(再掲)仙台放送に関するものをいくつか

わけあって、非表示にしている過去のエントリを引っ張り出していますがこれで最後です。
3回目は仙台放送に関するものをいくつか。仙台放送というかあるディレクターさんに関するもので実は本文中に実名も入っているのですが、当時のまんまいじらずに書き写すことに意味があるのでその名前は残します。ただ、裁判に関するニュースを引用した部分があってそこには被告(現在は受刑者)の実名が入っていました。悪行を晒し上げるのは目的ではないのでその部分は今回はカットします。それと拙blog内のリンクが何か所かあるのですが、それも外します。
(再掲ここから)


2006-01-23 こんな見出し見たこと無い

仕事場で休憩中ふと新聞に目をやると、テレビ欄の仙台放送スーパーニュースのところにこんなことが書いてあった。

3:59 ライブ!
ヨジテレビ! 3連発!和牛で有頂天今月限り幻のスシ8貫福袋スイーツ12品公開▽負けずに隣の店長も激安!2店同時セール
▽4:55スーパーニュース
飲酒運転による暴走で奪われた15歳の未来…きょう判決が下ります 悲劇を繰り返さないために私たちは心をこめて伝えます

後にも先にも在仙のテレビ局のニュース番組が、その日の主なニュースの羅列ではない強い意思を持ったメッセージで番組欄を埋めたことは無いと思う。(「VOICE」や「ムーブ」や「ニューススクランブル」なら有り得るのかな?)
たしかに衝撃的な事件だったから(仙台にはアーケード暴走事件という衝撃的事件が困ったことに模倣犯も含め2件もあったりするが)、犯人に対する怒りややりきれなさは今も強く残っている。
佐藤拓雄さんなら犯人に対する強い憤りをもって原稿を読んだであろうことは想像に難くない。たぶん加害者被害者双方のその後をきちんと取材した特集でもあったのであろう。この番組を見られなかったことが残念でならない。

で、判決はどうなったんだ?

【再掲に当たっての中略 この部分には当時の仙台放送のニュース記事を貼り付けていました。2005年5月、飲酒運転の男が宮城・多賀城市でRV車を暴走させ、仙台育英学園高校の生徒3人を死亡、15人を負傷させた事件の判決です。危険運転致死傷罪の法定最高刑である懲役20年が言い渡されました。一応仙台放送は無断転載禁止を宣言しており、当時の私は無断転載をしていたことになります。なお、犯人は控訴せず判決は確定しています。中略ここまで】>>

当然っちゃぁ当然の判決ですね。河北新報によれば弁護側は酒酔い運転ではなく仕事の疲れによる居眠り運転だと弁解したらしいので控訴する可能性もあるのでしょうが、酒を飲み高校生を轢いたのはまぎれもない事実なのですからおとなしく刑に服していただきたい。

2011-04-11 さすがだ その2

震災から1カ月…心がくじけそうになった時もありましたね…きょうからも…新しい宮城に向かって歩むための情報を心をこめて

河北新報のテレビ欄のちょうど真ん中というのが「仙台放送スーパーニュース」だということに今更ながら気が付きました。ほかの新聞だと並び順が違うのかな、地デジのチャンネル番号順だと仙台放送は末席に飛ばされちゃうね。だから自分の番組の見出しが新聞紙のどの辺の位置に来るかまで意識することはないと思うのだけど、番組表の真ん中にこのようなメッセージが出ていると、おおっ、と思う読者も多いのではないかと思います。
このようなメッセージを立てた今日のスーパーニュースは柳沢アナがヘリから宮城の海岸線のリポートに寺田アナが村井知事のインタビュー。たしかに今日が新しい宮城の第一歩だったのかもしれませんね。ただ、番組中何度も余震が来てましたよね。震源が寺田さんの出身地、いわき市のほうで、寺田さんとしては内心気が気ではなかったのではないかと思ったりもします。
さて、「仙台放送スーパーニュース」が単なるニュース項目ではないメッセージ風の見出しをラテ欄に出すことは今に始まったことではありません。たとえば
こんな見出し見たこと無い - みむめもーど
これはたぶん仙台放送にしかできないことだと思います。
先週月曜日から裏番組「Nスタみやぎ」のメインキャスターが石川太郎アナに替わりまして、「津波被害を取材して」だったっけ思わせぶりな告知CMを作っていましたが、その先週月曜日だって「Nスタみやぎ」が

キャスター石川太郎が南三陸町を取材して
東松島市災害見舞金受け付けほか

に対して「仙台放送スーパーニュース」は

立ち上がるための元気・前に進むための勇気を届けたい!
▽海に出てなんぼ…亘理の漁師の挑戦始まる
▽仮庁舎で窓口業務▽ベガ再開へ

だもの。実際この日は仕事でスーパーニュースが見られず、太郎さんの第1回ということでNスタだけを録画して翌日に見たのでした。でもラテ欄を見ていると、さすがはスーパーニュースだなと思わずうなってしまいます。

2011-11-06 ニュースキャスターに求めるもの

見ましたよ、今月の仙台放送『月刊チャンネル寸評』。声を聴くのは初めてかな。前回見たのは「遥かなるカナリア」の番組ホームページのスタッフのページでのもので、あれから9年も経っているらしいですね。その当時から気になされていたものが今は…
あぁやっぱりうまく書けません。
誰に向かって何を書いているかわからないようなことはこれくらいにして本題。
番組審議会で、上杉移転以来初めてセットを模様替えした「FNN仙台放送スーパーニュース」について話し合われたそうでして、委員の誰々さんがこんなことを言ったというのが流れたのですが(東北放送ミヤギテレビの同種の番組では感想を箇条書きするだけで発言した個人名は流していませんよね?)、ひとつ気になるやり取りがあったのでした。仙台放送のサイトの番組審議会のページには載ってないような気がするので、番組のVTRからテロップを抜き書き。

番組審議委員:女性2人のキャスターさんの表情がもうちょっとあってもいいのかなと思う。もっと2人のやり取りがあってもいいし簡単なコメント的なものが2人の会話の中であってもいい。
報道部ニュースデスク:この3月の震災で、これだけの甚大な被害が出た宮城の中で、どのような表情を作って、どのようなコメントをしていいのか、たぶん彼女たちも悩んでいるんだと思うんです。彼女たちの個性が、もっとニュースの中に出てくるように、我々スタッフがバックアップしていきたいと思います。

それを聴いて思ったのです。私はニュースキャスターに何を求めているんだろうって。
前任の佐藤拓雄アナに対しては間違っているものは間違っている、悪いものは悪いときっぱり言い切る姿勢を好感を持って見ていました。言い過ぎではとヒヤヒヤしたこともあるくらいです。過去ログを検索してもらえればいくらでも書いています。

では現在の寺田早輪子アナに対しては? 美貌? いや、いつぞやのホワイトデーの特集のときのような“不規則発言”かな。でもそれってキャスターの本分ではないよね。ただ寺田アナも隣の梅島アナも基本的には生真面目にニュースを読んでいるわけで(それが仕事なのだから当然ですが)、そんな日々の中にちょろっと毛色の違う特集が紛れ込んでるとコロッと堕ちてしまうのかもしれません。私はニュースデスクさんの掌でいいように踊らされているのかもしれません。

夕方のニュースで仙台放送が決定的に他局と違うところと言ったらメインキャスターが女性2人だということです。早坂牧子アナがスポーツニュースを担当していた日は私がこれまで何度も揶揄してきた“女だらけのスーパーニュース”でした。男性に媚を売れと言いたいわけではないけど、女性だけだからどうなんだと言われたらそれを他局との差別化の材料にはしていない(ように私には思えるのですが)。ニュースに男も女もないんだから当然ちゃぁ当然です。「女性の視点から」なんて視点はもう古いし。
無理繰りもう一つ挙げれば2人のメインアナウンサーの年齢差が最も小さいこと。柳瀬さん・武田さんと竹鼻さん。太郎さんと大久保ちゃん・林ちゃん。どっちも親子ほど年が離れている。これだけ差があれば茶の間のような自然な会話になるのかな。谷地さんのところや吉岡さんのところは最近見ていないので何とも言えませんが、寺田さんと梅島さんほどは年齢は近くないだろう。で何? 齢が近いから姉妹のような感じで親しく会話する? 報道番組では常識的ではない。
まぁ私ごときが2,3日考えたくらいで妙案が出るはずもないのだけど、例えばTBCラジオの「3.11みやぎホットライン」はアナウンサーが交代で被災地に出向いて自身の言葉でともぴょんと感想を話し合ったりしてますよね。一度寺田さんや梅島さんに「ともに」に出てもらって、ニュースでは言えない気持ちを語ってもらうってのはどうでしょうね。「ともに」はいちおうニュースではありませんから。復興の進展具合とともに二人の表情もフランクな感じになっていく…そんな悠長なことは言ってられないか。うーん、個性を活かすって難しいなぁ。
妄想はさておき、以前「仙台放送スーパーニュース」のラテ欄には一目置いていると書きましたが、ラテ欄の作成からキャスターのプロデュースまで、ニュースデスクに課せられた職務の幅広さにちょっとびっくりしたりもした、番組審議会の一コマでした。

2012-03-09 伝えたこと伝えられなかったこと

今週は久しぶりに夜勤ではなく、そんなときはだいたい朝はギリギリまで寝て新聞を読まずに家を出て夕方呑気に帰宅してテレビをつけ仙台放送に合わせ新聞を眺める。で水曜日、呑気に新聞を見て愕然としました。

5.54(N)仙台放送スーパーニュース あの日仙台放送が伝えられなかったこと(1)ヘリが流された▽石巻工業センバツへ壮行式▽渡り鳥

朝新聞を読んでこのテレビ欄を目にしていたら定時で仕事をあがり寄り道なぞせずまっすぐ帰宅して万難を排してテレビの前に正座して見ていたはずです。悔やみきれません。
あの日、もちろん昨年の3月11日のことですが、地震と同時に停電し、情報を得る手段はポケットラジオとケータイのワンセグとなりました。ワンセグでは鈴木俊光さん*1仙台空港の情報カメラの映像を見ながら仙台空港津波が押し寄せていますと言っています。このことが空港の東側にある名取市北釜、岩沼市相野釜の集落がすでに水没していることを意味するということが分からず、滑走路が濡れているぐらいにしか思えなかった私でした。しかしこの津波は単に滑走路を濡らしただけでないことはご承知の通りで、仙台空港に留めていた報道用のヘリコプターたちも使用不能になってしまったわけです。
震災後インターネットが使えるようになってから震災に関する記述を眺めていて、マスゴミのヘリの爆音で生存者の救出が妨害されてる的なものをいくつか目にしました。仙台空港が水没して在仙局のヘリコプターが使用不能なのにどこからヘリコプターが来てたんだと不思議でなりませんでした。あの時間帯わが家の上空でヘリコプターが飛んでいた記憶はないなぁ。空に目がいかなかっただけかな。まぁ後にNHK閖上を襲う津波を生中継していたことを知り愕然とするのですが。NHKだけ別の場所にヘリがいたのかな。自衛隊機とは別だよね?
木曜日。

5.54(N)仙台放送スーパーニュース 検証(2)あの日届けることができなかった映像▽仮設校舎で入試▽石巻に百貨店▽楽天仕上がりは

局の週間タイムテーブルにはより正確に『被災しながら取材続けた記者の葛藤』と書かれています。
6時15分に家に着かなかったので近くのコンビニに車を停めてワンセグで見ました。直視できる内容でもなかったけど、運転しながら音声だけ聞くのも悪い気がする内容でした。石巻支局、気仙沼支局で取材にあたった記者さんたちのインタビューでした。映像自体は貴重なものだし後世に残すべきものだし、たとえ上杉の局舎に映像を送る手段がないとしても職務として取材はしなければならない。けどあんな状態でそれが本当にすべきことなのか、悩むのは当然だと思います。火曜日にミヤギテレビで放送された石巻日日新聞の再現ドラマでも同様の葛藤が出てきましたね。みんな悩みながら、全国から支援に入った同業者たちの手を借りて映像を送り続けたんですね。
金曜日。この日はめざましテレビで柳沢剛アナがヘリコプターから宮城県沿岸部をリポートするという企画があったのですが、寝過ごしました。

5.54(N)仙台放送スーパーニュース 検証(3)あの日伝えるべき情報とは…▽島から卒業したい!女川二中▽被災後初の建築受注▽ベガ

このあとは…のCMのところで帰宅しまして先に述べたとおり正座。ギリギリセーフ。で画面に映ったのはニュースデスクの澤田滋郎さんでした。澤田さんの仕事ぶりについては気が付いたごとに書いています。最近だと
ニュースキャスターに求めるもの - みむめもーど
とか。
県内全域が停電しているのに何が伝えられるのか。仙台放送のアナウンサーページでも佐藤拓雄アナが率直に振り返ったコラムが出ていますが、それでも仙台放送はできる限りの情報を発信し続けました。局舎前に街頭テレビを設置したところ人だかりになったと言います。
3月16日の亘理高校体育館の避難所の映像というのはある意味衝撃的でした。それは避難所にいる一人一人の顔をできるだけ多く映すという明確な意図を持ったものだったからです。その日の過去ログを探してみたらそのことを書いていなくて意外だったのですが、すごいことを思いついたなと思ったものでした。平時であればプライバシー的な問題がもたげるところですが、そんなことを言っていられる状況ではないのは言うまでもありません。
電気が、電話が復旧した後の仙台放送には無事でいることを伝えてほしいという情報、安否確認の問い合わせが殺到したそうです。地元の放送局として安否情報を届けるにはどうしたらよいだろうか考えに考え、そうだ避難所にいる人たちは生きているんじゃないか、避難所にいる人たちを映すことが安否確認になる、という結論を導き出しました。一生懸命知恵をひねり出した結果でした。
報道人として地元人として、あれもできなかったこれもできなかったと思うところはたくさんあると思います。私がとやかく言うことではありません。それが震災2年目の、そして来てほしくはないけど万一次が起こった時の放送につながるのだろうと思います。


この検証特集の初めに拓雄さんは、津波の映像や震災直後の映像が流れることを喚起したうえで「気分が悪くなったら見るのをおやめください」と言いました。テレビの人間なのに、なかなか言える言葉ではないなと思います。私は津波を見ていない、被害に遭った現場を目の当たりにしていないから平気で見られるのかもしれません。逆に傷つくまで見続けて少しでも苦しんだ、苦しんでいる人たちの気持ちに近づくべきなんだと思って映像を見ています。あんまり近づいていないような気もしますが。しかし、目の当たりにした人にとっては二度と思い出したくない絶対に見たくない、そんなものを映されるくらいならテレビを消してしまいたいというものなのかもしれません。


本題から外れますが最後にひとつ。仙台放送スーパーニュースのホームページ。以前からお願いし続けてきた、過去のニュースがホームページ上に残るようになったんですね。「ニュース・アーカイブ(過去のニュース)」のページができていたことに気が付きませんでした。
在仙の放送局では仙台放送だけが本当に直近の、その日の昼の「FNNスピーク」のローカルニュースだけ、晩の「仙台放送スーパーニュース」のトップ数項目だけしか載らず、次のニュース後にページが更新されればそれまでのニュースは全消去でした。それが3日分、項目だけではなく詳細(たぶん放送した原稿の内容)と動画まで残っている。逆に在仙の放送局で最も充実した内容になったじゃないですか。ありがとうございます。


(再掲ここまで)

*1:その時点で私は仙台放送を見ていません。TBCのワンセグテレビを見ていたかラジオを聴いていたか。