「ラジオ番組表2019春号」正誤表(2)全国放送局周波数リスト・AM編 

今号の巻頭特集「#この○○がヤバい!」の中に『「全国放送局周波数リスト」がヤバい!』という読み物があって、周波数リストの変わった読み方の提案が述べられています。
なかなかすべての行を1行1行目を通すことが大変な資料ですが、AM編の最初のほうはNHK第1ばっかりだなとか、周波数って切りの悪い細かい数字が飛び飛びになっているけど何かルールがあるのかなとか、『県名または国名』って書いてあるけど外国から日本に飛んでくる放送局でもあるのかなとか(これはかつて国内で受信可能な海外の放送局の周波数も載せていた名残りです)、気づくことはたくさんあるでしょう。
私はある時、このリストに結構抜けがあるんじゃねぇ? って気づいてしまい、2014秋号の時に単なる誤植や平成の大合併に伴うデータのアップデートがされていないものから本当に書かれていない抜けているものまで、誤りを65か所ほど見つけました。
三才ブックスは全国の面白電波を総覧できる「周波数帳」を出版している会社でもあり、当然AMやFMの周波数の情報はすべて把握しているにきまっていると思っていたのでこの結果は衝撃でした。そして、放送局に関しては個人サイトである『千客万来・でんぱでーたどっと混む!』のほうが三才ブックスよりも詳しくわかるということを知るのでした。
2016秋号の時にFMの部分だけ再度調べたのですが、どうやら地方総合通信局から公式なプレスリリースが出ないまま開局した局については掲載されていないという傾向があるようだと思うのでした。「でんぱでーた」さんのところではどうやって調べているのだろうと、出版社以上の取材力に頭が下がります。
ひとつ、総務省電波利用ホームページにある無線局等情報検索を「でんぱでーた」は活用しているが三才ブックスは見ていないということは言えると思います。「ラジオライフ」誌は野に出て受信機で面白電波を探すという行為に重きを置いているからかもしれません。その意味で放送局の周波数は決まっているが故に逆に小さな中継局の区別ができず、公式発表が無ければ知らないままということになってしまうのでしょう。
本リストの抜けのほとんどを占めるコミュニティFM局は各々の局のサイトで中継局について一切触れていないところが数多くあります。それについては後日じっくり精査します。
前置きが長くなりましたが、無線局等情報検索や「でんぱでーた」、Wikipediaなど色々見ながら、何が抜けていて何故抜けているのか、具体的に見ていくことにします。

AM編

誤りは大きく分けて4点。

  • STVラジオHBCラジオの釧路放送局が2014年11月に釧路市から隣町の釧路郡釧路町に共同建設の上で移転したことが反映されていない(それ以外の放送局は釧路市から電波を出している)。
  • NHK浜松支局のラジオ第1、第2のコールサイン(JODG、JODC)がWikipediaによると2018年3月に返上されたらしいのだが反映されていない(FMには当初から浜松独自のコールサインは無い)。浜松支局の縮小は2016年10月の報道拠点の移転から緩やかに進んでいて、2018年3月に静岡放送局の新放送会館が落成したことで営業部などの業務が静岡に集約され、浜松放送会館は閉鎖されたのだそうです。
  • NHK第1古座中継局(585kHz)の出力が100Wと書かれているが、無線局等情報検索では500W。
  • 南日本放送川内局(1107kHz)の出力が1kWと書かれているが、100Wの誤り。本文の南日本放送の番組表のページには正しく100Wと書かれています。本書の大昔の号を引っ張り出してみると本文でも出力が1kWと書かれているものがあるので、どこかのタイミングで減力したのかもしれません。

もちろん無線局等情報検索も万能ではありません。出力の欄に時々出てくるDという記号は指向性アンテナから発射されていることを表すのですが、無線局等情報検索ではそのことを調べることができません。また、無線局等情報検索の明らかな誤りとしては、四国放送のデータで識別信号の項にコールサインJOJRが載っていません。誰にだって間違いはあるのです。

AFN

無線局等情報検索で調べられないのが、治外法権である米軍の放送局AFN(American Forces Network)です。
myAFN - Radio Frequencies
というページに周波数と出力の一覧が出ていてます。2016年7月25日現在と書いてあります。沖縄局のAMの周波数が間違っている(日本やその周辺の地域ではAMラジオの周波数は9の倍数と決まっている)のでそれだけを書き直してあとはコピペすると、

  • AFN Okinawa FM 89.1 MHz 1,000 W
  • AFN Okinawa AM 648 KHz 10,000 W
  • AFN Sasebo AM 1575 KHz 300 W
  • AFN Iwakuni AM 1575 KHz 1,000 W
  • AFN Misawa AM 1575 KHz 1,000 W
  • AFN Tokyo AM 810 KHz 50,000 W

公式サイトがこうだと言っているのだから、これが正しいのでしょうね。
本誌とは沖縄のFM、佐世保、三沢の出力が異なっています。以前調べたときに出てきたデータには沖縄のFMの出力が20kWと書かれていて本誌掲載の6kWと比べても強すぎるので謎だったのですが、1kWだったらFM沖縄と同じですから常識的な出力と言えます。佐世保、三沢は以前調べたときは本誌に載っているのと同じ出力だったので、近年増力したのかもしれません。


このあとFM編に話が移るのですが、あまりに長文になってしまったので稿を分けることにしました。AM編は書き始めた5月22日付のところに、FM編は書き終わった5月30日付のところにアップします。