アルキメデスの大戦

夜勤から帰ってきたら8月になっていました。
ひと眠りして目が覚めるとTBCラジオ「ランチボックス-L」。新海誠作品が吐くほど好きな粟津ちひろアナが、新海監督本人から映画「天気の子」の感想を求められたのにちゃんとした返事ができなかったと落ち込んでいました。「吐くほど好き」って表現を昼めし時の番組でしてしまうのもどうかと思うのですが、先週の放送でその魅力を語り局のwebサイトのアナウンサーページにも書き込んでいます。昨日はイオンシネマ名取、MOVIX仙台、TOHOシネマズ仙台の3か所で舞台挨拶があったそうで、そのどれかに参戦したのでしょうね、いや司会か。
そういえばMOVIXからこの舞台挨拶の告知のメールとともに、ポイントが期限切れになりますってメールが来ていた。MOVIX利府に洋ちゃんの映画「そらのレストラン」を見に行ってから半年になるのか。
(大した感想になっていない感想:そらのレストラン - みむめもーど
家でエアコンをつければわが家の電気代が増えるので、映画館に涼みに行こう、今日はついたちだから映画は1100円だ。思い立ちパソコンを開けてMOVIXのサイトを見ると、毎月ついたちの特別料金は1200円になってたのね。

MOVIX仙台に来たのはいつ以来だろう。久しぶり過ぎて間違ってPart2じゃなくモールの方に車を停めてしまった。連絡通路を渡ってMOVIXに入ると「天気の子」の展示、サイン入り。確かに昨日来たのね。それで、受付はこっちだったよな・・・受付はどこだ? ただのだだっ広い空間。自動券売機が4台ぐらいあるだけ。ちょこっと受付スペースはあるが、ずいぶん狭くなって。こんなに変わってしまったんだなぁ。かく言う私も自宅のパソコンで手続き済みなので、メンバーズカードを自動券売機にかざすと確認画面が出てきて画面をタッチすればチケットが出てくるのでした。
入場開始時間には映写室から受付まで長い行列。菅田将暉ってこんなに人気なのか!
(以下映画のネタバレもあるのでクリックする際は気を付けてください。)

今回見てきたのは「天気の子」ではなく菅田将暉君の「アルキメデスの大戦」です。数学で戦争を止めようとした男の話。
もちろん史実として太平洋戦争が起きたのは否定しようのないことです。従って数学で戦争を止めることはできなかったことにはなるのですが、これは本当に数学の力で戦争を止めることができるのではないかと思わせてしまうものは十分に感じられました。
悪い言い方をすると海軍の派閥争いに利用されたとも言えます。国際連盟脱退で孤立化を深め行く時期の海軍。新しい船を作ることになりました。山本五十六舘ひろし)はこれからは航空機の時代だと空母を希望します。しかし彼の兵学校時代からのライバル、嶋田繁太郎橋爪功)たちのグループは巨大戦艦の模型を提示し、これが空母より安く作れると主張します。
なぜ舘ひろし橋爪功が同級生なんだというごもっともなツッコミは却下します。山本がツッコミどころと考えたのはそこではなく、巨大戦艦が空母より安く作れるはずがない、という点でした。その絡繰りを暴ければ敵の案を却下できるのではと考えていたところに、訳有って帝大数学科を退学させられた若者と知り合うのでした。アメリカに渡って数学の研究に打ち込もうと思っていたその堅物を主計少佐として海軍に迎え入れます。
それが菅田将暉演じる甲斐、もとい(エンドロールを見るまで私はずっと甲斐だと思っていた・・・)櫂という男です。軍隊には興味は無く「美しいものを見ると測りたくなる」変態です。百年に一度の天才との触れ込みだけあって計算能力はものすごいものがあります。参考のためにもぐり込んだ別の戦艦のあらゆるところを測りまくり、専門書をサラッと読破して問題の戦艦の設計図を独力で仕上げてしまいました。それを基にその戦艦の真の工費の見積もりを出そうとするのですがさまざまな妨害を受けます。しかしそこは天才です。総工費を求める数式を作り上げてしまいます。問題の巨大戦艦は主張した見積もりの倍近く掛かることを突きつけました。
これにどう反論して無理を通すのだろうと思っていたのですが、敵側の設計士の言い分は見事でした。櫂君たちの正義感は退けられ巨大戦艦の建造が決まりました。しかし、その直後から話が大きく動いていきます。もう話は終盤なのに。数学のエンターテインメントとして楽しく観てきた私は軍人たちの裏の考え方にだんだんうすら寒くなっていきました。
巨大戦艦の建造が無くなり空母を建造することが決まった山本は、日米開戦は避けたいが開戦の際にはそれを用いた作戦があると言います。何だかわかりますね。昭和16年12月8日に実践された当時の大日本帝国を熱狂させたあれです。また、巨大戦艦の設計士、平山造船中将(田中泯)が後日櫂を呼び寄せます。平山は櫂にその巨大戦艦『大和』を完成させたい理由を打ち明け、協力を要請します。怖い、怖い。あの船にそんな理由付けがされるとは。まるでアナキン・スカイウォーカーがフォースの暗黒面に堕ちるかのようなぞくぞくする場面でした。
完成した『大和』を見て櫂は涙を流します。立派な美しい船だからではありません。山本五十六に巨大戦艦を作ることは戦争につながるから止めさせたいと言われて足を踏み入れたのに、戦争を終わらせたいという平山の言に巨大戦艦を作るのに一役買ってしまった。そしてその戦艦は史実の通りにアメリカ軍の前に為す術無く沈んでいくのですから。私も泣きました。涼を求めて映画館に行ったのにうすら寒くなって帰ることになってしまうとは。
大和の沈没シーンは映画の冒頭にあります。大和という名前は出てきません。「三丁目の夕日」シリーズなど多数のVFXを手掛ける山崎貴監督が作っているので、大和も米軍機もそこから投下される爆弾もみんな奇麗です。そして多くの若者が撃たれ、船も盛大に沈んでいきました。

エンドロールよりいくつか。
原作は「ドラゴン桜」の三田紀房さんなので漫画なのね。あれは東大受験がテーマでしたね。本作の主人公は東大の数学科にいた学生なので、何か着想に共通点があったのかな。東大に入って数学を勉強するとこんなことができますって一種のアピールにはなるかな。学校の勉強をクイズ番組以外でエンタメとして楽しむなんて滅多にないことだし。それにしても史実の合間を縫ってこんなお話が作れるんだなぁ。凄いなぁ。
櫂君が学生時代お世話になっていた造船会社のお嬢様役が浜辺美波さん。彼女の頼みもあって見積もりに協力してくれることになる大阪の造船会社の社長さん役が笑福亭鶴瓶。そうだったのか。何週間か前に偶然見た「鶴瓶の家族に乾杯」で浜辺さんが映画で造船会社の役をやったので造船所に行きたいって一人旅していたのはこれだったのか。そして鶴瓶も出てたんか。NHKで映画の番宣はできないから、こういう形でさりげなくアピールするしかなかったのか。
角替和枝さんが出てたのか。たぶん山本と櫂が出会うことになる料亭の女将。あの場に(櫂君のお世話係をさせられる年上の部下を演じた)柄本佑さんも居なかったか。これが遺作になったのですね。最後にそのことを表す英語の表示が出ていました。
製作委員会に人多すぎ。朝日に毎日に中日、新聞社だけで3つ。そして日テレ。これは来年の8月に金曜ロードショーでやるな。ちがうか、金曜ロードSHOW!か。