復興に取り組んでまいります。

なんて書かれていまして、ひょっとすると災害の影響かと思ったりもするところです。googleマップでは見つけられないのですが、川口は球磨川のかなり上流にある集落のようです。


な~んだ、なくなったのは2局だけか。
ところが、実際は今春に一気に5局もコミュニティFMが無くなりました。すべて3月31日付です。

このうち、エフエムわたりについては昨年9月30日に最後の放送を終え半年間の放送休止を経たうえでの閉局です。東北総合通信局からプレスリリースが出ています。

局のwebサイトはいつの間にか見られなくなっていました。
ここ以外の4局はそれなりに長い歴史を刻んできた局たちでした。

やおコミュニティ放送は昨秋のうちに閉局のお知らせを出していました。大阪らしく(?)にぎやかに閉局のイベントを行ったようです。

BTVは昨年末に閉局のお知らせを出していました。シティエフエム都城を親会社だったケーブルテレビ局BTVの直営にしたのですが、諸経費の高騰により機器の更新が困難な状況になったようです。ケーブルテレビの放送機材とコミュニティFMの放送機材は種類が異なるのでしょうね。
NHK宮崎がwebにニュースを上げています。

エフエムさんだは昨年末にラジオ放送終了のお知らせを出していて、インターネットラジオ局への転換を告知していました。4月からは第2章を歩んでいるようです。全文は読めませんが神戸新聞の記事をば。

なお、総務省電波利用ホームページにある無線局等情報検索では4月27日現在、八尾と三田はまだ消えていません。亘理は4月の中頃にひっそり消えたようです。都城と北谷は4月1日付でバッサリ消されました。

FMニライは閉局のお知らせを出したのは今年になってからのようです。Yahoo!ニュースになっていたような気がします。改めてググる琉球新報の記事がヒットしました。

元は「FMちゃたん」でクレスト社が免許を継承して「FMニライ」となりました。「ニライ合同会社」に分社化して経営移譲を模索していたようなのだけどうまくいかなかったみたいです。

このほか、ニュースになっていたのが、ニッポン放送AMステレオ放送を止めたということ。ベリカードの発行も止めちゃったんですね。これも3月31日付。

無線局等情報検索では4月7日付のところでAMステレオを表すD8EからAMモノラルを表すA3Eに電波の型式が変更されているのを確認しました。
これで、AMステレオ放送も残るはラジオ大阪和歌山放送和歌山局の2局となりました。

運用休止

昨年11月の基幹放送局の再免許の目玉が『AM局の運用休止に係る特例措置』です。簡単に言えば6か月電波を止めても免許取り消しにしませんよというものです。3か月以上の周知期間を設けたうえで待ちに待った運用休止ができる。さっそく昨年11月の免許更新から3か月が経った今年2月1日に茨城放送(土浦、関城(県西))、南日本放送(阿久根、川内、大口)、岩手放送(田野畑)の3社が中継局の運用を休止しました。

南日本放送では3中継局をひとくくりに北薩中継局と呼んでいるのですね。で、
『なお、3つの中継局は運用休止後、必要な手続きを経て廃止される予定です。』
廃止が前提の休止だと正直に伝えているようです。
一方、茨城放送では、局のwebサイトの最下段に「AMの運用休止について」というリンクを置いていて(https://lucky-ibaraki.com/post_info/410296/)、そこにはFAQとして

Q 今回の特例措置の終了後は、そのまま閉局(廃局)になるのですか。

A そうではありません。今回の特例措置の結果を踏まえ、慎重に判断されます。今後のスケジュールについてはわかり次第お知らせします。

という項目があり、今回の運用休止が即廃止だとは言っていません。
ちょっと待った! 2月1日をもって茨城放送は「株式会社LuckyFM茨城放送」に社名変更しました。これからは茨城放送ではなくLuckyFMと呼んでください。

なんですと?!
遂にFM放送局になってしまったのか!
もうAMラジオ局ではないのか!

取り乱しました。

AMラジオ放送の運用休止を予定する民間AMラジオ放送事業者(13社)の休止期間を総務省が出している資料から抜き書きしておきます。

事業者名 休止予定のAM局 休止期間
株式会社アイビーシー岩手放送 田野畑局 2024年2月1日~2025年1月31日
株式会社LuckyFM茨城放送 土浦局・関城局 2024年2月1日~2024年7月31日2025年1月31日(※2)
株式会社新潟放送 長岡局・柏崎局 2024年2月5日~2024年9月1日
北陸放送株式会社 七尾局・山中局・輪島局 2024年8月1日~2025年1月31日(※3)
福井放送株式会社 敦賀局・小浜局 2024年2月5日~2024年8月4日
東海ラジオ放送株式会社 下呂局・恵那局・上野局 2024年7月1日~2025年1月31日
新城局・豊橋 2024年8月1日~2025年1月31日
山口放送株式会社 須佐田万川局 2024年2月5日~2025年1月31日
萩局 2024年2月19日~2025年1月31日
山口局 2024年3月4日~2025年1月31日
岩国局 減力(※1):2024年4月1日~4月28日
停波:2024年4月29日~2025年1月31日
下関局 減力(※1):2024年4月29日~5月26日
停波:2024年5月27日~2025年1月31日
周南局 減力(※1):2024年5月27日~7月28日
停波:2024年7月29日~2025年1月31日
南海放送株式会社 新居浜局・宇和島局・八幡浜 減力(※1):2024年2月1日~3月31日
停波:2024年4月1日~2024年9月30日
RKB毎日放送株式会社 行橋局 2024年2月5日~2024年8月4日2025年1月31日(※2)
九州朝日放送株式会社 行橋局 2024年2月5日~2024年8月4日2025年1月31日(※2)
長崎放送株式会社 佐賀局・唐津局・
伊万里局・有田局
2024年2月5日~2025年1月31日
株式会社熊本放送 荒尾局 2024年2月5日~2025年1月31日
株式会社南日本放送 阿久根局・川内局・大口局 2024年2月1日~2025年1月31日

資料(https://www.soumu.go.jp/main_content/000909360.pdf)についていた注釈がふたつ、いや3つ。
※1 減力とは、空中線電力を段階的に下げることを指す。
※2 より長期間検証を行うため、再免許申請時から変更届出が出されたもの
※3 申請時は4月1日から9月30日までを予定していたが、能登半島地震の影響により延期されたもの。復興の状況により、さらに変更される可能性もある。

だそうです。元の原稿を作ってから茨城放送の社名変更とか能登半島地震とかありまして多少の変更が生じています。
なお、「中波放送(AM)局の運用休止に係る特例措置の適用希望を伴う申請をした中波放送事業者」のうち、東海ラジオ放送の高山局、神岡局(岐阜県)、尾鷲局、熊野局(三重県)は申請が認められませんでした。東海ラジオ放送はこの時点で親局以外にFM補完中継局が無かったのだから当然だろうと私は思います。逆に下呂局、恵那局(岐阜県)、上野局(三重県)はよく認められたなと。該当する電波監理審議会(第1121回)の議事録(公開されています)を読むと、総務省はこの4局は不適、他の13社34局は適として答申し、承認されたようです。で、この4局は来年1月31日までの休止期間が終了してからの再チャレンジということになるようです。
これらは無線局等情報検索では特に何の区別もなく表示されています。無線局等情報検索では運用中か休止中かは判らないというわけです。