7月の水害についてあれこれ思うこと (3)広島県安芸郡編

テレビドラマ「この世界の片隅に」に対してアニメ映画「この世界の片隅に」製作委員会が無関係であるという声明を出したことが話題になっていますが、どちらも舞台は広島県呉市。主人公の嫁ぎ先のある集落は険しい山の上という設定です。今般の集中豪雨でがけ崩れとかに本当に遭ってはいないのか気になるところです。榮倉ちゃんが無人となった北條家を訪れ「ここに住もうかな」と言ったのは何年何月の設定なのでしょう。アニメ映画版ならすべての日の天気を調べ上げて何月何日か確定させているはずです。テレビだとその辺は上手くオブラートに包んでぼんやりさせることができます。

大きな被害が明るみになった後、中国総合通信局のホームページを見たら、ウチではこういう支援体制をとってますよ、的なリンクが上がっていて、臨時災害放送局という手もありますよ、的な一文が載っていたように記憶しています。それで、

  • 7月13日 熊野町に免許(開局は7月14日)
  • 7月19日 坂町の2局に免許(開局は7月20日)(※2つのコールサインを持つが放送内容は一緒の気仙沼方式のような気がするのだけど実際はどうなんだろう?)

となるわけですが、気になったのは2点。

これまでは臨時災害放送局を開設したい市町村長が地方総合通信局に電話をして開局の申し込みをするのが一般的でした、てゆーかそれ以外の手段は知られていませんでした。しかし今回は中国総合通信局が直接出向いているというところが気になる。両町とも大きな被害を受けているはずなのに開局の申し込みが無い。これは申し込みに来られないほど忙しいに違いないと相手の立場を慮って鴨がネギを背負って、もとい、お役人が放送機器を背負ってやってきたという美談ということでよいのだろうか。それが一点。
もう一点は、坂町に免許を与えた翌7月20日付で中国総合通信局長が辞職しているということ。この日は総務省内でも大きな異動が発表されたようで、中国、信越総合通信局長が辞職、四国、九州の総合通信局長が異動になっています。調べてみたら中国、四国、九州の3局長は昨年7月に異動してきたばかり。頻繁に動くものなんかなぁ。信越の局長は局のホームページに経歴が載っていて在任2年。もしかして定年かなという気がしないでもないのだけど、定年なら辞職じゃなくて定年退職だよなぁ。ちょっと話がそれた。大きな異動の一環なのだからたぶん事前に辞職の意思はあったのかもしれない。そんで退任の花道として総合通信局が自ら働きかけて臨時災害放送局を2つの町に誕生させました、局長のご指導のたまものです、と役人が忖度したなんてことは、無いよね。
もっと上手くオブラートに包んでぼんやりさせることはできないのか、俺。これじゃ名誉棄損で訴えられるレベルだ。
2町と同じくらい被害の大きかった呉市にはコミュニティFMは無いんだよね。東広島市三原市尾道市福山市にはある。あとは廿日市市広島市安佐南区広島市中区安佐南区にあるほうは広島経済大学の学生たちがやっている局だけど安佐南区役所との連携はしているようだ。中区にあるほうは中国新聞の子会社と言ってよかろう。中区の隣の南区までは放送区域らしい。坂町では聞えないかな? そんなわけで坂町と熊野町コミュニティFMが無いので臨時災害放送局があったほうがよかろうということになったのかもしれません。
ところで広島市の地図を見て気になることと言えば2つの飛び地でしょう。ひとつは広島市に四方を囲まれた安芸郡府中町マツダの本社があることでも有名な町です。もうひとつは広島市安芸区を2つに分断している安芸郡海田町。いや、海田町を飛び越えて広島市と合併した旧安芸郡矢野町と言うべきか。広島市にとっては政令指定都市になるまでに安芸郡府中町海田町、坂町、そして熊野町をぜーんぶ合併してしまいたかったものと思われるのですが、それぞれに事情があったのでしょう。Wikipediaによると府中町は東区に、他の3町は安芸区に編入するつもりだったようです。もしそうなっていたとしたら臨時災害放送局は安芸区に1局、呉市に1局ということになっていたかもしれません。明治以来どことも合併をせず単独町制を貫いているからこそ坂町と熊野町臨時災害放送局を持つに至ったのかもしれません。


いちおう今回の憶測シリーズはこれで終わりにします。