7月の水害についてあれこれ思うこと (1)倉敷市真備町編

私がこの件で口を開けば嬉々として先進的な愛媛県の状況について5ちゃんねる情報を膨大にコピペする(もしくは自分が5ちゃんねるで論じたことを拙blogで再演する)人がいたりするので、しばらく口をつぐんでいたのですがそのために恒例の「ラジオ番組表」のレビューもしないでしまいましたし、1月期の連続ドラマの感想を書かないでいるうちに4月期のドラマも終わり7月期のドラマが始まってしまい8月になってしまいました。

私が何より気になっていたのは倉敷市真備町の位置です。
エフエムくらしきが総社市に中継局を置くことになったとき、拙blogでは放送区域の図を見ながらこんなことを書きました。

総社市は市街地が南に寄っているのでしょうか。別紙を見ると送信所のある秋葉山は町の中心部ぽく見えますが、そこから明らかに電波が南向きに出ています。総社市の南半分と隣接する倉敷市の旧真備町岡山市北区のうち備中松山城がある辺りが範囲になるようです。

Wikipediaによると自前で緊急告知FMラジオ「こくっち」を開発し賞ももらっているようです。局のサイトによると4月1日から総社市でも「こくっち」の運用が開始されるそうです。

 ―『ここ最近のFM局予備免許のプレスリリース 2018年2月分 - みむめもーど』より

7月7日午前のNHK総合の臨時ニュースで、NHKで最も名前のインパクトが大きいアナウンサーの一人、NHK岡山局のホルコムジャック和馬アナを初めて見ました。それは総社市役所から総社市長さんへのインタビューでした。で、その後twitterを眺めていたらその総社市長さんのツイートを見つけまして、こんな非常事態に結構なツイートをしていたのですが、その中にパンの山の写真を載せてこれから届けますと書いてあるのには度肝を抜かれました。何でもこのような非常事態の支援について以前から積極的に活動されていた方のようで、たぶん今回の事態にも精力的に陣頭指揮を執られていたのだと思います。
Wikipediaを眺めていると真備町平成の大合併総社市と合併すべきか倉敷市と合併するかで心が揺れ動いたようで、結局倉敷市との合併を選び、警察や消防の管轄が総社から玉島(倉敷市)に移動になり市外局番も総社から倉敷に移動、ただしごみ収集だけは総社のままということになったようです。
今般の水害はハザードマップ的には一旦どこかで決壊すればこうなるのは分かっていたことだったようで、真備町が単独町制のままだったら多分どうにもならなくなっている。大都市倉敷と合併したからと言って何とかしてあげられるレベルの事態ではない。総社市と合併していたらどのような復旧対応を取っていたのだろう。
よそ者が机上の空論を考えることに何の意味も無く、地元の人が間違ってこれを目にしたら怒り心頭だろうとは思うのですが、しばらくそんなことを考えながら過ごしていました。7年前に当然拙blogに書いたつもりでいたのですが振り返ってみたら書いてなかったこと。TBCラジオが震災特別放送を終えようとしていた時に、TBSラジオから取材の応援に来ていた澤田記者が石巻市雄勝町のレポート。雄勝町には支援の手が入っていない、市の職員が少なすぎる、市町村合併は失敗だったのではないか。即座に石川太郎アナがそんなことは無いと否定。私の記憶が確かならばそんな感じのお話。平時であったとしても過疎化をどう食い止めればよいか見当もつかない雄勝町倉敷市ベッドタウンの色彩も帯びていた真備町を同一視することはもちろんできませんが、市町村合併の目的は公務員の数を減らすことであり大きな市ができたからと言って災害に対する防御力も大きくなるわけでは無いという現実をどうすればよいのか、7年間折に触れて考えている命題が宮城だけでなく岡山にも存在していたのではないかと思うと気が重くなるのです。
で、今日になってこんな記事を目にしたのです。すぐにリンク切れになるだろうから全文コピペ。共同通信が配信した記事です。

豪雨、防災FMラジオ活用できず

真備町、合併後も整備なく

 西日本豪雨で大勢の犠牲者を出した岡山県倉敷市真備町地区(旧真備町)は、2005年に同市と合併した後もコミュニティーFMの設備整備が進まず、災害時に避難指示などを優先的に放送する「緊急告知FMラジオ」を活用できない状況だったことが31日、市関係者らへの取材で分かった。

 緊急告知FMラジオは、通常放送の番組に割り込み、行政による防災情報や避難指示・勧告などを、大音量で伝えることができる。倉敷市では「こくっち」と呼ぶ緊急告知FMラジオをつくった。緊急時に遠隔操作で起動できる受信機を市内の学校や福祉施設、地域の担当者などに配布してきた。


2018/7/31 18:59
(C)一般社団法人共同通信社

たぶんエフエムくらしきは大雨や水害に関する情報を放送していたはずです。真備町の被災者を励ます番組を作ったりもしたようです。毎日新聞の途中までしか読めない記事ですが。
西日本豪雨:被災者、生出演で体験談 倉敷市の地域FM局 - 毎日新聞
改めて2月7日付の中国総合通信局が出したエフエムくらしき総社中継局放送開始のプレスリリースを眺めてみます。被災した真備町東部は総社中継局の放送区域に入っていますが、倉敷の親局の放送区域にはギリギリなところだと思われます(真備町西部はどちらの区域にもなっていません)。
緊急告知FMラジオ「こくっち」はたぶん倉敷市で災害が起これば倉敷の親局と児島中継局で、総社市で起これば総社中継局でラジオを起動させて情報を伝えたのでしょう。しかし、「こくっち」はエフエムくらしきが発売するラジオであり、市が斡旋するわけでも助成するわけでもありません。

★注意事項
 ・倉敷市役所では販売していません。
 ・購入費の補助制度はありません。
 ・詳しくは、販売先にお問い合わせください。

 ―『緊急告知FMラジオ「こくっち」はどこで買えますか?(FAQ)|倉敷市コールセンター 倉敷なんでもコール』より

さて真備町では「こくっち」の普及率はどの程度だったのでしょうか。エフエムくらしきの聞こえ具合はどんなくらいだったのでしょうか。
そもそも避難勧告が出たのは夜だったのだから「こくっち」で聞いたとしても逃げられなかったのでしょう。河川の改修が今回の水害に間に合わなかったことを悔やむしか無いのかもしれません。