これもここ数年の年中行事になっているエントリになっています。
4月23日開催のNHK経営委員会の議事録が昨日5月17日に公表されていたようです(このエントリは5月18日に書き始めています)。そこで話し合われる原案になる4月17日開催の理事会の議事録は先週5月10日に公表されていたのでその時点で書いてもよかったのかもしれないのですが、これらの会議において議題の一つとして『ラジオ中継放送局の設置計画について』が上がっていましたので、その部分を中心にまとめておきます。
今回議決された置局は、いずれもラジオの受信改善を目的としており、FM波を利用したラジオ中継放送局で、3局あります。『補完FM』という単語は出てきません、NHKなんで。
- 受信改善を目的としたラジオ中継放送局
3局ともR1(FM波)、開局予定は2020年度。
今回面白いと思ったのは『テレビジョン中継放送局の廃局について』という項目があったことです。
岡山県の大原テレビジョン中継放送局というところで、ググった感じだと岡山県美作市(旧英田郡大原町)の竹山城跡というところの近くにあるらしいのですが、廃局の理由が『地元自治体が運営するケーブルテレビに放送エリア内の全世帯が加入したことにより、受信者が皆無となりました』とあるのに驚くのです。
美作市のサイトで調べると、美作市CATVに加入するには『工事手数料(52,140円)と設置分担金(20,570円)』を払って、月額使用料(基本コース)が1020円。ケーブルテレビと同時に光インターネットも入る人は工事手数料が高くなるし、BSやCSも見る人は月額使用料が高くなります。
地域住民みんながそのお金を払ってケーブルテレビを見るからテレビ中継局は要らないというのが、私のような世界が半径5センチメートルしかないような人間には想像を絶するのです。
なお、そのケーブルテレビに入るとNHK総合・教育と岡山・香川地区の民放5局、自主放送チャンネルのほかにサンテレビが見られるようです。兵庫県と県境にある市なのですね。ほかにFM放送も聞けるようで、なんと、 FM岡山(76.8)、Kiss‐FM(77.6)、FM香川(78.6)、FM802(80.2)、FM大阪(85.1)、NHK-FM岡山局(88.7)が聴けるのだそうです。Kiss-FMの77.6というのは姫路局の周波数のようです。CATVとは別にシンクレイヤ製のFM告知端末(よその町で言う所の防災ラジオというか有線放送というか)だとNHK-FM・FM岡山・FMつやま・KISS-FM・FM802・FM大阪の各局が聴けるらしいです。ここで言うFMつやまというのはステーションネームがエフエムつやまであるNPO法人つやまコミュニティFMが運営する局のほうを指しているのかな(津山市には運営会社の名前が株式会社エフエム津山であるコミュニティFM局があるのでややこしい)。
余談が過ぎました(この余談を書くだけで一晩を要しています)。5月31日にこの中継局が廃止になると、地デジの中継局は、総合が2,214局、教育が2,185局になるのだそうです。
ではラジオは? 『ラジオ中継放送局の開局について』という項目で、2018年10月から2019年3月までの間にラジオ中継放送局7局を開局したことが報告されています。いずれもラジオ第1をFM波で放送するもので、受信改善目的のものが6局(秋田県の皆瀬、岩手県の岩泉小本、島根県の日原、高知県の仁淀、蟠蛇ヶ森、東津野)、津波対策のものが1局あります(和歌山県のすさみ)。
県名 | 局名 | 送信出力 | 周波数 | メディア | 申請世帯数 | 開局年月日 |
---|---|---|---|---|---|---|
秋田 | 皆瀬(みなせ) | 10W | 84.2MHz | R1 (FM波) | 約0.4千 | 2018年11月1日 |
岩手 | 岩泉(いわいずみ)小本(おもと) | 10W | 88.3MHz | R1 (FM波) | 約0.5千 | 2018年12月1日 |
島根 | 日原(にちはら) | 30W | 80.3MHz | R1 (FM波) | 約1.1千 | 2019年1月9日 |
高知 | 仁淀(によど) | 1W | 78.1MHz | R1 (FM波) | 約0.8千 | 2018年11月5日 |
高知 | 蟠蛇ヶ森(ばんだがもり) | 30W | 77.4MHz | R1 (FM波) | 約5.0千 | 2019年3月18日 |
高知 | 東津野(ひがしつの) | 10W | 76.5MHz | R1 (FM波) | 約0.5千 | 2019年3月18日 |
和歌山 | すさみ | 100W | 91.3MHz | R1 (FM波) | 約2.9千 | 2018年10月19日 |
これらの開局により、平成31年3月末現在でNHKの送信所はラジオ第1放送は265局、ラジオ第2放送は146局ということになっているそうです。
この資料にFMの送信所数は載っていません。総務省電波利用ホームページの無線局等情報検索に超短波放送で日本放送協会なものを検索すると579件ヒットします。AMラジオのFM波中継局はラジオ第一で41局、ラジオ第二で6局あるので、NHK-FMの中継局は532局ということになります。またこのことから中波放送の中継局はラジオ第一が224局、ラジオ第二が140局となります。なお、NHKのらじる★らじるのサイトに載っている周波数一覧には今般開局した7局のうち日原を除く6局と北海道の広尾FM補完中継局(2018年9月10日開局)が載っていません。