NHKの中継局設置計画2020

4月28日開催の第1352回NHK経営委員会の議事録が昨日5月15日に公表されました。
鳥取放送局のディレクターが新コロに感染してしまい、局員の多くが濃厚接触者扱いされてしまい自宅待機となってしまったそうです。県境をまたいでの移動を自粛しなければならないため他県の放送局から応援に入ることもままならず、『4月20日からの県域放送については、朝のテレビニュースおよびラジオニュースを広島拠点放送局からの放送とし、また、夕方のニュースはキャスターを変更したうえで、一部、隣の松江放送局のニュースを放送するなどして、県域放送を継続することができています。』という報告がされています。
そんなことも報告されるNHKの最高決定機関ですが、私の興味はここ数年この時期に書いている『ラジオ中継放送局の設置計画について』でして・・・。

4月14日午前に開催されたNHK理事会で、『ラジオ中継放送局の設置計画について』などが審議され原案通り了承され、『ラジオ中継放送局の開局について』などが報告されました。
『ラジオ中継放送局の設置計画について』は4月14日午後開催の第1351回NHK経営委員会に諮られ、原案通り議決されました。これといった意見が出なかったのか公表されている議事録には児野専務理事・技師長による説明しか載っていません。
『ラジオ中継放送局の開局について』は4月28日開催の第1352回NHK経営委員会で報告されましたが、4月に就任した新理事6名の挨拶があったり報告事項が山ほどあったため、資料に目を通しておいてください的なことになったようです。
これら理事会、経営委員会の公表されている議事録から自分なりにまとめておきます。

ラジオ中継放送局の設置計画について

今回議決されたのは、ラジオの受信改善を目的とする3地区、津波による浸水被害が想定されているラジオ中継放送局の災害対策を目的とする2地区です。
いずれもラジオ第一をFM波で放送するもので、2021年度の開局を予定しています。

  • ラジオの受信改善を目的とするもの
    • 能登柳田(のとやなぎだ):石川県鳳珠郡能登町の約1000世帯
    • 上之牧(かみのまき)・栗生(くりお):鹿児島県屋久島の2局合わせて約1400世帯
  • 津波対策のもの
    • 尾道(おのみち)
    • 大崎(おおさき):2局とも広島県の福山ラジオ放送局に対するもの

能登柳田、旧・鳳至郡柳田村は能登半島では唯一海に面していない内陸の村、石川県に残る最後の村(Wikipediaより)だったそうで、秋のお祭りが有名なんだそうですね。平成の大合併で鳳至郡能都町(ふげしぐんのとまち)、珠洲郡内浦町(すずぐんうちうらまち)と合併して鳳珠郡能登町(ほうすぐんのとちょう)の一部となりました。郡界をまたぐ合併のために郡の名前も合併したような形になっています。
栗生は「水曜どうでしょう」でおなじみの栗生です。屋久島の東にある種子島には4月13日に補完FM局が開局したようで、予備免許時に九州総合通信局から出たプレスリリースを見ると、屋久島町の全世帯の約7割をカバーしているようです。宮之浦港屋久島空港のある屋久島の東岸には電波が届きますが、南岸になる上之牧は放送区域から外れるようです。上之牧の西側になる栗生も当然範囲外ということになります。
NHK福山支局はかつては福山放送局(1967年3月-1988年7月)だったわけですが、その前身は尾道放送局(1941年2月-1967年3月)でした。そのためかAMラジオの基幹放送所は尾道市(旧・御調郡向島町)の向島にあります。FMとテレビも同じ向島高見山にあります(地デジになってからは中継局になり、福山市の彦山が基幹放送所になったようです)。しかしAMラジオの送信所というものは海に近い低地にあるものです。向島もやはり本土寄りの海岸沿いにあるので、浸水被害が想定されるということのようです。
大崎はpdfに付いている地図を見ると大崎上島のようです。FMの中継局はあります。大崎上島町は備後ではなく安芸になるようですが、福山局の補完ということでよいのかな。福山局が既に広島局の一中継局になっている(コールサインは2003年の免許更新の際に返上したらしい)から広島か福山かなんてどうでもいいのかな。

ラジオ中継放送局の開局について

この半年間の間に5県で7局が開局しました。いずれもラジオ第1をFM波で放送するものです。受信改善目的のものが5局あり、約45,600世帯で聞こえづらい状態が改善したそうです。それが下の表の上段5局。下段2局は津波対策のものです。

県名 局名 送信出力 周波数 メディア 申請世帯数 開局年月日
静岡 富士宮(ふじのみや) 30W 88.2MHz R1 (FM波) 約11.7万 2020年2月10日
長崎 瀬戸板浦(せといたうら) 20W 85.0MHz R1 (FM波) 約2.4千 2020年3月18日
長崎 大瀬戸雪浦(おおせとゆきのうら) 10W 76.9MHz R1 (FM波) 約0.3千 2020年3月18日
鹿児島 川内出水(せんだいいずみ) 100W 89.9MHz R1 (FM波) 約6.5万 2019年12月9日
鹿児島 種子島(たねがしま) 1kW 79.3MHz R1 (FM波) 約1.3万 2020年4月13日
和歌山 新宮(しんぐう) 100W 92.7MHz R1 (FM波) 約2.5万 2019年10月25日
愛媛 新居浜(にいはま) 100W 92.6MHz R1 (FM波) 約15万 2020年2月27日

これらの開局により、4月13日現在でNHKの送信所はラジオ第1放送は272局、ラジオ第2放送は146局となるそうです。中波放送の中継局はラジオ第一が224局、ラジオ第二が140局だから(民放AM局で言うところのFM補完放送に相当する)FM波を使った放送はラジオ第一が48局、ラジオ第二が6局となります。

2019年の設置計画について

昨年の今ごろ、中継局を設置するということになった局は3局ありました。

  • 受信改善を目的としたラジオ中継放送局

3局ともR1(FM波)、開局予定は2020年度。
ということで、これらはまだ開局していません。これから予備免許が下りることになるかと思われます。