猫の日と冒涜

2月22日は猫の日でした。

BSニャパンは局名変更したのか

昨年の猫の日BSジャパンは一日限定で局名を「BSニャパン」とし、猫に関する番組を放送するという暴挙に出ました。
www.bs-tvtokyo.co.jp
しかし、そんな愉快なテレビ局BSジャパンは昨年10月1日、他の地上波テレビ局系のBS局と同様に局名に地上波テレビ局名をくっつけた「BSテレビ東京」(BSテレ東)に社名変更してしまいました。上記リンクもドメインが当時のbs-jからbs-tvtokyoに変更されています。
ということは、今年は猫の日が来たとしても「BSニャパン」にはなれない。かわいそうに。
と思っていたら、今年は『BSテレ東7(にゃにゃ)チャンネル』だそうです。
www.bs-tvtokyo.co.jp
そうきたか…。
その割を食ったのは私の父でした。私が帰宅すると他局の韓国ドラマを見ていたのですが、それが終わってBS7チャンネルの韓国時代劇を観ようとリモコンの7のボタンを押すと、猫が出てくる映画をやっている。日頃から新聞のラテ欄を見ようともせず気まぐれにリモコンの数字ボタンを押してザッピングする父は、手当たり次第にいくつかのボタンを押し、韓国時代劇が見つけられなかったのでプイとテレビに背を向け居間から出ていってしまいました。ご愁傷さまです。猫の日特別編成は私の父には届きませんでした。
今年は2月23日にNHKBSプレミアムで「家族になろう(よ)」*1もとい「家族になろうよ―犬と猫と私たちの未来―」という、保護された犬猫の里親を探すなど動物保護を啓発する大型特番(3部に分けて計5時間50分)も放送されました(昨年5月26日深夜に第1弾が放送されたそうで、今回は第2弾だったようです)。
www4.nhk.or.jp
猫を愛でるだけでなくその命も考えようという公共放送の目的に適った番組だったみたいです。

「にゃん」は市名に対する冒とく

私のガラケーでニュースを読んでいたら、猫が選挙の争点になっている町があるということを知りました。珍しく全文が読める朝日新聞のwebの記事です。
www.asahi.com
「しゅうニャン市ネコ部」。市のプロジェクトなのかと思ったら猫好きの市民グループ
猫好きな女性が町おこしを兼ねてエイプリルフールのネタとしてやったことに市が乗っかったら市議会から猛反発を受けたということのようです。

 関連事業費を計上した2017年度予算は市議会で激論の末、可決された。「税金の無駄」「単なる語呂合わせ」「神聖な市名をもてあそんでいる」と抗議する市議もいた。

  市長選への立候補を表明した(中略)氏は事業からの撤退を明言。「民間の活動は制約しないが、公的な予算付けはやめる」と言い切った。

(※ 現職市長の施策に反対する人を糾弾する目的の引用ではないので、記事には載っている候補者の政党名と実名は伏せます。)

「単なる語呂合わせ」。まさにそのとおり。「税金の無駄」かどうかはそのプロジェクトの中身が市の知名度アップとか経済効果とかにどうかかわってくるのか私には判断できませんので軽々に言うべきでは無いのかもしれないけど、もっと効果的なPR策があるのかな?
問題になっている町、周南(しゅうなん)市はかつての山口県徳山市新南陽市など2市2町が平成の大合併で2003年に発足させた工業都市です。周南とは周防の南部という造語で下松市や光市などを含む概念のようですが、光市は合併協議に加わらず下松市は協議から離脱したようです。新南陽市山形県南陽市が先にできたために市制施行時に新をつけました。市制施行前の南陽町の名前の由来はWikipediaには出ていなかったのだけどたぶん山形県南陽市と同じく漢籍から採った瑞祥地名なんじゃないのかな(間違っていたらごめんなさい)。
徳山市KRY山口放送がある町です。県庁所在地に無い由来をWikipediaでは『徳山市・下松市・光市の3市は、1951年頃から公営ラジオ局の設立を構想していた。しかし先例となったはずだった「姫路市営放送」が、予備免許が交付されながらも開局出来なかったことから、下松・光両市は「実現は困難」として離脱、残された徳山市は単独で計画を進め』と書いています。これがうまく行っていたら下松市・光市を含めた大合併が成立していたかもしれないのかな。
徳山曹達(1994年に社名変更して現社名はズバリ、トクヤマ)もあり徳山の知名度は高いと思うのですが、合併で徳山市ではなく周南市となりました。Wikipediaでは市名の由来のところに『平成の大合併において人口10万人以上の市を含む合併(新設・編入は問わない)において最大規模の市の市名を引き継がなかった市としては首都圏を除けば唯一の例である』と紹介されています。徳山市による周辺都市の吸収合併ではなく周南地域の大同合併を目指していたのだから仕方ないですね。
何が言いたいのかというと、朝日の記事にある市議の声「神聖な市名をもてあそんでいる」に失笑してしまいました。市の名前で合併が破談になるって話はいくらでもあるわけだから市名は大事なのでしょうけど、もしかすると猫=畜生(本来の仏教上の意味で)=人間様より劣るという考え方の人なのかもしれません。
しかし、ググってみると徳山市には東京の地名が溢れているとするブログが見つかりました。
deepannai.info
空襲で廃墟と化した街の復興を願ってのものだという切実な理由があったらしいですが、戦前には当然土着の大字小字があったはずで、それまでも荼毘に付してやる必要があったのかどうか。事情を知らないよそ者の私にはそれってどうなのって疑問に思ってしまいます。
余談ですが、下松市のコミュニティFM「しゅうなんエフエム」は下松市のショッピングモールにスタジオがあり、本社と送信所は周南市にあります。その下松市のショッピングモールは昨年8月、「ザ・モール周南」から「ゆめタウン下松」に改名したようです。メインテナントの変更に伴うもののようで合併問題とは関係なさそうですが、下松市と旧徳山市との間でどちらが地域の中心都市なのかという争いがあるのかもしれません。

2.22は忍者の日

「BSニャパン」に関して、テレ東自身が綴ったコラム「テレ東プラス+」で筆者は2.22は猫の日ではなく忍者の日だという印象が強いと書いています。
www.tv-tokyo.co.jp
それってどこだと思ってググると、滋賀県のお話でした。
www.sankei.com

「忍者の日」と定めている滋賀県甲賀市では市の職員が忍者姿で勤務した
(中略)
職員約30人が頭巾を被ったまま慣れた手つきで電話を取ったり、忍び姿で窓口の対応にあたったりした。

たしかに2月22日は「ニンニンニン」で「忍者の日」でした。甲賀市では小中学校で「忍者の日特別給食」が提供されたりもしたそうです。
ところがその記事には意外な展開が待っていました。

滋賀にある猫の町

さっきの産經の記事の続き。

 忍者で盛り上がる甲賀市に「負けてはいられない」と立ち上がったのが、隣接する湖南市。初めての試みとして、2月22日を「にゃん・にゃん・にゃんの日」と定め、市役所でネコにちなんだイベントを行った。

 湖南市は同市岩根に県動物保護管理センターがあることにちなんで、動物愛護の普及と観光振興を図ろうと平成23年から、市内のネコかイヌが立候補する「こにゃん市長選」を行っている。当選すれば、同市の仮想動物都市「こにゃん市」の市長として、1年間、イベントなどでPR活動を行う。

湖南市のサイトを見ると確かに「こにゃん市」のバナーがあります。
www.burari-konan.jp
宮城県石巻市の田代島に住む猫たちを支援する団体へのリンクが貼ってあったりもしますが、本気でふざけてます。
周南市の「しゅうニャン市」のサイトを見ると凝ったつくりで金掛かってるんだろうなという気がしないでもありませんが、語呂合わせ以外に猫とのつながりが無いとなると、「猫のようにのびのびと居心地よく暮らせる」だけでは弱いのかな、という気がします。あとは真面目にふざけることを許してもらえる空気があるかどうか。湖南市には「神聖な市名を」と抗議する市議はいなかったのかもしれません。
湖南市東海道51番目の宿場町である石部町と甲子園初出場にしてのちに大魔神と呼ばれることになる佐々木主浩を擁する東北高校を破ってベスト4に進出したことで有名な甲西高校のある甲西町が合併して2004年に発足した市で、湖南というのは琵琶湖に南隣というわけではなく、Wikipediaによると大津市南部から旧甲賀郡にかけてを指す広域地名なのだそうです。

本題から外れますが、湖南市のサイトを見ていたら「湖南市役所JK課プロジェクト」というバナーもありました。こういうのって昔どこかの市でやろうとしたら炎上したんじゃなかったっけ? と思ってググってみたら、「豊橋市役所JK広報室」とか「鯖江市役所JK課プロジェクト」とか女子高生が街の魅力を発信している所ってあるのね。JKとは本来(ジョン・カビラのイニシャルではなく)援助交際業界の隠語なので行政が使うべきではないという御意見もあってそれはごもっともなのだけど、ネーミングがどうであれうまくいっているところはうまくいっているようです。

*1:それはテレ東で放送された岡村さんがお見合いする番組