ここ最近のFM局予備免許について 2024春

半年に一度の定例行事です。 自分なりにできる限り調べてはいますが誤りがあったり抜けているものがあったりしているかも知れません。

補助金交付決定

総務省のサイトの「予算執行の情報」というページで「補助金等交付決定」というEXCELファイルをダウンロードして「民放ラジオ難聴解消支援事業」という事業を探しています。
ファイルの締めの時期の問題で令和5年第2四半期と第3四半期、つまり令和5年7月から12月の分は読めるのですが令和5年度第4四半期(今年1月から3月)のファイルはまだ読めません。で、見つかったのは第3四半期のファイルから一つだけ。これは中国総合通信局のプレスリリースが出ていました。
・2023年11月16日 令和5年度無線システム普及支援事業費等補助金 <「民放ラジオ難聴解消支援事業」補助金の交付を決定>
広島県三原市で、受信障害対策中継放送の整備(三原市中之町)。補助割合は3分の2。
受信障害対策中継放送ですからコミュニティFMのFMみはらですね。交付金額が一気に7局も建てた3年前のおよそ3分の2なので、今回も複数の中継局ができるのかもしれません。
と思ったら、中継局について最も詳しい個人サイト「でんぱでーた」の掲示板に『ギャップフィラー3局が開局した模様です』という情報が出ていました。そのうち公式な情報が出るかもしれません。
このほか、第2四半期のファイルには『沖縄北部連携促進特別振興事業費補助金』という費目で『北部地域ラジオ中継局設備機能強化事業』に対して『北部広域市町村圏事務組合』に交付されています。交付割合は何と10分の8。なので金額だけで言えば上記三原市と同じ事業規模。前年度から2年間かけた事業のようです。これは中継局を新規に作るのではなく『地上基幹放送等に関する耐災害性強化支援事業』に相当するものかもしれません。よくわかってなくてすみません。

予備免許付与

本免許が下りる前には予備免許が降ります。地方によっては予備免許が出ていることが各地方の総合通信局より発表されます。既に開局しるものもありますが、タイトルを列挙します。

12月12日に本免許が交付され、12月20日「FMはたらんど」は開局しました。はたらんどとは幡多(はた)地域という意味です。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kochi/20231212/8010019392.html
https://www.kochinews.co.jp/article/detail/708076

3月22日に本免許が交付され4月1日「FMまほろば」が開局しました。近畿では初めての「公設民営」のコミュニティFMになるのだそうです。運営するのは一般社団法人田原本まちづくり観光振興機構という、町の観光協会に相当する団体です。
https://tawaramoton.com/info/9894/
プレスリリースの放送区域内世帯数を見ると田原本町(たわらもとちょう)よりも隣接する天理市橿原市桜井市のほうが世帯数が多いようです。それらと反対方向に隣接する三宅町とその隣の川西町も放送区域に入っています。

  • 2024年1月9日 株式会社CBCラジオ及び東海ラジオ放送株式会社に豊橋FM補完中継局の予備免許 <令和6年3月目途にワイドFMで聴取可能となる予定です>

3月22日に本免許が交付され3月25日から放送を開始しました。これで東海ラジオは大手を振って豊橋局と新城局を廃止もとい休止できます。
https://www.tonichi.net/news/index.php?id=107871
プレスリリースの放送区域図がほぼ愛知県の南半分となっていて、ホントかな、と疑いたくなります。西は知多半島ぴったし、南は渥美半島まで(伊良湖岬手前の南岸の一部を除く)、東はキレイに静岡県境に沿っています。豊橋局なのだけど送信所は北に離れた岡崎市(旧・額田町)の本宮山。ほぼ長方形な放送区域の北東端から豊橋市に向けて電波を発射していることになります。

このところ積極的に中継局を増設しています。今回も3局の設置。『これにより、コミュニティ放送が聴きづらくなっていた酒田市中野俣地区、北俣地区及び平田地区並びに庄内町の一部においてコミュニティ放送の受信環境が改善し、聴取エリアが広がります。 』とのことです。プレスリリースの放送区域図を見る感じでは、東部の出羽山地沿いの部分を除いて全域をカバーできたように見えます。3月18日に本免許が交付されています。

4月下旬には開局の見通しだそうです。もう試験電波は出しているようなので開局は近いのでしょう。局名は「FM DAMONO」。「にんげんだもの」のだものです。足利市相田みつをさんの出身地なんですね。
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/866211
https://www.tokyo-np.co.jp/article/311674

道内のいくつかのコミュニティFMでパーソナリティを務めているミュージシャンの方が動いているようで、町の広報紙や「note」で2年前に紹介されています。すでに栗山駅前の施設に放送設備は整備されているようで後は開局するだけ? 年内開局予定です。

震災直後、南三陸災害エフエム「FMみなさん」という臨時災害放送局ができ、ドキュメンタリー映画も制作されました。私も観ました。その映画は「今後二度と上映されるべきものではありません」と言われしばらく忘れられていたのですが、今年3月に南三陸町で久しぶりに上映会が行われたそうです。そんな折のH@!FM(はっとエフエム)の中継局設置。「FMみなさん」でも最後のほうはH@!FMの番組を流していたはずですから11年ぶりに南三陸町登米市の放送局の音声が流れるということになるのだと思います。余談ですが、H@!FMは昨年12月からJ-WAVEの再送信を止めてその時間帯は音楽を流しているそうです。

本免許付与

放送局が開局するときには免許付与のプレスリリースが各地方の総合通信局から出るものなのですが、近頃は予備免許の時しか出さなかったりして、この半年で本免許のプレスリリースは2件しかありません。実際に開局している局はもっとあります。
す。

これにより既設のAM田野畑ラジオ局は2月1日15時25分、IBCラジオ「ワイドステーション」の番組内で大塚富雄アナの号令により停波、1年間の放送休止に入りました。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/ibc/976208

株式会社コミュニティメディアは長崎市の企業ですが2008年から対馬市でCATV事業を行っています。4月8日に開局しました。かつてラジオ日本の朝ワイド「立川こしらのガッテン!こしらじお」を担当されていた立川こしらさんが対馬在住なんだそうで、その縁で落語家さんの番組がいくつかあるのが特徴的です。アプリのFM++で聴けるかと思います。九州総合通信局のプレスリリースの放送区域図を見ると親局と中継局のごくごく近所しか示されていないのですが、出力20Wずつなのにそんなに電波が飛ばないのかな? 余談ですがこしらさんは名前の通り立川志らくさんの弟子。立川晴の輔さんより年下ですが先輩です。晴の輔さんの番組はありません。
https://fmtsushima.ne.jp/

この2件は予備免許の節で前述の通りです。

開局済みの局

総務省電波利用ホームページにある無線局等情報検索でここ最近の免許付与について検索してみますと、免許の年月日が一斉再免許(コミュニティFMを除く)翌日の2023年11月2日以降であるFM放送局は21件ヒットしました。前述のIBC岩手放送田野畑補完中継局は11月1日に免許が下りていますので、昨秋以降新規に開局したのは併せて22局ということになります。

放送局 中継局名(※1) 設置場所 周波数(MHz) 出力(W)(※2) 免許付与日 開局日
株式会社アイビーシー岩手放送 IBC田野畑FM 岩手県下閉伊郡普代村 81.5 20(19.3) 令5.11.1 令和5年11月1日
函館山ロープウェイ株式会社
FMいるか
茂辺地(※3) 北海道北斗市茂辺地2丁目 80.7 1(3) 令5.11.29 令和5年12月1日
当別第二(※3)    北斗市当別4丁目 1(3)
当別第一(※4)    北斗市当別1丁目 0.05(0.08)
三ツ石(※4)    三ツ石2丁目 0.05(0.16)
向野(※4)    北斗市向野 0.05(0.16)
MSI株式会社
FMはたらんど
JOZZ9AK-FM 高知県四万十市 77.9 20(7.8) 令5.12.12 令和5年12月20日
柏崎市
FMピッカラ
?(※5) 新潟県柏崎市 76.3 0.25(0.25) 令6.3.7
?(※5) 0.25(0.56)
?(※5) 0.25(0.56)
?(※5) 0.25(0.56)
?(※5) 0.25(0.56)
株式会社コミュニティメディア
FM対馬
JOZZOCT-FM 長崎県対馬市 77.7 20(34) 令6.3.8 令和6年4月8日
比田勝 長崎県対馬市 77.7 20(34)
酒田エフエム放送株式会社
ハーバーラジオ
中野俣 山形県酒田市中野俣地区 76.1 5(2.0) 令6.3.18 令和6年4月1日
北俣 山形県酒田市北俣地区 76.1 5(5.7)
平田 山形県酒田市平田地区 76.1 5(5.7)
株式会社CBCラジオ CBC豊橋FM 愛知県岡崎市 91.8 50(150) 令6.3.22 令和6年3月25日
東海ラジオ放送株式会社 東海ラジオ豊橋FM 愛知県岡崎市 91.0 50(150) 令6.3.22 令和6年3月25日
一般社団法人田原本まちづくり観光振興機構
FMまほろ
JOZZ7BV-FM
たわらもとエフエム
奈良県磯城郡田原本町 79.5 20(16.5) 令6.3.22 令和6年4月1日
株式会社ラジオ沖縄 川平 沖縄県石垣市 79.9 100(※2) 令6.3.22 令和6年4月1日(※6)
琉球放送株式会社 川平 沖縄県石垣市 78.5 100(580) 令6.3.22 令和6年4月1日(※6)

能書きをいろいろ。
(※1)について。
中継局名の欄は通常、コミュニティFMの親局については呼出符号と呼出名称を入れているのですが、FMはたらんど、FM対馬についてはプレスリリースに呼出名称の項目が無いのでわかりません。局名と同じかもしれないし「FMまほろばーたわらもとエフエム」のように別かもしれません。総務省電波利用ホームページにある無線局等情報検索では呼出名称はすべて伏せ字にする決まりになっています。
(※2)
出力の欄の括弧書きの数字は「最大実効輻射電力」なのですが、局によっては「最大」のない「実効輻射電力」になっているところがあります。何が違うのか細かいところは私はよくわかりません。ラジオ沖縄の川平局ではなぜか表示がありませんでした(WikipediaではRBCiラジオやNHK-FMと同じだとしています)。

(※3)(※4)について。
函館市コミュニティFMFMいるか函館市の隣、新函館北斗駅のある北斗市に中継局を5つも建てました。FMいるかが「北斗市防災ラジオ」の運用を2023年12月1日に開始したことに伴うものです。
FMいるか北斗市中継局開局のお知らせ * 函館のコミュニティラジオ FMいるか 80.7
総務省電波利用ホームページにある無線局等情報検索では北斗市より下の住所や中継局名は伏せ字になっていますので(住所はFMいるかの上記のリンク先から採りました)、正確にはどの局がどの表示に合致するかは分かりません。FMいるかのサイトに書いてある順番通りに当てはめましたが、もしかすると(※1)の2局の間で、(※2)の3局の間で対応が間違っている可能性があります。

(※5)について。
FMピッカラのwebサイトは新しくなったようなのですが、それでも中継局についての説明やお知らせらしきものは全く見つけられません。半期ごとにこれをまとめるにあたって参考にしているブログのひとつ『VHF-DX blog ~海外FMを聞く~』に『新潟県柏崎市(FMピッカラ)の受信障害対策中継局に免許交付』というエントリが立っていました。
VHF-DX blog ~海外FMを聞く~ 新潟県柏崎市(FMピッカラ)の受信障害対策中継局に免許交付
しかし、その参考元となっていたリンク先に見覚えが・・・
ここ最近のFM局予備免許について 2023秋 - みむめもーど
これは申し訳ない。お詫びに、この情報をどうやって見つけたかについて紹介します。
じつは、柏崎市の入札情報は新潟県の入札情報のサイトに入っています。

柏崎市電子入札は、新潟県電子入札システムを共同利用するもので、システムは国土交通省が使用しているJACIC(一般財団法人日本建設情報総合センター)の電子入札コアシステムを使用しています。

柏崎市電子入札システムは、新潟県と同じシステムを利用するので、操作方法は新潟県のものとほぼ同じです。

 ―『柏崎市の電子入札の概要/柏崎市公式ホームページ』より

なので、新潟県電子入札ポータルサイトで探すことになります。ただし、夜間や休日は見ることができません。
新潟県電子入札ポータルサイト(工事・維持管理・委託) - 新潟県ホームページ
谷根送信点、西長鳥送信点、旧・西山町の宮川、椎谷、大崎の3送信点で計5つの中継局ができたなだと思いますが、5局がどの順番で並ぶかはまるで分りません。

(※6)について。
開局日については現地の人なのかな、たぶん個人のX(旧・Twitter)の情報によるもので、Wikipediaでもそうなっています。昨秋調べたときに八重山広域市町村圏事務組合のサイトにあった『入札公告(八重山地区ラジオ中継局機能強化事業)』というリンクからダウンロードできる各中継局の設計図から『バンナ岳の新石垣中継局と新川平中継局の周波数がRBC88.1(予定)、ROK89.9(予定)と現行の石垣局(RBC89.0、ROK87.8)と異なっているのが気になるところです』と書いたのですが、その数字と実際は異なっていました。予定はあくまで予定ですからね。川平中継局については新設なので新たに免許が下りたわけですが、石垣中継局は移設なので免許はこれまで通りです。ただ周波数は川平中継局と同じRBC78.5、ROK79.9に変更になっています。島内同一周波数というわけです。ラジオ沖縄のサイトではひとくくりに『石垣・川平中継局FM 79.9MHz(100W)』と書かれています。なお、2012年3月に2局体制になっているNHK-FMは石垣87.0、川平77.7で別周波数です。
蛇足ですが、川平は仙台市青葉区川平だったら「かわだいら」ですが、沖縄県石垣市川平なのでジョン・カビラ川平慈英兄弟と同じ「かびら」と読みます。

未開局の局

予備免許が下りていてまだ本免許が下りていない局は栃木県足利市、北海道栗山町、宮城県南三陸町と3つかと思います。このほかに公表されていないものがある可能性はあります。『でんぱでーた』では広島県三原市のFMみはらでギャップフィラー3局が開局した模様だとしていますし。

放送局 中継局 設置場所 周波数(MHz) 出力(W) 予備免許付与日 開局予定
足利コミュニティFM株式会社
FM DAMONO(エフエムだもの)
JOZZ3DD-FM
あしかがエフエム
栃木県足利市 88.3 20 2024年2月21日 令和6年4月
株式会社エフエムくりやま JOZZ1BF-FM
エフエムくりやま
北海道夕張郡栗山町 78.8 20 令和6年3月7日 2024年予定
株式会社登米コミュニティエフエム
H@!FM(はっとエフエム)
三陸 宮城県本吉郡南三陸町 76.7 20 令和6年3月27日 令和6年4月21日

と予定稿を書いているうちに南三陸町の中継局は開局してしまいました。

4月19日に免許が下り、4月21日に運用を開始しました。まだ無線局等情報検索でヒットしないのでこちらに入れておきます。
一方、他の2局は局のwebサイトに開局予定と出てはいるのですが、まだ正式な開局はしていないようです。
特にエフエムくりやまは、出願時の代表取締役社長だった深澤雅一氏が4月22日付で取締役を退任し、3月28日付で新代表取締役に村田峰史氏が選任されていたことが4月22日付で発表になっています。ググるHBC北海道放送報道部の岩見沢通信員に村田峰史さんという同姓同名の方がいらっしゃるようなのだけど同一人物だろうか。開局予定が遅れているようですが無事開局できるといいなと思います。

送信所の移転

「でんぱでーた」の掲示板の情報なのですが、沖縄県与那原町コミュニティFM「FMよなばる」。局のwebサイトのトップページに
・令和6年3月29日送信所を南風原町の沖縄タワー(海抜192m、地上高44m)へ移設しました。
という記事が出ています。たしかに無線局等情報検索でも南風原町と出てきます。南風原町にある集中無線基地局「おきなわTOWER」には2017年6月に那覇市コミュニティFM、fm那覇が送信所を移転、2017年11月にラジオ沖縄のFM補完中継局が設置されています(本放送開始は12月、RBCiラジオは豊見城市にある)。FMよなばるがFM局としては3局目となります。
ほかにも沖縄県浦添市コミュニティFMFM21」が局舎のある丸産業ビル屋上から隣に引っ越してきた浦添総合病院に送信アンテナを移設したとか、送信アンテナの移設の事例はあるようなのですが、無線局等情報検索では市町村レベルまでしか公表されないので隣の建物だと追いかけるのは無理です。

それでは、『ここ半年のラジオ局の閉局と運用休止』に話は続きます。