宮城県の県道が昨春に再編されていたことを知らなかった

ちょっと本文の更新をしない期間ができてしまったので、6月1か月間コツコツ書き続けていたネタをここで上げてみます。
かなりの長文が2日分あります。

きっかけは何気なく宮城県のホームページで仙台土木事務所に関するところをあれやこれや眺めていて、あれっ、と思ったんです。県道16号の名前が石巻鹿島台大衡線ではなく石巻鹿島台色麻線と書いてあることに。
たしかこの県道は石巻の蛇田辺りから北西に進んで大崎市鹿島台を通って大衡村国道4号にぶつかるところで終点なんだけど、その終点になる十字路をまっすぐ進むと色麻町へ向かって別の県道が始まっていて・・・まさか2つの県道を合体させた?
ここ数年読んでいなかった県発行のデータ集「みやぎの道路」のpdf最新版をダウンロードして巻末の県道一覧を見ると、『(欠番)』という表記がたくさんある。これは、と思ってこれまたここ数年読んでいなかったWikipediaの「宮城県の県道一覧」を見てみたら・・・『(2019年3月29日に』という但し書きが多数書き込まれていて愕然としたのでした。

ダラダラと話が続くのでいったん目次を置きます。具体的な路線名については「宮城県公報」から抜き書きしたものを別エントリとして前日付けとして上げておくのでそちらをご覧ください。
宮城県道再編を表す公報を書き写す - みむめもーど

宮城県道についての能書き

県道や国道など天下の公道に関しては道路法という法律に従ってあれやこれや規定されます。県道も道路法も戦前からあったのですが、現行の道路法は1952年6月10日に公布されています。これに基づいて戦前の国道をいったんリセットして一級国道二級国道(当時の国道の重要度による区分け)を定め、次に主要地方道を定めました。
宮城県では昭和29年12月27日付で主要地方道の、昭和33年3月31日付で県道の路線認定を行いました。戦前からあった県道もここで一度リセットされています。このときにも県道番号はあるにはありましたが、今ほどの意味合いはありません。その後国道や主要地方道が新たに指定されるごとに県道の並びに歯抜けが生じていったこともあり、平成5年10月19日付で番号が付け直されます(施行は平成5年12月1日)。これが現在道路標識や道路地図に表されている県道番号です。このとき1号から65号(主要地方道)、101号から253号(一般の県道)ができました。
その後平成6年3月18日付(14路線認定、23路線廃止)、平成7年4月1日付(16路線認定、5路線廃止)と結構早い段階で2度の再編があり県道268号までできます。このときは廃止になった空き番号に別の県道を当てはめたので欠番はありません。一例をあげると、県道160号は当時の加美郡宮崎町と加美郡小野田町を結んでいた旭小野田線だったのが262号最上小野田線に再編する形で廃止とし、秋保温泉柴田郡川崎町を結ぶ道を秋保温泉川崎線として新規に認定し160号を充てました。初めてできた欠番は207号気仙沼停車場線で平成10年4月10日のことだそうです。国道45号気仙沼バイパスの完成に伴う路線再編の一環で県道から気仙沼市道に移管されたみたいです。この207号を含めこの20年ほどの間は路線認定8(うち1つは岩手県管理の県道、このほか岩手県の事情による路線名の変更が1)、路線廃止5(うち1つはNEXCO東日本へ移管、形式的には国道昇格)と比較的穏やかな時期が続いていました。
それが今回(平成31年3月29日付)、一気に30路線認定、44路線廃止の大規模な再編が行われたのです。

宮城県議会の議事録より

今回の路線再編は宮城県議会の平成31年2月定例会に議第93号議案(県道の路線の認定について)、議第94号議案(県道の路線の廃止について)として諮られ、具体的には建設企業委員会(第367回)の場で審議されました。
宮城県議会会議録検索システム』では本会議だけでなく委員会の議事録も検索できます。3月13日の委員会では土木部長から提出議案の紹介があり、続いて各議案を担当課長が説明し、委員(県議)が質問するという感じで進んでいき、原案どおり議決されました。実は議事録はここからが長くて、さまざまな県政の課題について話し合われていきます。この当時仙台湾の養殖ノリに大きな被害を与えた重油流出事故を起こしたコンテナ船の名前が「なとり」だと知りました。神戸の会社が所有する大型のコンテナ船なのですが名取市民としては何でこんな名前を付けたと驚きます。被害を受けた七ヶ浜町選出の大ベテランの県議さんが海運会社や県の対応を質しているのが記録されています。
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/prefmiyagi/SpMinuteView.html?tenant_id=354&council_id=3148&schedule_id=1&view_years=2019
では、その議事録から籠目勇一道路課長による議案説明の部分をコピペ。

 議第93号議案、県道の路線認定について御説明申し上げます。
 提案理由でございますが、本議案は、市町村合併など社会情勢の変化や東日本大震災からの復興まちづくりの進展に伴い、既存路線の位置づけや利用形態が変化し、認定要件を見直す必要が生じた県道の路線について、一旦現行路線を廃止の上、新たな路線を認定することにつきまして、議会の議決を得ようとするものでございます。
 予算外議案審査関係資料の17ページ、路線図(認定)の右下の表をごらん願います。
 県道は、道路法第7条の規定に基づき、第1号から第6号までの認定要件に該当する路線を認定することとされております。
 左上の表をごらん願います。
 左上の表のうち、右側の②廃止路線名と書いた欄に記載しております赤の①から緑の(44)まで44路線ございます。この44路線につきましては、それぞれ右側に現該当号が書いてございます。この数字が先ほど申し上げた認定要件の道路法第7条の該当号でございます。この現該当号の要件により認定されたものでありますが、先ほど申し上げたとおりさまざまな社会情勢の変化などによりまして、路線の位置づけを見直す必要が生じたことから、これを一旦廃止し、表左側にございます①新規認定路線名、青色で①から(30)まで示してございますが、30路線に再編するものでございます。
 赤色でお示しした廃止路線の①から(21)については、路線の認定要件のみ変更して認定し直すものでございます。例えば、①石巻鮎川線につきましては、現該当号が1と書いてございます。この1は、先ほど申し上げたように道路法第7条第1号ということで、主要地と主要地を結ぶ道路ということで認定したものでございますが、石巻市が広域的に合併したことにより、要件を見直す必要が生じておりました。
 こうしたことから、左側の青い①のように、今度の変更該当号は6号第3-2(2)と書いてございます。右下の表で確認しますと、6号第3-2(2)、離島又は半島に存する道路のうち特に必要なものということでございます。こういう形で認定要件を見直したというものでございます。
 また、廃止路線の(22)から(39)につきましては、2つの路線を統合して、左の青色でお示しした(22)から(30)に認定し直すというものでございます。
 なお、その下に記載してございます緑色の(40)船岡停車場線から(43)有壁停車場線につきましては、左側に記載の各路線に編入するというものでございます。
 なお、(44)川渡停車場線は、周辺道路網の変更に伴いまして、県道から市道に移管するものでございます。
 これまで御説明申し上げましたとおり、新たな認定路線は既存路線の認定要件の変更や路線の統合等により名称変更するものがほとんどです。新たに認定する路線の県道名は、路線の起点の地名と終点の地名を順に呼称して定めるのが一般的でございますが、地元に愛着のある名称を残し交通上の混乱を防ぐという観点から路線名は変更せず、また変更を行う路線につきましては、地元市町村の御意見を踏まえて決定してございます。

(中略)

 議第94号議案、県道の路線廃止につきましては、先ほど御説明申し上げました議第93号議案、県道の路線認定にあわせまして44の現行路線を廃止することについて、議会の議決を得ようとするものでございます。
 道路法では、既に認定されました路線の目的が変更となる場合には、旧路線の廃止及び新路線の認定という二重の手続が必要となるため、議案も認定と廃止の2議案となっているものでございます。

県議の皆さんに配られている資料を見ながら説明されているためなんのこっちゃか分からない部分があります。その資料はアップロードされていないようなので、そこは如何ともし難いものがあります。
それはさておき、この説明から読み取れることは、県道の路線認定には認定要件があること、路線の位置づけが変わって認定要件を見直さなければならなくなると一旦路線を廃止したうえで新路線を認定するという手続きを取らなければならないこと、どうやら認定要件が細かそうだということ。
今回調べて知ったのですが、細かいことは『路線認定、区域決定及び供用開始等の取扱について』(昭和29年11月17日道路局長通達)という通達に従って行われているようです。13項目あって全文コピペしようと思ったのですが、細かすぎて伝わらない気がしてきたので止めます。興味がある方は国土交通省のサイトで検索してみてください。認定要件が変われば廃止して認定し直しというのはここからきているようです。2路線を合併して1路線にするときについても2路線を廃止にして新路線を認定するのだということも書かれています。
では認定要件ってどんなものがあるのか。基本的には道路法第7条に書いてあるので、このブログの後ろに置いておきます。ただその要件にも細かい部分がありまして、『都道府県道の路線認定基準等について』(平成6年6月30日道路局長通達)に具体的に書かれています。この通達の原文は見つけられなかったのですが、それに近いものを探してきたので後ろに置いておきます。
議事録には具体例として県道2号石巻鮎川線について説明されています。現該当号が1、主要地(石巻市)と主要地(牡鹿郡牡鹿町、昭和29年の路線認定時は牡鹿郡鮎川町)だったものが、石巻市が広域的に合併したことにより、要件を見直す必要が生じたと言います。って合併したのは2005年(平成17年)4月の話です。牡鹿町は合併で石巻市になったので、鮎川は主要地ではなくなったということなのでしょう。この要件1号には主要港という条件もあるのですが、鮎川は日本を代表する捕鯨基地だと思っていたのに主要港の条件である第2種漁港、第3種漁港ではなく、第4種漁港(離島その他辺地にあって漁場の開発、または避難上、必要とされるもの)なので主要港ではありません。それで今回、変更該当号は6号第3-2(2)、離島又は半島に存する道路のうち特に必要なもの、という認定要件で路線認定し直すことになったというわけです。
このように認定要件の何番目かということの問題で廃止し路線認定し直すものが21路線あるそうです。このほか、2路線を合併し新路線にすることで18路線を廃止、9路線を新規認定。4路線を他の路線に編入するために廃止。2路線を併合することと編入することの違いは『路線認定、区域決定及び供用開始等の取扱について』という通達の中で説明されているはずですが、分かりにくい感じがします。県道169号川渡停車場線だけは県道では無くなり大崎市の管理する市道になるのでしょう。
これを要件の何番目かなんて些末なお役所仕事のために県議に給料払うのか!と毒づくのか血税で整備される以上厳格に審査されて然るべきと思うのかは自由です。


議事録に戻りましょう。道路課長の説明に対して議員さんからは主に道路整備に関しての質問がされました。
歩道が整備されているとか街路灯が完備されているとかが県道の基準では無いのです。どうやら県議の側はその県道を抱える市町村にのしかかる負担という観点から質問をされているのではないかという疑問を持ちました。個人の感想です。
道路課長の答弁

 市町村からも県道の認定、県道昇格につきまして御要望を頂戴しておりますし、まちづくり、あるいは三陸道自動車道が延伸して新たにインターチェンジができて交通の流れが変わってくる中で、県道に認定すべきものも出てくるだろうと思っております。今は、交通状況の推移を見きわめているところでございますが、県道につきましては、広域交通を担うという意味でしっかりと整備し、管理していく必要があるだろうと認識してございます。

では不足だと思ったんじゃないかと妄想するところです。
土木部長の答弁

 新たに県道、あるいは都市計画道路を整備していく中で、旧県道を市町村にお願いする場面も多々ございます。これについてはしっかり整備をし、その後の維持管理に手がかからないように、現場に市町村にも立ち会っていただきながら綿密にやっているところでございます。
 なお、県道から市道への無理な降格がないように、しっかりと県道の維持管理及び整備を進めながら円滑に移管してまいりたいと思います。

を引き出し、「パーフェクト」と賛辞を送ってこの議案に対する質疑は終了しました。
どの路線を県道にすべき、すべきではないという議論は無かったようです。
本会議の一般質問で質問者(県議)の地元県道について質問する例は結構あるようです。例えば令和元年9月の本会議の一般質問でウチの地元の先生が、県道39号仙台岩沼線の起点である仙台市太白区中田から名取市高舘までの経路が何であの経路なのか、という疑問を述べています。市境付近は他の部分と比べてかなり交通量が少ないのです。私も以前から抱いている疑問で、えっ、東街道(あずまかいどう)の高舘小学校から北の部分って県道じゃなくて市道(三日町熊野堂線)だったの、なんで? と思っていました。県議ほどの方でも私なんかと同じ疑問を持っていたりするんですね。東街道=仙台岩沼線でもいいぐらいだと思いますが、現在名取市で建設中の市道熊野堂柳生線ができると将来的に経路が変更になるかもしれません。
三陸自動車道気仙沼湾に橋が掛かればほぼ全通となりますが、インターチェンジへのアクセス道路で県道になったのは最近では県道296号石巻女川インター線ぐらいでしょうか。この路線が路線認定されたときに拙blogで、どうして県道272号の次にできる道路なのに273号でなく296号なんだろう、と書いたことがあってコメント欄に、273じゃTSUNAMIで語呂に問題があるでしょ、という旨のコメントをいただきギャフンとなってしまった黒歴史があります。この路線は震災後津波対策でできた路線なのです。県道251号石巻港インター線・265号河南石巻港インター線というのもありますが、単純に最寄りの国道からインターチェンジへのアクセス道路が県道になった例は県全体でも296号石巻女川インター線と269号亘理インター線ぐらいじゃないのかな。
この議事録の後半でみやぎ県北高速幹線道路Ⅳ期(築館工区)の話題が出てきます。これは栗原の東北自動車道登米三陸自動車道をつなぐ地域高規格道路ですが、これは県道36号築館登米線の別線という扱いのはずです。
県北は市町村合併が済んだので三陸自動車道が全通しみやぎ県北高速幹線道路が完成する頃に再び県道の見直しがあるかもしれません。県南は合併もせず新規の開発もたぶん無いのでこれで落ち着くかも。あとは仙台市内なのですが、今回の議案に仙台市は絡んでいません。仙台市政令指定都市なので仙台市内の県道すべてと国道286号、457号は仙台市が管理しています。仙台市内の県道を再編することがあれば道路法第7条の規定に基づいて県は仙台市と話し合わなければなりません。

法律あれこれ

都道府県道の意義及びその路線の認定(道路法第七条より)

道路法第7条第1項に県道と認定されるための6つの要件が列記されています。コピペしたものには第1項という文字はありませんが、第七条という単語の直後に書いてある文章が第1項です。第三条第三号というのは都道府県道という単語が初めて登場する条文でして、都道府県道という用語の定義はというぐらいの意味合いです。次の行に漢数字の一と書いてあるのは第1項ではなく第1号になります。

第七条 第三条第三号の都道府県道とは、地方的な幹線道路網を構成し、かつ、次の各号のいずれかに該当する道路で、都道府県知事が当該都道府県の区域内に存する部分につき、その路線を認定したものをいう。
一 市又は人口五千以上の町(以下これらを「主要地」という。)とこれらと密接な関係にある主要地、港湾法第二条第二項に規定する国際戦略港湾、国際拠点港湾、重要港湾若しくは地方港湾、漁港漁場整備法(昭和二十五年法律第百三十七号)第五条に規定する第二種漁港若しくは第三種漁港若しくは飛行場(以下これらを「主要港」という。)、鉄道若しくは軌道の主要な停車場若しくは停留場(以下これらを「主要停車場」という。)又は主要な観光地とを連絡する道路
二 主要港とこれと密接な関係にある主要停車場又は主要な観光地とを連絡する道路
三 主要停車場とこれと密接な関係にある主要な観光地とを連絡する道路
四 二以上の市町村を経由する幹線で、これらの市町村とその沿線地方に密接な関係がある主要地、主要港又は主要停車場とを連絡する道路
五 主要地、主要港、主要停車場又は主要な観光地とこれらと密接な関係にある高速自動車国道、国道又は前各号のいずれかに該当する都道府県道とを連絡する道路
六 前各号に掲げるもののほか、地方開発のため特に必要な道路

2 都道府県知事が前項の規定により路線を認定しようとする場合においては、あらかじめ当該都道府県の議会の議決を経なければならない。

(※3から8は省略します。政令指定都市や他の都道府県にまたがる道路について相手との相談、それが上手くいかなかったときに国土交通大臣の出番に関する規定です。)

地方開発路線の要件(『都道府県道の路線認定の基準について』より)

道路法に定められた基準より細かい基準があります。『都道府県道の路線認定基準等について』(平成6年6月30日道路局長通達)というものなのですが、なぜか検索に掛けてもこの基準が見つからず、国土交通省のサイトにはひとつ前の古い基準『都道府県道の路線認定基準について』(昭和46年10月15日道路局長通達)が載っています。
港や飛行場に関しては法律の名前が変化したりはしていますが基本的に当時と定義は同じです。一方、主要停車場や主要観光地の定義は乗降客数や貨物取扱量、観光客数などの数値で示されているのですが、これらは現行の基準では削除されているようです。ほかにも国道や県道の構成するネットワークすなわち幹線道路網の網の目の間隔が何キロメートルかということと人口密度との関係性が細かく規定されていたり費用便益比率に関する規定もあるのですが、これらも現行の基準では削除されているようです。古い基準と現行の基準との関係については一般財団法人道路新産業開発機構(HIDO)のサイトにある「道路行政セミナー」という本の1994年8月号、10月号に載っているそうで、pdfファイルとして読むことができます。地方開発路線なのだから費用便益比率が1を超えるかどうかを考えるのはどうなんだということで削除されたようです。1を超えなかったらダメ絶対って言われたら、開発なんて取り組めないでしょうから地方に新しい道路は作られず過疎化が進むだけってことにもなりかねません。
古いほうの基準ではありますが、道路法第7条第1項に書いてある6番目の要件『地方開発のため特に必要な道路』の説明になりそうな「第3 地方開発路線の要件」の部分をコピペ。

第3 地方開発路線の要件

1 地方開発のため特に必要な道路とは、次に掲げる要件を具備したものとする。

(1) 路線の認定の結果構成される網の間隔が第一の三に基づいて適正と認められるものであること。
(2) 当該道路の存する地域における資源の開発、産業の振興、観光開発等の具体的な振興開発計画が樹立され、又は住宅計画若しくは工業団地計画等具体的な土地利用計画が樹立されている場合において、当該計画の推進上必要とされる地点とこれと密接な関係にある主要地、主要港若しくは主要停車場又は高速自動車国道、国道若しくは道路法第五六条に規定する主要な都道府県道とを連絡する路線であって、当該計画を推進するために特に必要と認められるものであること。
(3) 路線の実延長は原則として四キロメートル以上のものであること。
(4) 道路の新設又は改築によって受ける年間便益が年間に使用される費用より大きいものであること。すなわち別表二により求めた費用便益比率が一より大きいものであること。

ちょっと中断。
1(1)、(3)、(4)の要件は現行の基準では削除されているようです。ということは(2)しかないことになります。先に挙げた「道路行政セミナー」に書いてある新旧基準の比較表からするとたぶんこんな感じの内容になっていると思われます。

1 地方開発のため特に必要な道路とは、次のものをいう。

 当該道路の存する地域における資源の開発、産業の振興、観光開発、研究学園都市開発等の振興開発計画が樹立され、又は住宅計画、工業団地計画若しくは流通業務施設整備計画等の土地利用計画が樹立されている場合並びに地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律第二条第二項に定める拠点地区に係る基本計画が作成されている場合において、当該計画の推進上必要とされる地点とこれと密接な関係にある主要地、主要港若しくは主要停車場又は高速自動車国道一般国道若しくは都道府県道とを連絡する路線であって、当該計画を推進するために特に必要と認められるものであること。

要するに何らかの計画がきちんとできている場所につながる道路ってことなのでしょう。
大それた計画が無い場合のために要件はもうひとつあります。

2 次に掲げる道路については、1にかかわらず、地方開発のため特に必要な道路とすることができる。

(1) 人口五万以上の市の区域及びその周辺の地域において、既存の都道府県道以上の路線と有機的に連けいして環状(半環状を含む。)を形成する道路のうち特に必要なもの。
(2) 離島又は半島に存する道路のうち特に必要なもの。

注 「半島」とは、海中に突出した周囲が殆んど海に囲まれている地域で、背後地とその勢力圏が区別されているものをいう。

(3) 豪雪地帯対策特別措置法第二条第二項の規定に基づき指定された特別豪雪地帯に存する道路のうち、積雪期における道路交通の確保が特に必要な幹線的な道路であって、次に掲げる要件を具備しているもの。

ア 自動車の日交通量が三〇〇台以上の道路又はバス路線であること。
イ 戸数五〇戸以上の集落とこれと密接な関係にある
国道又は積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法第三条の規定に基づき指定された都府県道とを連絡する道路であること。

(4) 戸数二〇〇戸ないし五〇〇戸程度の集落の中心部と当該集落の日常の生活圏域として密接な関係のある市町村の中心部とを連絡する道路で、当該生活圏域の総合的かつ計画的な整備を促進するため特に必要なもの。

先に述べた道路課長の答弁の中で出てくる県道石巻鮎川線の認定要件『6号第3-2(2)』というのはここで2(2)に書いてある『離島又は半島に存する道路のうち特に必要なもの』を指している、ということになります。
2(3)、(4)の要件は具体的な数字の部分が削除されているようです((4)の集落は『相当規模の主要な集落』と読み替えているようです)。
新しく加えられた要件もあります。

(追加)
(5) 山村振興法第七条第一項の規定に基づき指定された振興山村又は過疎地域活性化特別措置法第二条第一項に定める過疎地域に存する道路のうち地域の振興又は活性化のため特に必要な幹線的なもの。
(6) 地形的制約により地域間の交流が妨げられている二以上の市町村をひとつの生活圏域として密接に結びつける道路で、当該生活圏域の総合的かつ計画的な整備を促進するため特に必要な幹線的なもの。
(7) 高速自動車国道等のインターチェンジと当該インターチェンジと密接な関係のある一般国道又は都道府県道とを連絡する道路で、当該地域の開発を促進するため特に必要なもの。
(8) 一般国道の改良工事により旧道となる区間の道路のうち、道路交通の確保上特に必要な幹線的なもの。

この基準はこのあと『第4 路線の連絡方法の標準』というところで主要地と主要地、主要港、主要道路がどんなふうにつながればよいかを具体的に図示してあるのですが、現行の基準ではこれらの図はバッサリ削除され文章のみで表しているようです。
『第5 路線の起終点のとり方』『第6 路線名のつけ方』も基準があって個人的に興味深いところなのですが、今回の県議会での答弁から推測するにアバウトでも構わない感じのようです。

路線認定、区域決定及び供用開始等の取扱について

昭和29年11月17日に出された通達が今も生きています。13項目あるのですが、路線の認定と廃止について直接関係ありそうなところだけをコピペしておきます。個人的には路線の区域変更とかどうして宮城県公報にこんなことが載っているのだろうという理由がわかって勉強になりました。

1 路線の変更と区域の変更について

道路の付け替え等により道路の位置を変更することによって、法第五条第二項若しくは第六条第二項の規定に基いて指定された路線、又は法第九条の規定に基いて公示された路線の起点、終点又は重要な経過地について変更しなければならない場合は路線の変更(又は路線の認定、廃止―「2」参照)として取り扱い、その他の場合は区域の変更として取り扱うべきである。但し、区域を変更した場合でも、路線認定の関係図面に変更を生ずる場合は、必要な訂正を行うこと。
 (後略)

2 路線の変更と路線の認定、廃止について

本第一〇条第二項の規定によって、路線の変更の手続によることができるのは、旧路線の代替的性格をもつ路線を認定する場合に限るのであるから、次の(1)(2)のような場合は、概ね路線の変更の手続によることはできず、旧路線の廃止及び新路線の認定の二重の手続を要するものと解せられたい。但し、都道府県道については法第七条第一項第四号乃至第六号に該当する路線市町村道については右に準ずるような路線で、起終点の何れか又は双方ともに当該路線を認定した目的からみて重要な要素ではない路線の場合は、その起点又は終点の変更は当該路線認定の根本目的を変えるものではないから路線の変更の手続をもって足りる。例えば主要地Aと、これと密接な関係にある一級国道とを連絡するために当該一級国道上のB地を選んで県道AB線を認定していた場合に、終点Bを変更して同じ一級国道上の別の地点Cにする(県道AC線とする)ことは路線の変更の手続でよいわけである。
(1) 起点若しくは終点又はそのいずれもが変更する場合
(2) 二以上の路線を合して一の路線とする場合又は一の路線を分割して二以上の路線とする場合

3 路線の一部の認定、変更又は廃止について

路線の認定は、道路の目的性格を考慮して、これを道路法上の道路とするための行為であるから、道路の目的性格が異なれば、路線もまた異なるわけであって、原則としては路線は一体不可分のもので、道路を延長し、変更し又はその一部を廃止する等により路線の一部に変更を加えることは、その路線を廃止して別個の路線を考えることに外ならない。従って、路線の一部を認定、変更又は廃止することは、左に掲げる例外を除き原則としてできず、旧路線の廃止及び新路線の認定の二重の手続によらなければならない。
(1) 法第一〇条第二項の規定による路線の一部変更(「2」参照)。なお本項は、路線の一部廃止と一部認定が同時に行われ、しかも代替的なものである特殊な場合についてのみ規定されたものであって、路線の一部認定と一部廃止を一般的に認める趣旨と解することはできない。
(2) 路線認定の根本目的を変更しない範囲内において路線の一部を廃止し、又は変更する場合。例えば法第七条第一項第四号乃至第六号に該当する路線(「2」但書参照)等の場合である。
(3) 二以上の都道府県の区域にわたる都道府県道の路線の認定、変更又は廃止に際し、都道府県知事がその統轄する都道府県の区域内の路線の部分を認定、変更又は廃止する場合(「4」参照)。但し、この場合の路線の一部認定、変更又は廃止の効力については「4」記述の通りであるから注意されたい。

4 二以上の都道府県の区域にわたる都道府県道の路線の認定、変更又は廃止について

路線認定の意義にかんがみ、道路が一本ならば路線もまた一本であって、二以上の都道府県の区域にわたる都道府県道の路線を認定する際、各都道府県知事がその統轄する都道府県の区域内の部分について認定した路線は、別々の路線と考えることはできず、知事は一つの路線の一部(各県内の部分)を認定するものと解すべきである。この場合、路線認定の公示に当っては、起点、終点及び重要な経過地のうちその都道府県の区域内に存するもののみを記載することとし、(従って起点又は終点欄或はその両欄とも空白となることがある。)別に備考欄を設けて、当該路線(全体)の起点、終点及び重要な経過地をすべて記載することとされたい。
この場合注意すべきは、このような路線の一部認定は、路線認定のための必要な行為の一部に過ぎず、直ちに路線認定の効力を生じないことである。例えば、AB両県にわたる道路については、A県知事がA県の区域内について道路の部分を認定しても、その部分の道路が都道府県道となることはできず、B県においても路線の部分の認定があって、はじめて路線が認定されたことになり、都道府県道が成立し得るわけである。従って、二以上の都道府県にわたる都道府県道の路線認定に当っては、関係知事において打合せの上、認定期日を一致させるよう措置すべきである。
以上路線の認定について述べたことは、路線の変更又は廃止の場合にも同様であるが(法第一〇条第三項)、路線の一部の変更又は廃止(「3」参照)で、その変更又は廃止が一都道府県の区域内にとどまる場合までも法第七条第四項の規定による手続に準じて協議しなければならないと解する必要はなく、この場合は単独で路線の一部の変更又は廃止を行った上(路線の変更又は廃止の効力はこの時に生ずる。)、遅滞なくその旨を当該路線の関係府県に通知するものとし、通知を受けた都道府県知事は、路線認定の公示中、前述の備考欄記載事項を速やかに変更(訂正)することとされたい。

※『法第○条』と書いてあるのは道路法の条文のことです。たとえば法第一〇条と言われたら道路法第10条のことで、路線の廃止又は変更に関する規定が書かれています。