半年に一度の定例行事です。 自分なりにできる限り調べてはいますが誤りがあったり抜けているものがあったりしているかも知れません。
補助金交付決定
総務省のサイトの「予算執行の情報」というページで「補助金等交付決定」というEXCELファイルをダウンロードして「民放ラジオ難聴解消支援事業」という事業を探しています。ファイルの締めの時期の問題で令和5年度第4四半期と令和6年度第1四半期、つまり令和6年1月から6月の分は読めるのですが令和6年度第2四半期(今年7月から9月)のファイルはまだ読めません。
今期は九州総合通信局から6月と9月にプレスリリースが出ていました。
- 2024年9月6日
コミュニティ放送の難聴解消を支援 -熊本県天草市に民放ラジオ難聴解消支援事業の補助金交付を決定-
熊本県天草市に対して『天草ケーブルネットワークの受信障害対策中継局を整備しラジオ難聴解消を実施』ということで補助割合は3分の2。
天草ケーブルネットワークが運営するみつばちラジオは2017年の開局時に親局と中継局6局を設置、その後2020年までに中継局1局の増力と中継局6局の設置で親局と中継局12局というかなり中継局の多いコミュニティFM局となっています。2020年に開局した4局分の補助金は2019年に天草市に対して出ているのですが、その時と比べて今回の規模は約2.6倍。物価がそれだけ上がったのか、中継局をいくつも建てるのか。
ググってみたら「第4次 天草市地域情報化計画(案)」という令和4年11月に作成されたらしいpdfファイルが出てきて、それには天草市コミュニティエフエム管理事業の章があり難聴地域解消への取り組みという項目があります。それによると主な難聴地域として『天草町福連木、宮地岳町、河浦町今田板之河内、五和町城河原』が列記されていて、令和5年度に難聴解消のための調査設計、令和6年度から7年度に調査設計に基づき難聴対策工事とあります。もし4局設置されれば中継局数はコミュニティFMとしては全国最多となります。
また、今回は受信障害対策中継局と明記されているので開局するときの免許人は天草ケーブルネットワークではなく天草市になるものと思われます。
- 2024年6月21日
AMラジオ放送の難聴解消を支援 -株式会社大分放送に民放ラジオ難聴解消支援事業の補助金交付を決定-
大分放送に『AMラジオ放送親局のFM補完中継局を整備し難聴解消を実施』ということで補助割合は3分の2。
というのだけど、親局のFM補完中継局って2016年6月に放送を開始しているはずなのです。そして2023年6月にも『AMラジオ放送親局のFM補完中継局を整備し難聴解消を実施』ということで今回の倍近い規模で補助割合2分の1で補助金が降りています。字面通りに読めば大分放送はAMラジオ親局のFM補完中継局を3回にわたって整備することになります。そんなことってあります? 後述しますが2024年8月にFM補完中継局が開局していますので、もしかすると大分放送はひとつのAMラジオ親局を補完するのにFM中継局が3局必要であるということなのかもしれません。FM大分やNHK大分よりもきめ細かい置局となるのでしょうか。
9月までだとこれだけなのですが、私の遅筆のせいで10月になって東北総合通信局からプレスリリースが出ました。来春まで寝かせておくわけにもいかないのでここに載せます。
- 2024年10月17日
「令和6年度無線システム普及支援事業費等補助金(民放ラジオ難聴解消支援事業)(第3次)」の交付決定
『総務省は、昨日、』という書き出しで始まるので10月16日付なのでしょう。2件あって、
・株式会社アイビーシー岩手放送:野田補完中継局(九戸郡野田村内)の整備 補助割合は3分の2
・山形放送株式会社:鶴岡補完中継局(鶴岡市内)の整備 補助割合は2分の1
岩手放送は田野畑FM中継局を設置して田野畑AM中継局を休止中ですが、久慈AM中継局と田野畑FM中継局の狭間になる野田村はどうなるのだろうと気になっていました。FM中継局を建てるのですね。ちなみにエフエム岩手は野田中継局を持っています。震災直後に久慈市と野田村向けの独自編成の実験をやったりしたことがありました。
山形放送は親局以外では初めての補完中継局になります。事業費は岩手放送野田局の2倍ほど。ちなみにエフエム山形も鶴岡に中継局を持っています。出力250Wと普通の中継局より高めです。
予備免許付与
本免許が下りる前には予備免許が降ります。地方によっては予備免許が出ていることが各地方の総合通信局より発表されます。今回は既に開局しているものばかりですが、タイトルを列挙します。
- 2024年2月21日
- 2024年3月7日
栗山町のコミュニティ放送局に予備免許
- 2024年3月27日
株式会社登米コミュニティエフエムのコミュニティ放送中継局に予備免許- 宮城県南三陸町でエリア拡大 -
これら3件は今春の時に紹介済みです。
- 2024年5月23日
- 2024年6月24日
静岡県焼津市のコミュニティ放送局に予備免許<10年ぶり、静岡県内で13事業者目のコミュニティ放送局>
- 2024年6月24日
愛知県名古屋市中区のコミュニティ放送局に予備免許<10年ぶり、東海管内で31事業者目のコミュニティ放送局>
- 2024年7月4日
本免許付与
放送局が開局するときには免許付与のプレスリリースが各地方の総合通信局から出るものなのですが、近頃は予備免許の時しか出さなかったりして、この半年で本免許のプレスリリースは2件しかありません。実際に開局している局はもっとあります。
- 2024年4月23日
株式会社登米コミュニティエフエムのコミュニティ放送中継局に免許 - 宮城県南三陸町へエリア拡大 -
- 2024年9月18日
開局済みの局
総務省電波利用ホームページにある無線局等情報検索でここ最近の免許付与について検索してみますと、免許の年月日が2024年4月1日以降であるFM放送局は13件ヒットしました。
放送局 | 中継局*1 | 設置場所 | 周波数(MHz) | 出力(W) | 免許付与日 | 開局日 |
---|---|---|---|---|---|---|
株式会社登米コミュニティエフエム H@!FM(はっとエフエム) |
南三陸 | 宮城県本吉郡南三陸町 | 76.7 | 20 | 令6.4.19 | 令和6年4月21日 |
足利コミュニティFM株式会社 FM DAMONO(エフエムだもの) |
JOZZ3DD-FM あしかがエフエム |
栃木県足利市 | 88.3 | 20 | 令6.5.7 | 令和6年5月26日 |
株式会社ラジオふらの | 東山 | 北海道富良野市 | 77.1 | 1 | 令6.5.17 | ? |
株式会社エフエムくりやま | JOZZ1BF-FM エフエムくりやま |
北海道夕張郡栗山町 | 78.8 | 20 | 令6.6.14 | 令和6年7月8日 |
つくみ港まつり実行委員会 うみかぜラヂオ |
JOYZ0AR-FM | 大分県津久見市 | 77.1 | 2 | 令6.7.1 | 令和6年7月14日 |
株式会社大分放送 | 十文字原 | 大分県別府市 | 93.3 | 100 | 令6.7.16 | 令和6年8月8日 |
伊那ケーブルテレビジョン株式会社 伊那谷FM |
JOZZ4AV-FM いなエフエム |
長野県伊那市 | 86.7 | 20 | 令6.7.19 | 令和6年8月1日 |
株式会社Heart FM | JOZZ6BH-FM ハートエフエム |
愛知県名古屋市中区 | 86.4 | 20 | 令6.8.1 | 令和6年8月10日 |
株式会社FM812Yaizu RADIO LUSH |
JOZZ6BI-FM やいづエフエム |
静岡県焼津市 | 80.7 | 20 | 令6.8.9 | 令和6年8月12日 |
株式会社エフエム雪国 | 五十沢 | 新潟県南魚沼市 | 76.2 | 5 | 令6.8.28 | ? |
三原市 FMみはら |
三原市中之町01SFM | 広島県三原市 | 87.4 | 0.25(0.41) | 令6.9.18 | 令和6年12月下旬 |
↑ | 三原市中之町02SFM | 広島県三原市 | 87.4 | 0.25(0.39) | ↑ | ↑ |
↑ | 三原市中之町03SFM | 広島県三原市 | 87.4 | 0.25(0.74) | ↑ | ↑ |
株式会社FM大師 | JOZZ3DE-FM エフエムだいし |
神奈川県川崎市川崎区 | 94.9 | 20 | 令6.9.24 | 令和6年9月30日 |
あっ、ひとつ多かったですね。つくみ港まつりのイベント放送局はその時期だけの時限的な免許なので今はもう電波は出ていないはずです。
いちおう参考にしたURLを列記。参考にした時点のものなので今でも読めるかどうかは未確認です。
・登米(南三陸):https://kahoku.news/articles/20240419khn000075.html
・足利:https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/901583
・富良野(東山):https://www.city.furano.hokkaido.jp/life/docs/648086.html 、http://web.archive.org/web/20240426094213/https://www.city.furano.hokkaido.jp/life/docs/599695.html
・栗山:https://fm-kuriyama.com/news/1155/
・津久見:https://www.city.tsukumi.oita.jp/site/kanko2/7121.html
・大分(十文字原):https://www.facebook.com/groups/634673633243446/posts/8544383505605713/
・伊那:https://ina-dani.net/topics/detail/?id=64982
・名古屋heart:https://jouhou.nagoya/heartfm-2nd-open/
・焼津:https://news.yahoo.co.jp/articles/268de294a58367d12798e6185065ebe027c305c1
・雪国(五十沢):https://fmdx.blog.fc2.com/blog-entry-2936.html
・三原:https://www.soumu.go.jp/soutsu/chugoku/hodo_2024/01sotsu08_01001675.html
・大師(川崎):https://www.townnews.co.jp/0206/2024/09/27/752774.html
三原だけ総合通信局のプレスリリースですが、これよりも「でんぱでーた」の掲示板に載っていた三原市で出している工事仕様書のpdfのURLのほうが有用かもしれません。
FM雪国の中継局が何処だかわからなくて諦めていたら、FM放送の受信に詳しい「VHF-DX blog ~海外FMを聞く~」に「市報みなみ魚沼 2024.10」へのリンクが貼ってあって知ることができました。
開局と同時に局のサイトで公表してくれるのが望ましいと個人的には思うのですが、そうでない場合は該当する町のサイト、市政広報のpdf、議会議事録、入札情報のページをあたることになります。なかなか見つけるのが面倒で、自力で見つけられずこの手の情報を取り扱っているブログやサイトの力を借りることもたびたびです。X(旧・Twitter)などSNSにしか情報が無いと私には難しくなります。以上、言い訳。
場所が分かったうえでgoogleマップを見てみると、五十沢(いかざわ)地区と主送信所がある新潟県十日町市の間には坂戸山(634m)があるので、山影になって電波が入りづらいのかもしれません。
川崎市のFM大師は周波数が現状使える最も高い周波数、94.9MHzであることが珍しいという話を小耳に挟みました。そう言われれば90.0より大きな周波数ってAMラジオ局のFM補完放送にしか使われていませんでした。コミュニティFMが使用するのは初めてになります。
閉局
最後に、9月30日でNHKラジオ第一の佐久間中継局が廃局になったことを紹介します。
廃止直前と直後に出た中日新聞のwebの記事(会員登録しないと読めません)より
・発電所内 ラジオ局終了へ NHK、あすまで 天竜・佐久間 送電線放送 国内3例 :中日新聞しずおかWeb
・「佐久間ラジオ中継放送局」が終了、開設から60年 国内3例の送電線放送:中日新聞Web
浜松市天竜区佐久間町(建設時は磐田郡佐久間村)にある佐久間ダム・電源開発(J-POWER)佐久間発電所は日本でも最大級のダムであり水力発電所で、そこから延びる高圧送電線は高電圧がゆえにコロナ放電というものを起こしコロナ雑音という電波障害を生じさせていたのだそうです。そこで取られた対策が、ラジオ放送機を送電線に接続し、送電線をアンテナ代わりにして電波を発射する「送電線放送」というものでした。この送電線は東京都町田市の電源開発西東京変電所までつながっているため東京でも佐久間中継局の放送が受信できるという話もあったようです。しかし、送電線の建て替えにより電気的雑音の解消が見込めることなどから佐久間中継局を廃止しても他の放送局を受信可能であるということになりました。佐久間町には東京電力の50Hzの電力と中部電力の60Hzの電力をやり取りする周波数変換設備があり、その設備増強に付随して送電線を建て替えることになったようです。
総務省電波利用ホームページの無線局等情報検索では10月の初めにさっさと削除されました。1964年1月に開局したそうなので60年間の歴史を閉じたことになります。
これにより、現存する送電線放送による中継局は岐阜県郡上市の白鳥(しろとり、関西電力大島保線所)と新潟県中魚沼郡津南町の津南(つなん、東京電力信濃川発電所)の2カ所となります。佐久間、白鳥はラジオ第一のみ、津南はラジオ第一、第二の電波が出ています。