ともに、これからも

わ・す・れ・・・ - みむめもーどの続き、3月11日に録画、録音した3つの番組の感想のようなものです。
ひとつめは『バスで!列車で!篠山輝信×震災11年の東北旅』(BSプレミアム22:00-23:00)。そもそもは総合テレビ『あさイチ』の企画だったんだと思うのだけど、当時取材で出会った人たちの生存確認のためにと言ったら失礼に当たるだろうか、毎年この時期三陸海岸を公共交通機関で旅しているのです。私が見るようになったのはここ数年のことなのでそもそもの出会いは良く知らないのだけど、たぶん篠山さんはテレビカメラが無くなったとしても個人的に周り続けるのだろうなと思えるくらい深くお付き合いされていることが伝わってきます。
東北6県向けに『 東北限定!すべて見せます アッキーがめぐる復興の地2022』(総合テレビ3月12日11:00-11:54)という番組も予定されていたので12日の朝に2番組連続で見ました。BSで放送された分のダイジェストにBSでは放送されなかった分が入っている内容で、『あさイチ』3月10日放送分の概要から想像するにBSで放送されなかった分はこの『あさイチ』の分だったのかな。BSの分はナレーションが女優の富田望生さんだったのが、東北6県向けの分は安部みちこアナでした。安部さんって東京勤務だよね。仙台局には人材がいないのか?どうでもいいことが気になりました。

ふたつめは『ともに』SP(仙台放送14:45-15:45)。フジテレビの『わ・す・れ・な・い』を差し替えて放送されたことは前回書いた通りです。『ともに』は2011年4月から月イチで放送されている、復興に立ち上がる人を取り上げる報道番組です。レギュラー放送は3月12日13:50-14:20に放送が予定されていたわけですが、それとは別に特番として放送というので何があるのだろうと思いました。
14:45-14:48は石巻市の復興祈念公園から堤勇高アナが生中継、14:46には石巻閖上、大川小学校で黙とうする人々の姿が流れました(今年から宮城県では県としての式典は行いません)。石巻からの中継が終わるとその後はこの1年間に『ともに』で取り上げたレポートのうちのいくつかの再放送でした。ただ、ひとつひとつのエピソードの前に番組キャスター・佐藤拓雄アナの前説が入ります。それぞれのエピソードの舞台となる町に行ってひとつひとつ収録してある、手間のかかったものです。
『ともに』レギュラー放送は被災3県のフジ系3局の共同制作番組『明日への羅針盤』に引き続いて放送されるということで2つとも見たのですが、今年の『明日への羅針盤』は『はるな愛が見つめる復興の道~明日への羅針盤~』と題してはるな愛ちゃんが3局のアナウンサーのナビゲートで3県を旅するという斬新な企画でした。何が斬新って、県境で次の局のアナウンサーが待ち構えていてリレーするのです。仙台放送の担当は高橋咲良アナ。陸前高田で出迎え岩手めんこいテレビのアナウンサーから引き継ぎ、気仙沼市唐桑の民宿で一泊、山元町で福島テレビのアナウンサーに引き渡しました。
『明日への羅針盤』と『ともに』を見るために真裏の東北放送『サタデーウォッチン!』(ゲストが生島ヒロシさん、前日のTBSラジオ『おはよう定食&一直線』が気仙沼からの放送だったのでした)と「ダケジャナイテイジン」もとい『ダケジャナイ仙台』(今回はこれまでのウド鈴木さんではなく東京ホテイソンが担当していたらしいです)は見ることができませんでした。
『ともに』で取り上げられるひとつひとつのエピソードについて私があれこれ言うのは失礼でしかないと思うので、ただただ見守ってきました。11年間で見逃した回が3,4回あったかな、残りの128、9回ぐらいは見ていると思います。そのエンディング。月イチでの放送は今回が最後であることが発表されました。来月からは『仙台放送Live News イット!』の中で放送することになったのだそうです。11年前の4月、第1回の放送で佐藤拓雄アナが宣言した「最後の一人が復興したと言える日まで」番組を続けるためには、東北放送東日本放送のように夕方のニュースの中で適宜特集するほうが持続的なのかもしれません。これで『ともに』が終わるわけでは無い、これからも続くのだ。あっ、今年の仙台放送のキャッチフレーズ「ともに、これからも」ってそういう意味だったのか!

みっつめはNHK仙台ローカルのラジオ番組『ゴジだっちゃ!』最終回スペシャル(ラジオ第一16:05-16:55、17:05-18:00)。
今年度は月-水は盛岡局、福島局と3局ネット、木・金は盛岡局と2局ネット(福島局はローカル番組)になり、宮城100%井戸端ラジオというサブタイトルがみちのく3県井戸端ラジオになり、コロナのせいでマスク100%になり、揚げ句の果てにはプーチンのせいで平和100%になってしまいました。
最終回スペシャルはそのほとんどが番組に各地からのレポートを入れてくださる「だっちゃ通信員」や番組がお世話になった方々と電話をつなぎ、この10年を振り返るものでした。
全国放送になる前日3月10日の放送でもパーソナリティの杉尾宗紀アナが話してたのだけど、そもそも『ゴジだっちゃ!』ができたのは何故か。震災時に身近なローカルの情報を伝えられなかったから。有事に全国放送が半ば義務付けられるNHKの宿命なのかもしれないのだけど、放送の現場にいる人たちには忸怩たる思いがあったのでしょう。その対策としてできたのが『ゴジだっちゃ!』であり、番組に定期的にローカルの情報を届けてくれる「だっちゃ通信員」の存在だったというわけです。
そういえばTBCラジオも震災後「TBCラジオレポーター」というものになってくれる人たちを公募し『Goodモーニング』とかでレポートをしてもらうコーナーを設けていた時期がありました。今は常設のコーナーは無くなったけど「TBCラジオレポーター」の制度はまだ残っているようです。NHK仙台は、今は仙台局に限らないけど、コミュニティFMと提携したりして小さい範囲の情報を集め伝えることにも力を入れるようになりました。『ゴジだっちゃ!』が全国放送になる木曜のキャスター陣のひとりである安藤歩美さんは「TOHOKU360」というニュースサイトを主宰していますが、こちらも地域住民に地域のニュースを送ってもらうという『ゴジだっちゃ!』のような考え方をしています。これは偶然だったそうですが、大きな範囲の情報と同じくらい小さい範囲の情報は大事だということなのだと私は考えます。
ところが最近NHKがやっていることと言ったら菅義偉首相(当時)をはじめとする受信料値下げ圧力というか経営合理化を求める世論に迎合するかのように北東北3県をモデルに組織の合理化を試行してみたり、宮城ローカルだった『ゴジだっちゃ!』を岩手、福島の3県ネットにしてみたり。そして『ゴジだっちゃ!』が終わることになってしまった。
たぶん3月15日だと思うのだけど、ふとNHK仙台のキャスターページを見てみたら、『ゴジだっちゃ!』メインキャスターだった杉尾宗紀アナの名前が無くなっていました。(NHKのサイトのNHKアナウンス室のページのアナウンサー検索で「す」で始まるアナウンサーを検索すると杉尾アナはヒットするし所属は仙台放送局と表示されます。) 杉尾さんは一応65歳になったので嘱託期間終了ということになるのかもしれません。4月からはたまに東京でラジオのニュースを読むことがあるとか言っていたような気がします。
3月15日付でNHK仙台放送局のホームページにおしらせのpdfがアップされました。『東北6県向け ラジオ新番組「Nandary」放送開始のお知らせ』。
「Nandary」(ナンダリー)。もちろんなんだりかんだりのなんだりーです。6県向けだそうですよ。ラジオ第一で月曜から金曜の夕方5時5分から5時55分までの放送だそうです。『ゴジだっちゃ!』3県ネット化で木曜と金曜の2時間番組になった福島局のローカル番組『こでらんに5NEXT』は4月以降も継続するみたいですが、今のままだと放送時間がかち合うけどどうするんだろう。
パーソナリティは千葉美乃梨アナ。いつの間にか2児の母になっていたのですね。仙台放送局の所属になっていますが、仙台放送局のキャスターページに名前は載っていません。(NHKのサイトのNHKアナウンス室のページのアナウンサー検索で「ち」で始まるアナウンサーを検索すると千葉アナはヒットするし所属は仙台放送局と表示されます。) 


本稿を書き上げるのに時間がかかっている間に、3月20日付の河北新報朝刊22面、読書欄(東北の本棚)に荒蝦夷の土方正志さんが書いているコラム「仙台発出版こぼれ話」で『ゴジだっちゃ!』や杉尾さんのことが取り上げられていました。土方さんは『ゴジだっちゃ!』で東北に関した本の紹介をするコーナーを持っていました。杉尾さんは番組で何度も話している通り「あの夜」NHK仙台のラジオ放送の担当でした。2015年、加藤成史アナのあとを受け『ゴジだっちゃ!』のキャスターに就いたのでした。