壮大なドラマを考えてみた

茶畑高校を卒業し東京の大学に進学して半年。ふと深夜にラジオをつけると素人の女子大生がDJを務めるリクエスト番組をやっていた。
学生生活を終え仙台に戻るタイミングで心の友だったその番組も終わってしまった。
親が営む会社に入り社会人として成長し、親の会社は兄が継ぎ自分は子会社を継いだ。
震災を乗り越え老朽化した社屋の建て直し計画に着手したある日、ふと取引先の業務内容を見ると、若き日に心の友だった番組が復活していたことを知った。
ただ、放送時間が自局のメインコンテンツ、デーゲーム中継と重なっている。重なってなければうちの局にもネット出来るのに。
あきらめていたら、放送時間が変わることになった。この時間帯ならデーゲーム中継があっても前半の1時間だけでもネット出来るではないか。
幸い先方の会長とは総務省の放送ネットワーク強靭化の検討会でご一緒して顔見知りだ。話は早い。
かくして青春の思い出の番組を自社で毎週聴けるようになった。
と思っていたら、先方の都合で放送時間が減ることになったしまった。
それは残念だ。せめてうちの局だけでも同じ時間放送をできないものか。
掛け合った結果12時台は東京と仙台(と長野)でこれまでどおり、13時台は仙台だけのために東京から放送してくださる番組になった。
自分が若き日に聴いていた番組を40年かけて自社番組にしてしまった激レアさん、あっTBS系列だからイキスギさんのほうがいいか、というハートフルストーリーなのかお仕事ドラマなのか分からんが大河ドラマを自社制作で作ってみるのはどうだろう。


これくらいの妄想を書いても名誉棄損にならないよね。
ふと東北放送株式会社の社長のWikipediaを眺めていたら、彼の学生生活(1981.4-1985.3)と「ミスDJリクエストパレード」の放送期間(1981.10-1985.3)が見事に一致することに気付いてしまったのです。中央大学理工学部って三浦菜摘さんの直の大先輩なのね。
直後に似たような趣旨の自社制作のリクエスト番組があるにもかかわらず敢えて関東ローカルの「ミスDJリクエストパレード」をネットするというのは、局内によっぽどこの番組をネットしたいという熱意を持った人がいないとあり得ない。それはその当時に実際に番組を聴いていた世代に違いないから少なくとも私より年上、するとたぶん権力を持っている立場のひとのはず。そう思っていました。それが社長であればすんなり納得できます。
週刊文春」に掲載された記事を見ましたが、局OGで今や人気アナウンサーの袴田彩会さんと局を巣立ったばかりの三浦菜摘さんの顔写真が出ていて、ついでにアナウンサーの中途採用の告知まで載せてある。半年に6人もの局アナが逃げ出す地方局の三代目*1社長について書いているように見せて実は、短期間で多種多様の業務を大量に経験でき、それをこなせるようになった暁にはフリーアナウンサーとしての成功が約束されているというパブリシティ記事だったのではないか、と深読みしてしまいたくなります。

一瞬話が変わりますが、先週の「ENEOSプレゼンツ あさナビ」のゲストは内多勝康さんでした。
内多さんといえばNHKで全国ネットの番組やニュースをいくつか担当していたので普通のNHKアナウンサーよりは名前も顔も知られた方だと思います。そんな内多さんが仙台に異動になってしばらくしたら仙台局のアナウンサーページから名前が消えていました。どうしたんだろうと調べてみても分からずにいたら、しばらくして思いもよらぬところに転職していたことを知り驚くのでした。
「もみじの家」の内多勝康さんに聞く医療的ケア児のための短期入所施設の現状 | あさナビ | ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93
阪神大震災の時に大阪勤務だったことで誰かの役に立ちたいという気持ちが強かったり、たまたま自閉症の方を取材したことがきっかけで福祉関係の情報に触れる機会が増え、なんとなく福祉の資格を取ったりなんかして、様々な前段があったうえで「もみじの家」という施設が立ち上がるんですという話が入ってきて転職を決意したのでした。
決して仙台に転勤になって嫌な思いをして退職に追い込まれたわけでは無かったことが分かってよかったです。

ブラタモリ」を担当したことがきっかけでNHKを退局し三井不動産に転職した近江友里恵さんの例もあります(毎日新聞のサイトの記事のリンクを貼ろうと思ったのですが有料記事なのでやめました、興味のある人は各自で調べてみてください)。アナウンサーをしているうちに追いかけるべき新しい夢ができたのであればアナウンサーを辞めて新しい道に進んだほうがその人にとって幸せなのだと思います。
最近思うんです、アナウンサーってもはや一生の仕事ではなく、なりたい自分を見つけるためのステップなんじゃないかって。なんちゃら48とか46にまずは入ってそこから女優だったりタレントだったりを目指してやがて卒業していくような感じで。
そうしたら日刊ゲンダイのサイトに同じような意見のコラムを見つけてしまいました。
TBS国山ハセンも異業種へ転職…もう局アナなんて「一生の仕事」じゃないのか?|日刊ゲンダイDIGITAL
NEWS23」での国山ハセンアナの退社報告は偶然生で見ました。これからメインキャスターを目指す人だと思っていたので意外でした。余談ですがTBSテレビについて、今年7月に高野貴裕アナや斎藤哲也アナが他部署に異動、水野真裕美アナが人事労政局の人材開発部と兼務、岡村仁美アナが記者兼任から記者専任に、小川知子アナがアナウンスセンターの管理職の業務に専念するために番組出演を休止(駒田健吾アナも同じ理由で10月から番組出演を休止)ということになっています。フジテレビもいろいろあったようですが割愛します。
アナウンサーである前に会社員なので異動によりアナウンサーでなくなる可能性は常にあるわけで、アナウンサーとして先が知れているのなら転職を考えようとなるのは道理なんだと思います。
パワハラやセクハラでアナウンサーが続けられなくなるのであれば許せないことでありパワハラやセクハラの原因を根絶しなければなりませんが、そうではなくアナウンサーを辞めて別の道に進みたいというのであれば、もう会えなくて残念だと思いつつ新しい道で頑張ってねと送り出してあげることしかできないのだと思います。

*1:彼が第三代の社長という意味でなく(彼の前の社長はオーナー家の人間ではない)祖父の代から三代にわたってオーナー家が会社を治めているという意味です