冷静になってみる

前回(一昨日)のエントリ「仙台放送記者ら容疑者宅に侵入容疑で書類送検 - みむめもーど」の続き、というか「朝塩」さんのコメントを受けて一晩考えた後の心境の変化というか、そんなお話です。コメント欄に返事として書き始めたのですが、長くなりすぎたのでコメントではなく本文として書きます。
本当は昨夜見た「1番だけが知っている」という番組で「リアル99.9」として取り上げられた、元RCC中国放送アナウンサー煙石博さんが被った冤罪事件について書くつもりだったのだけど、まぁいいか(興味のある方は各自検索して調べて義憤に駆られてください)。


仙台放送の記者ら取材クルーが住居侵入のかどで起訴された件、NHKでも報道されたのですね。ご教示いただきありがとうございます。
(注:URLはおとといのコメント欄に書いてあります)
『本人の許可なく立ち入ったとして取材クルーが住居侵入の疑いで書類送検された』
わけですね。
そりゃ本人は逮捕されて留置場の中でしょうから許可の取りようがありません。だから管理人の許可を得て入ったのでしょう。
私は前回のエントリの本文で仙台放送と警察との関係がこじれるようなことがあって訴えられたという見立てをしましたが、それは誤りで、勝手に自分の部屋を撮影されたと知った本人が釈放後仙台放送を訴えたということなのでしょうか。
『警察は「書類送検したかどうかを含め答えられない」としています』
ということのようなので警察の本心は分からないのですが。
本人が逮捕されて不在だからといって管理人の一存で自由に自分の部屋の中というプライバシーをテレビカメラで晒されるのは、冷静に考えれば良いわけがありません。
前回のエントリではちょっと私も冷静さを欠いていました。本文は自戒のために訂正せず過ちを晒しておきます。


冷静になったところで以前拙blogにこんなことを書いたのを思い出しました。

今やこの手の事件につき物となった「卒業文集晒し」を更に越える大技が出た。その名は
「就職時の履歴書晒し」!
どこから入手したのだ?! 事件直前まで勤めていた会社がマスゴミの皆様の知る権利に応えて開示してくださったとでも言うのか。何の権利、義務があってこのような事ができるのだろう。

 ―『そこまで言うか - みむめもーど』より

幼い女の子を殺したとして逮捕された知的障害を持つ容疑者が就職時に書いた履歴書を日刊スポーツが紙面で晒した、という出来事について書いたものです。
あれから10年経つんだな。そんな非道なスポーツ新聞を私は今も愛読しています。だからといってこの日刊スポーツの行いは行き過ぎたものであると私は思います。
この容疑者はどういう判決を受けたのだろう。冤罪の可能性や本人が裁判を理解できない可能性も取りざたされたはずなんだけど。。。Wikipediaに書いてあった。最高裁まで争った末2012年に懲役15年で確定したようです。


仙台放送のニュースデスクを今誰が務めているかは分かりません。
私ぐらいの世代だと、あの宮崎勤が逮捕されたときビデオテープがうず高く積み上がった彼の部屋の映像の強烈な衝撃を覚えていると思います。
犯人についての映像を撮って来いというときに、犯人の人となりを知らしめる意図をもって犯人の部屋に入ってその映像を撮って来させるという思考をする可能性はあると思います。
ただ、犯人の部屋を犯人だからといって公開することがよいことなのかどうか。朝塩さんのおっしゃる通り、まぁやっちゃダメだろうなと私も思います。
あれっ、実際に部屋の映像は放送されたのかな、撮影したけど放送はしていないのかな。撮られた本人からしたらどっちでもダメか。
殺人とか強盗とかの凶悪犯罪は当然抑止されなければならないし犯行動機は解明されなければならないと思いますが、視聴者はどこまでの情報を望んでいるのだろう。

今日の帰りの車の中、ふと「Date fm NEWS」という名のJFNニュースを聞いていたのだけど、このニュースって容疑者とかの実名を言わないんですよね。匿名報道ってやつ。
こういう事件がありましたって概要を知りたいだけなら匿名報道でも取り立てて困ることは無い、かな、と思ったり。
ラジオニュースだったら犯人の部屋の映像を撮ってくる必要が無いんだな(でも取材の一環として犯人の部屋を見せてもらうというのはあり得るのか)。
そう考えると今回の、容疑者の住んで居る部屋を自分がいない間に勝手に撮影される、というのはたぶんダメなことなのだと思います。
加害者のプライベートは晒されるべき、という思想は万一自分に何かあったとき巨大なブーメランとなって帰ってくるのでほどほどにしておいたほうがよいと思います。せいぜい実名と顔写真ぐらいかな。それだってネットの世の中では晒されたものは半永久的にネット上に残ってしまい消えにくいのですから。