ちょっと東映とテレビ朝日の関係について調べていたら話が大きくなりすぎてしまいました。
ここでは東映と東映アニメーションについてあれこれ探ってみようと思います。
まずは歴史についておさらい。
Wikipediaのいろんな項からつぎはぎすると・・・
太泉映畫(1947年10月15日設立)と東横映画(1938年6月8日設立)で製作された作品配給のために設立された東京映画配給株式会社(1949年10月1日設立)が、制作会社2社を吸収合併。1951年4月1日、社名を東映株式会社と改めて再出発した。
1954年、プロ野球・東急フライヤーズの運営を東急電鉄から受託し、東映フライヤーズとした(1972年オフに日拓ホームに売却)。1956年には、日動映画(1948年1月設立)を買収し、同社を東映動画と改称。本格的なアニメーション制作にも進出した。東映動画はテレビアニメーションやテレビCMを制作してテレビ時代を見据えたものであり、輸出産業ともなる目論見だった。 映画会社の中では東映がテレビに最も積極的であり、日本教育テレビ(1959年2月開局)に資本参加し同局番組の有力な供給源となるなど、来るべきテレビ時代に先手を打った。1958年7月に東映テレビ・プロダクションを設立して、東京撮影所と京都撮影所でテレビ映画の制作を開始した。
1964年9月30日には資本面で東急電鉄から分離独立する(現在でも東急電鉄は東映の大株主ではある)。
大川博が1971年8月に逝去し、後任として東映社長に就任した岡田茂は東映京都撮影所でも行った大リストラを東映動画でも断行。機動隊が導入されるなど修羅場の二年間だったそうです。大川に日動映画買収を進言するもいろいろあって東映を離れていた今田智憲が幼馴染でもある岡田茂に呼び戻され東映動画の社長に就き、現在の東映アニメーションへと発展していくことになる。
歴史はこんな程度でいいかな。
次に、テレビ朝日が東映株追加取得を発表する前の、2018年度の東映の有価証券報告書に載っている大株主の状況より。
(2019年3月31日現在)
- 株式会社テレビ朝日ホールディングス 1,670 12.96
- 株式会社TBSテレビ 1,215 9.43
- 株式会社バンダイナムコホールディングス 1,035 8.03
- 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 682 5.30
- 東京急行電鉄株式会社 600 4.65
- 株式会社フジ・メディア・ホールディングス 572 4.44
- 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 484 3.75
- 日本テレビ放送網株式会社 480 3.72
※この後に外国の金融機関と思われる名前が2つあるのですが省略します。
※数字は順に所有株式数(千株)、発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)。
東映の2位株主がTBSであることに驚きます。TBSテレビ(東京放送ホールディングスではなく)は松竹や東宝の有価証券報告書でも大株主として名前が出てきます。もちろん東宝の大株主にはフジ・メディア・ホールディングスが入っていますが、東宝の親会社である阪神阪急系の企業や信託銀行の信託口を除けば。フジの次にTBSが来ます。余談ですが、松竹の大株主にゼネコンが多くて驚きます。
東映の子会社の中で大きなものの一つに東映アニメーションがあります。東映アニメーションは100%子会社ではありません。JASDAQに上場しているのですね。100株持っていると株主優待でプリキュアのQUOカードがもらえるそうですよ。100株は52万円ぐらいかな。
東映アニメーションの有価証券報告書も見てみましょう。大株主の状況は以下の通りです。
(2019年3月31日現在)
- 東映株式会社 14,100 34.17
- 株式会社テレビ朝日 8,250 20.00
- 株式会社バンダイナムコホールディングス 4,537 11.00
- 株式会社フジ・メディア・ホールディングス 4,230 10.25
- 東映ビデオ株式会社 1,364 3.31
- 東映ラボ・テック株式会社 1,050 2.54
- 株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 780 1.89
- みずほ信託銀行株式会社退職給付信託ソニー株003口
(再信託受託者 資産管理サービス信託銀行株式会社)780 1.89 - 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 489 1.19
- 株式会社東映エージエンシー 324 0.79
※数字は順に所有株式数(千株)、発行済株式(自己株式を除く。)の総数に対する所有株式数の割合(%)。
※このほか、東映アニメーションの自己保有分が780千株、1.76%あります。
ここでのテレ朝は持株会社のホールディングスではなく子会社のテレビ朝日です。日曜朝のアニメ枠があるためかフジテレビの持株会社も上位に入ってきます。
ところで、有価証券報告書には【株式の保有状況】という項目があります。株式には平たく言えば売買で儲けるための株と仕事上のパートナーや取引先などの理由で持ち続ける株があります。その後者「保有目的が純投資以外の目的である投資株式」について具体的にどこの株をいくら持っていると書かれています。
たとえばTBSテレビの持株会社、東京放送ホールディングスが東京エレクトロンの株を大量に持っていることが東京放送ホールディングスの有価証券報告書に載っています。このことは昨年海外の投資家から、だったら東京エレクトロンの株を売って配当を増やせよ、とツッコまれ話題になりました。
東映や東映アニメーションの有価証券報告書ではどうなっているでしょう。
東映の特定投資株式は、貸借対照表計上額の大きい順に
- (株)バンダイナムコホールディングス
- 日本テレビホールディングス(株)
- (株)東京放送ホールディングス
- 東京急行電鉄(株)
- (株)テーオーシー(オフィスビルなどの不動産賃貸業者。なお、TOCとは「東京卸売センター」の略称だそうです。)
- (株)電通
- (株)フジ・メディア・ホールディングス
前年度との比較も載っているのですが、それずれの保有株数は変わらないのに、放送各社の金額は下がり、バンダイナムコのは1.5倍に増えています。よっぽど儲かったんですかね。
額の小さいところで、放送関係だけを抜き出すと、(株)テレビ東京ホールディングス、朝日放送グループホールディングス(株)、(株)WOWOW、日本BS放送(株)、(株)RKB毎日ホールディングスといったところがあります。テレビ朝日が載っていませんが、持分法適用関連会社なので話が別なのでしょう。
保有理由も書いてあって、東急電鉄など「友好関係維持のため」というのがいくつかありますが、他はいずれも「事業上の取引関係強化・維持のため」とあります。
東映アニメーションに関しては、バンダイナムコ、東京放送HD、フジメディアHDの3社が大きいところ。プリキュアでおなじみ朝日放送グループHDもありますが3社と比べれば額は少なめです。保有目的は4社とも「取引関係の緊密性を保持するため」。TBSで東映アニメーションが手掛けるアニメ作品ってあるんですかね。過去にあったのかな。
ついでなので、松竹と東宝についても調べてみました。
松竹は数が多い。最も金額が大きいのが万年筆のパイロットコーポレーション。子会社のパイロットインキが主として幼児向けの知育玩具を中心に、アヒル隊長、メルちゃん、ハローキティ等のキャラクター玩具などを製造・販売しているのだそうです。知らんかった。以下東京放送HD、フジメディアHD、ヤクルト本社、と続き放送関係では日本テレビHD、テレビ東京HD、朝日放送グループHDの名があります。保有目的はすべて「事業上の取引関係の維持・発展のため」。
東宝はフジメディアHDの筆頭株主ですからフジメディアHDの額が桁違いに大きくなっています。次は0101の丸井グループ。東宝の大株主の一つでもあります。東宝×丸井で福原遥ちゃん主演のオリジナルアニメーションを作ったみたいです。そのあと東京放送HD、バンダイナムコ、日本テレビHD、電通と続いていきます。少額ながらWOWOW、朝日放送グループHD、テレビ東京HDもあります。保有目的はそれぞれですが、丸井グループとは「営業取引の円滑な推進のため」、放送各社に関しては「営業上の協力関係を維持・強化するため」。
一般的にテレビ局が製作する映画も多いので、映画3社はテレビ局の持株会社の株式を持つことでつながりを持っているということになるのでしょう。
ただし、松竹、東宝ともテレ朝HDが載っていません。東映系の会社だから株を持つ必要は無いということなのでしょうか。
逆にテレビ朝日HDの特定投資株式の一覧を眺めていると、フジテレビとつながりの深い東宝は載っていませんが、松竹と松竹の筆頭株主、(株)歌舞伎座の株式を保有していることが分かります。ややこしいのですが、東映や東映アニメーションの株を持っているのはテレビ朝日HDではなくテレビ朝日です。テレビ朝日HDはリクルートホールディングス、KDDI、博報堂DYホールディングスなど一般企業やマスコミなど様々な株式を持っていることが有価証券報告書を出しているので分かるのですが、テレビ朝日HDの100%子会社であるテレビ朝日の有価証券報告書は見つからないのでテレビ朝日がどんな株を持っているのかは分かりません。
東京放送HDの有価証券報告書では『当社および連結子会社のうち、投資株式の貸借対照表計上額(投資株式計上額)が最も大きい会社(最大保有会社)である』TBSテレビの保有する株式が、東京放送HDの分とは別に書かれているんですけどね。
TBSテレビで大きいのはリクルートHD、東宝、電通、東映。以下一般企業が並びその中に松竹と(株)歌舞伎座もあります。
東京放送HDはご存知東京エレクトロン、三井不動産、スカパーJSATホールディングスが大きなところ。株式を公開している系列放送局(RKB毎日HD、新潟放送、中部日本放送、朝日放送グループHD)の株式は東京放送HDが持っています。このほかプラザ(旧ソニープラザ)などを手掛けるスタイリングライフ・ホールディングスの株式51%を持ち連結子会社としています。
テレビ東京HDには東映、松竹、(株)歌舞伎座。日本テレビHDには東映、松竹、カドカワ(株)、(株)歌舞伎座・・・あっ、角川も映画やってたんだ。テレビ朝日HDのを読み返したら少額ながらカドカワ(株)の株式を持っていました。フジメディアHDにもあります。テレビ東京HD、東京放送HD、TBSテレビにはありません。
現在のカドカワ(株)は角川書店のKADOKAWAとniconicoのドワンゴが経営統合してできているのでドワンゴの創業者だった川上量生氏が筆頭株主。大株主には信託口が多く、一般企業ではNTT、日本生命、バンダイナムコ、NTTドコモ。KADOKAWA(ややこしいが統合会社のカドカワではなく子会社のKADOKAWA)の特定投資株式はバンダイナムコが大きく、放送関係はWOWOWぐらい。カドカワは日本映画専門チャンネル・時代劇専門チャンネルの日本映画放送の大株主でもあります(もちろん日本映画放送の筆頭株主はフジメディアHD)。