<閖上津波訴訟>災害時の公助責任追及届かず 遺族側の主張ことごとく退ける

きょうの河北新報から3つほど取り上げなければならないのだけど忘れていました。ひとつめは震災のあったあの日、名取市の防災行政無線の故障のせいで津波に遭ったという損害賠償訴訟。名取市の全面勝訴と言っても構わないでしょうね、遺族の請求は棄却されました。
<閖上津波訴訟>仙台地裁、遺族の請求を棄却 名取市の対応違法性認めず | 河北新報オンラインニュース
届かない防災無線で避難を呼びかけ続けた名取市の対応は語り継がれるべきお粗末ではありますが、この判決が正しいと仮定すると、大規模災害が予想される際には下々の者はお上を頼ることなく自分の命は自分で守らなければならないという事になるのでしょう。
<閖上津波訴訟>災害時の公助責任追及届かず 遺族側の主張ことごとく退ける | 河北新報オンラインニュース
閖上津波は来ないという根拠のない思い込みや地震で壊れたものを片づけなければという「正常性バイアス」から目覚めさせるには防災無線や広報車、消防団の呼びかけは必要だったのだろうと思います。実際消防団か誰だか分からないけどもっと遠くに逃げろと呼びかけ、閖上公民館から閖上中学校に移動する間に津波に巻き込まれた人が多かったという話も報道されていたと思います。結果論ではありますが公民館に留まっていれば助かったのではという説もあります。自動車で逃げる人で道路が渋滞し車ごと流された人も多数出たとも報道されていたはずです。あれだけの巨大地震が来たあと逃げなきゃと思ってすぐに行動に移せるか、逃げるのが遅れれば渋滞した車列の中で津波に遭っているかもしれません。それでも逃げずに津波に遭った人の話や逃げない人に避難を呼び掛けている最中に津波に遭った人の話も多数あったはずです。
これは殺人事件ではなく民事訴訟なので裁判員制度は適用されませんが、裁判員として原告と市の言い分のどちらが正しいか判断せよと問われたら大変悩むと思います。何せ逃げろと言われなかったから死にました、逃げろと言われていれば死なずに済みましたという話ですから。市は市で防災計画のアップデートを怠っていたという事が明らかになり、名取生まれ名取育ちの私としては名取らしいなと思わずにいられません。訴訟当時の市長は選挙に負けて代わりましたので、新しい市長の下こんなポカを二度としないように気を引き締めて生きていくしかないでしょう。生き残った者ができることはその程度なのだと思います。