朽ちていくSL

三陸鉄道リアス線開業というおめでたい日に、毎日新聞のwebに蒸気機関車に関する残念なニュースが上がっていたので取り上げます。
mainichi.jp
私のガラケーでiモードのニュースの見出しは『保存か撤去か…SL長年放置で腐食 アスベストも』というものでした。何処の県の話だよと思ってクリックすると、残念なことに宮城県大崎市でのお話でした。
大崎市内には旧国鉄から無償貸与されたという「C58形」機関車が3台あるのだそうです。記事によれば、
▽JR陸羽東線中山平温泉駅前▽同線西古川駅近くの児童公園▽岩出山地区の観光名所、城山公園
そう言われれば岩出山城址にあるのは見たことがあるような気がします。あとの2台は知りませんでした。
記事が問題にしているのは放置していることよりもアスベストの害のようです。記事よりその部分を抜き書き。

 SLのアスベストを巡っては、全国のJRグループ6社が05年、「ボイラーやシリンダーなどにアスベストが使用されている可能性がある」として、SLや除雪車両など488両の実態調査を開始。鳴子総合支所によると、JRの担当者から07年、中山平のSLについて「シリンダー部分の中にアスベストが入っているが、ある程度頑丈に守られているので飛散の恐れはない」と説明を受けたという。同支所によると、「その後、車両を解体する方向でJRと何度か話し合いをしたが、東日本大震災で途切れた」という。

古くなったSLは解体されてしまうのですね。記事の末尾にも『宮城県栗原市は08年、市内の公園に保存されていたSLを解体撤去した。 』とあります。そういうものをまとめたサイトがあるんですね。1974年に旧築館町に貸し出され薬師公園という所に置かれていたようなのですが、整備されていなかったようで2008年3月に解体されたそうです。このほか、1978年より志津川町(当時)の公園に展示されていたものがあり、こちらは整備されていたようなのですが、まぁ皆まで言わなくてもいいですよね。ググったら最期の姿をとらえた写真を載せたブログがありました。もし閲覧する際は自己責任でお願いします。
記事から推測するに、アスベストの存在がわかった2007年以降2011年までのどこかで大崎市は解体したい意向を持っていたようです。速やかに解体されなかったのは費用の問題でしょうか。
記事の最初のほうに戻ります。

中山平のSL(44年製)は、旧国鉄が74年、「適切な管理」を条件に旧鳴子町に貸し出した。旧町は年間30万円で維持管理を中山平温泉観光協会に委託。同協会は数年に1度、ペンキの塗り直しなどをしていたが、2006年に合併して誕生した大崎市は維持管理費を支出せず、10年以上にわたって手入れされない状態が続いているという。

(中略)

 中山平温泉観光協会の加藤素行会長は「市に話をしても『金がない』と手を付けなかった。かつてはSLを目当てに来る客もいたが、今はサビだらけで、危険なものは撤去してもらう方がよい」と話す。

おかしいな、平成の大合併をするとお国からアメちゃんがいっぱいもらえるはずなのに、大崎市はこういう所にはケチったのか。失礼ながら儲かっているとは言えない鳴子温泉郷に、市でカネは出さないから地域住民で自弁で補修しろと言おうものならそれは鬼畜の所業です。

市建設課は「中山平以外の住民からSLアスベストに関する声は上がっていない。これまで放置されてきた理由はわからない」としている。

なんて文章が書いてあるのだけど、まさかアスベストが含まれているのを放置した理由がわからないって限定した話ですよね、まさか合併で3台に増えたSLを何の整備もしないで放置した理由がわからないって意味ではないですよね。

 住民側は継続的に市側に善処を要望してきた。市は昨年末になってSL3台について対応を検討するとして、JR側と打ち合わせの日程調整を始めた。JRとは、現在のアスベストの状況などの確認調査や除去する方法などについて話し合う。また、地元住民に、SLの保存と解体撤去のどちらを希望するかなど意向を聞くことも検討するという。

とのことですが、

 現在、中山平のSLはサビが進み、窓枠なども壊れたまま。西古川の公園に置かれたSLはボイラー下側の鉄が腐食し、一部、垂れ下がっている。支所の担当者は「人が近くに寄らないような措置は必要だった」と語る。

という状態ですし、大崎市には保存に必要な費用を支出するつもりは無いでしょうから、選択肢は解体撤去しかないのでしょう。こんなことになるのなら合併した時点でJRに返却して大事にしてくれる別の町で余生を送れるようにしてあげればよかったですね。
私の記憶では、昨春真岡鐵道のSLに乗りに行ったときに書いてあった説明文には、公園に飾ってあったものを修理して動けるようにしたということが書いてあったと思います(記憶違いだったらごめんなさい)。そういう使い方をする人たちもいるのです。


毎日新聞のwebにはこのほかにも
mainichi.jp
だとか
mainichi.jp
だとか、鉄道経営の厳しさについての記事が並んでいます。もちろん三陸鉄道だって“25期連続経常赤字”という厳しい経営状態が改善される明るい見通しなんてありません。微力ながら三陸鉄道に乗って貢献したいという意思はあります。いつとは言えませんが必ず乗りに行きます。待っていてください。


追記:河北新報にも3月26日付朝刊の県内版に後追い記事が出ました。
www.kahoku.co.jp

97年ごろから予算が付かなくなり、放置された。解体するにも多額の費用がかかるため、棚上げされてきた。

ということで、大崎市は維持するためにも解体するためにもお金を出したくないということが分かります。