<地デジ>東北山間部 住民共同建築の設備が老朽化 国の支援なく費用負担に悲鳴

2018年にこんな記事を見ることになるとは考えもしませんでした。9月30日付河北新報の社会面に出ていた記事です。
<地デジ>東北山間部 住民共同建築の設備が老朽化 国の支援なく費用負担に悲鳴 | 河北新報オンラインニュース
地デジとは電器メーカーや電器屋さんが儲ける為の謀略ではなく、「電波の有効利用」を旗印にした国策です。お上がこれからはデジタルだと宣言して始めたものです。
嘘をつくなみむめも。嘘じゃないもんWikipediaに書いてあるもん。そんなものに頼っているから自分の頭で考えることができなくなるんだ、このバカモン。
見えない敵と不毛な言い合いをしていても仕方が無いのですが、たしかに地デジ化によって映像は綺麗になりました。ただそれはある程度以上の電波の強さがあればの話です。どうしても山間部では電波が弱くなるので映らなくなります。この対策として地域住民が資金を出し合ってアンテナを建てる共聴組合というものがあります。電波の入るところに建てた1本のアンテナで受けた電波を各戸に配分して地デジを見るわけです。


記事には2つの共聴組合の話が出ているのですが、ひとつはたぶんアナログテレビ放送の時代からやっていて積立金があり今回は改修費用が賄えそう。しかし『「1人暮らしの高齢者が増える中、加入世帯が減っていく可能性が高い。次の改修時の負担を考えると頭が痛い」と嘆く。』とあります。
もうひとつは地デジ化のために共聴組合を結成したようです。その時は自己負担と国からの補助金で賄ったようです。それが今年8月に落雷で電波増幅器が壊れたというアクシデントにケーブルの老朽化で数百万の費用が見込まれるらしいです。しかし『行政の補助はない。住民で負担するのは難しい』のだそうです。そして『「インターネット回線を引く方法もあるが、高齢者は月々の維持費や加入の手間を嫌う。災害情報を把握するため、視聴できない事態は避けたい。国は何か対策を講じてほしい」と訴える』のです。
徳島県あたりだと山間部にもインターネット回線が張り巡らされているらしいですが、宮城県では難しいかな、防波堤を張り巡らすのが先だし。冗談はさておき、何事にも維持管理費が掛かるという話なのだと思います。たぶん地デジ化の時に一度アンテナを建てて家まで線を引けばそれで終わりだと思っていたのでしょうが、実際はアンテナと家を結ぶケーブルは持っても20年だそうで劣化してくるので改修が必要になるのだそうです。


ググってみたら総務省のサイトに地デジ化の時につくったらしいページがまだ残っていて、『共聴施設による視聴について』というFAQのページを読んでみると、地デジ化が始まる時には国庫補助があったことが分かります。

問9.共聴施設をデジタル化する費用に関する公的補助制度はありませんか?

(辺地共聴施設)
 デジタル化に際して受信点の変更等施設の改修が必要になるなど、視聴者の負担が高額になる場合があります。その改修経費の最大1/2を国庫から補助する制度(ただし、世帯あたりの経費が3.5万円を超える場合に限る。)があります。
 また、アナログ放送は受信できていたが地上デジタル放送が受信できない、いわゆる「新たな難視」となる地域において、地上デジタル放送を視聴するために辺地共聴施設を新設するための経費の最大2/3を国庫から補助する制度(ただし、世帯あたりの経費が3.5万円を超える場合に限る。)があります。
 さらに、NHKが難視であるなどの条件を満たす場合には、NHKにおいて経費の一部を助成する制度があります。
 なお、東日本大震災等により被害を受けた共聴施設(条件有り)については、「世帯あたりの経費が3.5万円を超える場合に限る」という要件は適用せず、その整備に必要な経費の2/3を補助する制度があります。
 詳しくは、最寄りの総務省総合通信局又は市町村までお問い合わせください。

このあと(受信障害対策共聴施設)(共同住宅共聴施設)についての例が載っているのですが略しました。出典は
よくある質問(Q&A) | 地上デジタルテレビ放送のご案内
です。
たぶん記事中に出てくる共聴組合はこの制度を利用したのだと思われます。しかし『国は何か対策を講じてほしい」と訴える』のだから今になって設備の補修や更新をする際にはこの制度は適用できないのかもしれません(電波の混信に困っている地域に対しては補助があるようです)。河北の記事の文末には東北総合通信局の見解が載っていて

 東北総合通信局によると、10年3月時点で東北の山間部などで受信対策が必要だったのは約1300地点。かなりの数の共聴組合が発足したとみられる。各地から維持管理費に関する要望が上がっているとされるが、通信局の担当者は「地デジは受益者負担が原則。国として救済措置を講じるのは難しい」と話している。

だそうです。引用文中の10年というのは2010年のことです。
1軒1軒の家庭用アンテナにいちいち国がおカネを出しますと言ったらそりゃ大変でしょうけど、ふつうに家の屋根にアンテナを建ててもテレビが映らない人だと話が違うというか、国の政策として何とかしてあげることはできないものなのでしょうか。これからはコンパクトシティの世の中だから山間部に住んで居ないで電波の入るところに引っ越しなさいという政策じゃなくて。僻地に住んでるやつばっかし税金で援助してもらってズルいって僻む輩も出てくるのかな。
そうだな、民放連が値下げを要求している電波利用料を元手に補助制度を作るとかしたらどうだろう。あれは(その額を払えばテレビ放送をしてよいという“みかじめ料”では無く)電波政策に使うことを口実に始まった目的税みたいな集金だから血税じゃないし払うのはテレビ局だから、テレビを見てほしいテレビ局がテレビが映らない地域の人のために支出する形になってwin-winの関係にならないだろうか。
と夢想してみたりする。だってFM補完放送のための補助金だって元手は電波利用料だよ。新幹線のトンネルの中でケータイが使えるようにする電波遮へい対策事業の補助金も元手は電波利用料です。電波利用料は3年ごとに見直すルールになっていて時宜に適った政策に必要な金額を徴収することになっています。次の見直しの際にご一考いただければと思います。