ここ最近のFM局予備免許について 2023秋 - みむめもーどの続きのような話です。日付の設定の順序がおかしいですが。
免許の継承
開局したのはこれだけではありません。
見た目には何の変化もないのですが、これまでの 株式会社新潟放送は認定放送持株会社である株式会社BSNメディアホールディングスになり、その子会社である株式会社新潟放送分割準備会社が地デジ、AM/FMラジオの免許を継承して新たに株式会社新潟放送となります。
それよりも大事なのがこちら。
エフエムあまがさき(FMaiai)が閉局を発表したころから放送継続に名乗りを上げていた「みんなのあま咲き放送局」が8月20日付で無事免許継承を許可されまして、10月2日に「みんなのあま咲き放送局」が開局しました。
放送局 | 識別信号 | 設置場所 | 周波数(MHz) | 出力(W) | 免許付与日 | 開局日 |
---|---|---|---|---|---|---|
一般社団法人みんなのあま咲き放送局 | JOZZ7AI-FM*1 | 兵庫県尼崎市 | 82.0 | 20*2 | 令2.11.1*3 | 令和5年10月2日 |
閉局
「コミュニティFM 閉局」でググると、「みんなのあま咲き放送局」に関するニュースに混じって
- FMちゃお閉局のお知らせについて - 八尾市
という大阪府八尾市のサイトのページが引っ掛かりました。
来年3月31日で閉局するそうで。でもその理由には一切触れていないお知らせ。
FMちゃおのサイトを見るとトップページに『たいせつなお知らせ』という項目があり、pdfファイルのリンクがありました。9月21日付です。
八尾市の放送委託料に頼らない自立した経営を模索してきたようなのですが、持続可能な経営の可能性が見いだせなかった。
端折り過ぎか。そんな内容のことが書かれていました。
開局25周年を迎えた老舗の局で積極的に地元密着を図っている。放送委託料のおかげで単年度黒字は確保できているのだけど累積赤字が解消できていないらしい。他県に住む私がとやかく口をはさむべきではないことだけど、こういう窮まった状態にある局には何も言えない。
それにつけても関西の話ばっかし。それはコミュニティFMに限った話ではなく
(※MBSラジオからのお知らせ | 2023年10月29日(日)の放送をもちまして京都中継局からのAM放送の送信を終了いたします)
- ABCラジオ―AM1008kHz・FM93.3MHz|<リスナーの皆様へお知らせ> 京都中継局からのAM放送の送信を終了いたします
- 2023年10月29日(日)の放送をもちまして、京都中継局からのAM放送の送信を終了いたします - ラジオ大阪 OBC
在阪AM3局の京都中継局が廃止されることになりました。ラジオ大阪のサイトのお知らせによると7月28日付です。たぶん3局一斉に発表したはずです。
1997年4月に3局が合同で開設し、共同で運用してきたのだそうですが、『京都市内の電線地中化が大幅に進んだこと、受信を著しく妨げるレベルの海外からの電波の混信が無くなったことで、京都エリアにおけるAMラジオ放送の受信状況は、京都中継局を開設した26年前と比較して大きく改善して』いるのだそうです。
電線の地中化というのはAM放送を聴きやすくすることに貢献しているんですかね。韓国KBSの1170kHzの放送ってなくなったんでしたっけ? と思うところはあります。まぁ本局の電波の直接受信で特に問題は無いみたいです。
放送休止
電波が減るのは関西のお話だとばかり思っていました。
本稿は9月のうちに書き始めていたのですが、アップする前に何となしに「コミュニティFM大図鑑」を読んでいたら、宮城県亘理町の「エフエムあおぞら」が放送を休止したと書いてあるではないですか!
コミュニティFMとして約5年間放送を続けてきたFMあおぞらでしたが、2023年9月22日に放送をしばらく休止することを発表。30日に特別番組『また逢う日まで』を放送して、10月1日から放送休止に入りました。放送再開等、今後の予定は未定となっています。
なんで宮城県に住んでいる私がこの事実を知らないんだ!
FMあおぞらのwebサイトを眺めてみると確かに9月30日に特番を放送して放送休止に入ったようです。
ただ、後述しますが1か月以上の放送休止をするのであれば法律に則って放送休止の届けを出さなければならないし、東北総合通信局もそれを公表してくれるはずなのです。現に宮城県内でかつてコミュニティFMが放送を休止した時には公表されています。
- 平成19年1月22日 お知らせ:株式会社仙台市民放送から提出された放送局の運用休止届を受理
総合通信局側も公表するのが面倒になったのか。義務じゃなくてサービスだからな。
臨時災害放送局から直にコミュニティFMに移行できず、いったん臨時災害放送局を畳んでから資金を集めて改めて開局にこぎつけた経緯もあります。たぶん宮城県では唯一の「きらら方式」を取っていた局ですが、それでも経営は苦しかったのかな。もうすぐ開局5年という節目を目の前に放送を休止するのは悔しいだろうなと思います。放送が再開できればよいのですが。
再免許と運用休止
コミュニティFMを除くふつうのラジオ局やテレビ局、法律用語で言うと基幹放送局ですが、その無線局の免許の有効期間はすべて2023年10月31日までに揃えられています。すでに11月1日以降5年間の新しい免許(法律用語で言うと再免許)の申し込みは締め切られており、194者から申請があったそうです。
- 令和5年8月7日 地上基幹放送局の再免許等の申請受付結果
内訳は、中波単営 16者、短波放送事業者 1者、超短波 50者(※FMラジオのこと。FM802とFM COCOLOは一つの会社なので51でなく50になる)、テレビ単営 96者、中波・テレビ兼営 31者。この資料には日本放送協会という名前がないのだけど、どういう扱いになっているのだろう?
ただ、いつもの発表と異なるのは次のような但し書きが付いていることです。
※ 地上基幹放送局の再免許申請のあった者のうち、別紙2PDFのとおり、13者の中波放送事業者及び
中波・テレビジョン放送事業者からAM局の運用休止に係る特例措置の適用希望申請がありました。
内訳は次のとおりです。・中波放送事業者(単営) 2者
・中波・テレビジョン放送事業者(兼営) 11者
無線の法律で6か月以上電波を止めてはダメなのです。
- 令和5年3月9日 AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針(案)に対する意見募集の結果及び同基本方針の公表
無線局の運用を1か月以上休止する場合は、電波法第16条第2項に基づき、総務大臣に対して無線局の運用休止に関する届出を行うことが必要となり、また、正当な理由がないのに運用休止期間が6か月以上となる場合、同法第76条第4項第1号に規定する免許取消事由に該当するのです。なのでAM局の廃止やFM転換のために6か月以上電波を止めても免許を取り消したりしないよという特例が今回AM局のために作られたのでした。
話を戻して、前記別紙2PDF「中波放送(AM)局の運用休止に係る特例措置の適用希望を伴う申請をした中波放送事業者等」を書き写すと、
事業者名 | 特例措置を申請した局 | 主な放送区域 |
---|---|---|
株式会社アイビーシー岩手放送 | 田野畑局 | 岩手県岩泉町、田野畑村 |
株式会社茨城放送 | 土浦局 | 茨城県土浦市 |
↑ | 関城局 | 茨城県土浦市 |
株式会社新潟放送 | 長岡局 | 新潟県長岡市 |
↑ | 柏崎局 | 新潟県柏崎市 |
北陸放送株式会社 | 七尾局 | 石川県七尾市 |
↑ | 山中局 | 石川県加賀市 |
↑ | 輪島局 | 石川県輪島市 |
福井放送株式会社 | 敦賀局 | 福井県敦賀市 |
↑ | 小浜局 | 福井県小浜市 |
東海ラジオ放送株式会社 | 下呂局 | 岐阜県下呂市 |
↑ | 恵那局 | 岐阜県中津川市、恵那市 |
↑ | 高山局 | 岐阜県高山市 |
↑ | 神岡局 | 岐阜県飛騨市 |
↑ | 上野局 | 三重県伊賀市 |
↑ | 尾鷲局 | 三重県尾鷲市 |
↑ | 熊野局 | 三重県熊野市 |
↑ | 新城局 | 愛知県新城市 |
↑ | 豊橋局 | 愛知県豊橋市 |
ちょっとブレイク。茨城放送、北陸放送、福井放送、東海ラジオは親局以外のAM中継局すべて休止。北陸放送の山中局とか東海ラジオの各局は対応するFM補完中継局が無い(豊橋局は設置予定あり)のにどうするつもりだ?
事業者名 | 特例措置を申請した局 | 主な放送区域 |
---|---|---|
山口放送株式会社 | 須佐田万川局 | 山口県萩市 |
↑ | 萩局 | 山口県萩市 |
↑ | 山口局 | 山口県山口市 |
↑ | 岩国局 | 山口県岩国市 |
↑ | 下関局 | 山口県下関市 |
↑ | 周南局 | 山口県周南市、防府市、宇部市 |
南海放送株式会社 | 新居浜局 | 愛媛県今治市、新居浜市 |
↑ | 宇和島局 | 愛媛県宇和島市 |
↑ | 八幡浜局 | 愛媛県八幡浜市 |
RKB毎日放送株式会社 | 行橋局 | 福岡県行橋市 |
九州朝日放送株式会社 | 行橋局 | 福岡県行橋市 |
長崎放送株式会社 | 佐賀局 | 佐賀県佐賀市 |
↑ | 唐津局 | 佐賀県唐津市 |
↑ | 伊万里局 | 佐賀県伊万里市 |
↑ | 有田局 | 佐賀県有田町 |
株式会社熊本放送 | 荒尾局 | 熊本県荒尾市 |
株式会社南日本放送 | 阿久根局 | 鹿児島県出水市、阿久根市 |
↑ | 川内局 | 鹿児島県薩摩川内市 |
↑ | 大口局 | 鹿児島県伊佐市 |
だそうです。山口放送に至っては親局を含めすべてのAM中継局だから完全にFM局に移行することになります。長崎放送は佐賀県内のAM中継局だけを休止、radikoと引き換えに長崎佐賀同一放送になったからNBCラジオ佐賀って現在どういう扱いになっているのか分からないけど、長崎ではAMとFM、佐賀ではFMのみということになりそうです。
特例措置の適用期間は、2023年11月1日から2025年1月31日まで(延長可)。ただ、11月1日に即時FMに移行するというわけではなくて、3か月以上の移行周知期間が求められているので実際の休止期間は来年2月1日以降ということになります。
※この件については、私が本稿をアップしないでいるうちに再免許が交付されてしまいましたので、資料を読んだうえで改めてエントリを上げます。