とちぎSL日帰りの旅

はてなフォトライフには早いうちに上げておいたのですが、はてなダイアリーのコメント欄に気を取られているうちにかなり間が抜け…もとい1カ月も間が空いてしまいました。あくまで4月30日のていで書いていきます。

鉄道博物館の入場券の引換券を手に入れまして、じゃ行こうかと思ったのですがその行き帰りをどうしようか考えていたら、栃木県に土日祝日にSLを走らせている区間があることを知りました。調べていくとそれが1カ所ではなく2カ所ある。ただその2か所を周ったら鉄道博物館には行けなくなる。まぁそっちは別の日でもいいか。ということで栃木県内に2カ所あるSL走行区間を1日で巡ろうという計画を立てました。
ただし、その前日4月28-29日は部落のお祭りなので二日酔いは確実。朝起きられなかったらアウト、二日酔いでもアウト、天気が悪かったら楽しめないから行くのをやめよう。お祭りから酔って帰ってきて全力バタンキュー、嘘です、「ブラックペアン」の放送時間に目覚ましをかけて寝、時間に起き、見終わってまた寝る。そして朝。目の覚めるような晴天。奇跡的に二日酔いが軽い。神様が珍しく私に味方してくれた。それで栃木へ向かうことにしました。

と言いつつ、とりあえずの目的地はJR水戸線下館駅。栃木ではなく茨城県です。仙台駅で下館までの切符を買い小山駅に停まるやまびこに乗り小山駅で降り乗り換え。待ち時間でポケットラジオを取り出しFMアンテナ替わりのイヤホンを…イヤホンが無い。持ってくるのを忘れた。FM補完放送が聴けないではないか。AMなら聞けます。NHK第一第二、TBSラジオ文化放送ニッポン放送は確認できませんでした)そして目いっぱい回したあたりで県内の天気とか言ってるから栃木放送だな、と思いきや茨城放送。あれっ? この時私はJR水戸線に乗り換えるとすぐに県境を越え茨城県になるということに気が付いていなかったのです。宇都宮の栃木放送本局より茨城県筑西市(旧・関城町)の茨城放送県西中継局のほうが断然近い場所なのでした。
筑波(つくば)の西と書いて筑西(ちくせい)市。読みが変化するのがややこしい。下館駅でいったん降りて外に出ると、駅前のショッピングセンターの建物が市役所庁舎という石巻市のような光景。下館駅は南に関東鉄道常総線、北に真岡鐵道が出ていくターミナルです。関東鉄道のホームには可愛らしいディーゼルカーが停まっています。SLが走るのは真岡鉄道のほうです。真岡線のホームはどこだ? JRの駅員さんに尋ねると1番線ホームの奥のほうだと言います。さっき1番線に降りたはずなのに気が付かなかった。確かに人だかりができている場所がある。ここなのね。
始発の下館からSLに乗ってもよかったのですがとりあえず真岡駅まで行くことにしました。真岡と書いて「もおか」と読みます。SLの整理券と真岡までの切符とを買うと、渡された切符は全駅の駅名が印刷された紙に真岡のところにレ点を書き入れたもの。これは珍しい。写真に撮ろうと父に無断で持ってきたデジカメの電源を入れると…電池が無くなりました。そんなバカな。
真岡線の車両は基本的に緑と赤の外装なのですが、私の乗った編成はノーマルな車両ともう一両、ご当地アイドルユニットアニメ(?)「まろに☆えーる」の3人が描かれた車両が付いていました。いい歳をしたおっさんが萌え萌えな女子高生3人を眺めていいものなのかどうかと思って見つめるのは自粛しました。
真岡線は単線なのでどこかでSLとすれ違うはずです。どこにいる? 下館の2つ次の駅、折本駅に停まっていました。SLなのにディーゼル機関車に曳かれて下館に向かうのですね。写真に収めたかった。その次の「ひぐち」駅(この駅だけひらがな表記)を過ぎると茨城県から栃木県に入ります。
真岡駅で途中下車することにしたのは、そこにSLが居るからです。万一SLに乗れなかったらそこで見ればいいかと。降りていったん駅の外に出てびっくりしたのは駅舎がSLの形になっていることでした(Wikipediaに写真が出ています)。駅舎の隣にSLが居る「SLキューロク館」と言う建物があります。実はおととい4月28日に開館5周年だったそうです。私が着いた時ちょうど通称キューロクという型のSLが動いているところでした。ちなみに左奥に見えるのはD-51です。

やっと乾電池を買って写真を撮りました。以下、SLの写真撮るの下手くそ選手権みたいな感じになります。

SLもおか」は下館駅から茂木駅までの真岡線全線を土日休日に1往復します。写真は真岡駅に入線する「SLもおか」号です。3両の客車は満席で通路に立っているお客さんも結構います。車内の写真は撮りませんでしたが栃木らしくイチゴの装飾でいっぱいでした。車窓から外を見やると、のどかな山あいの田園風景。そのあぜ道というあぜ道に三脚を建ててシャッターチャンスを狙うカメラマン。やっぱりSLって憧れなのね。
終点の茂木駅に着くと、電車なら運転士さんが反対方向の運転席に移れば済む話ですがSLはそうはいきません。北向きに走ってきたSLを南向きに180度回転させないといけません。その回転をする場所を転車台というのだそうですが、そこでの転車作業は何と駅員さんが人力で回すのでした。これがこの旅一番の衝撃でした。

茂木から宇都宮までどうやって移動するかは思案のしどころでした。SLのあとを追いかけてくるディーゼル列車で元来た線路を戻り(SLはもう少し休んでから戻ります)、途中の駅で降りてバスに乗る。もしくは汽車には乗らず最初からバスに乗る。茂木駅から近くの道の駅までのバスに乗りしばし道の駅で休憩することにしました。昼食時だったので物凄い混雑でした。そして「道の駅もてぎ」からJR宇都宮駅までJRバスで移動すること約1時間。車内には何種類かの補助金で運営されていますと書かれた紙が貼ってありました。バス路線を維持するのは大変なのでしょうね。
JR宇都宮駅に着いたら餃子を食べる余裕もなくJR日光線で今市まで移動。日光線のホームだけ他のホームと装飾が違う。世界遺産は違うなぁ。本来なら観光用に作られた「いろは」号に乗れるらしいのだけど、連休中につき団体列車として使用されていたようで今回は普通の電車。「いろは」号とは途中ですれ違いました。
森を抜けJRの今市駅で降りたら東武鉄道下今市駅まで移動。戦前かと思うくらいレトロな駅舎です。ただし旧跨線橋などところどころ文化財に指定されています。乗車券とSL指定席券(全席指定です)を買ってホームに入ると、SLがバックしていくところでした。

写真左側の転車台で方向転換して客車と連結してから出発ホームに入るためにいったんバックしていきます。実は客車の後ろにディーゼル機関車が連結されているのです。それには理由がありましてあとでそうだったのかと思うことになります。

東武鉄道の「SL大樹」(たいじゅ)は下今市駅鬼怒川温泉駅の間を土日祝日などに1日3往復しています。「SLもおか」は20年以上の歴史がありますが、「SL大樹」は昨年8月に運行を開始したばかりです。開始までの経緯については下今市駅の中に展示スペースがあって知ることができます。東武鉄道のwebサイトにも特設サイトがあります。
東武鉄道では沿線の皆さんにSLに手を振って欲しいと呼びかけているようなのですが、車窓から外を見ると河川敷の公園から、道路から、自宅の庭から(!)、外に見える人たちがみんなSLに向かって手を振ってくれています。これは驚いたなぁ。車内では3両の客車それぞれに担当のアテンダントさんが付き、列車の紹介やら車内販売やら記念撮影やら(写真は撮るだけで買わなくても構わないとのことでしたが恥ずかしかったので丁重にお断りしました)。
途中スピードが緩やかになり、何かのサービスかなと思いきやさにあらず。SL走行区間は下って上る地形になっており、上り坂のパワーを補うために後ろからディーゼル機関車に押してもらう形になっているのです。
途中停まるのは東武ワールドスクウェア駅のみ。鬼怒川温泉駅でSLとはお別れです。最後の写真は鬼怒川温泉駅でSLと客車が切り離された状態です。

SLを降りてちょっと待つと快速「AIZUマウントエクスプレス」がやってきます。車内には何故か新撰組の法被が飾ってあり、会津地方の観光ポスターがそこかしこに貼ってあります。写真を撮ろうかとも思ったのですがお客さんもいたので撮りませんでした。赤べこのような(?)赤い外観です。
この列車は東武日光会津若松行きです。東武鉄道と2つの第三セクター野岩鉄道会津鉄道、さらにはJR只見線と4つの鉄道会社にまたがって走ります。鬼怒川温泉駅から新藤原駅までは東武鉄道、そこから先が野岩鉄道です。野岩(やがん)とは下野(しもつけ、栃木)と岩代(いわしろ、福島)をくっつけて作った呼び名ですが、平成の大合併でほぼ全線栃木県日光市内です(東武鬼怒川線も全線日光市内です)。市内と言っても完全な山の中ですが山に川にたまに温泉街という風景も初めて乗る路線の風景なので飽きずに見ていられます。
福島県に入って最初の駅、会津高原尾瀬口国鉄時代は違う名前だったよなぁ)で野岩鉄道から会津鉄道に変わると日が沈みます。会津田島駅で後ろの車両が切り離されてしまうと会津若松までは1両だけ。さよなら後ろの車両。気が付かなかったのだけど電車じゃなくディーゼル車だったのね。会津田島までは電化区間なのだけどここから先は非電化区間、架線がありません。
外は真っ暗、これと言って見える景色も無く1時間、正直くじけそうでした。乗り物の旅は外が見えないとダメだな。西若松駅に着いても鶴ヶ城は見えません。
会津若松駅に着きました。夕食調達のために改札を出たのだけど売店が閉店する時間、駅弁はすでに売り切れ。止むを得ずキオスク(じゃなくて今は「NEW DAYS」って言うのね)でおにぎりとお茶を買い、切符を買って磐越西線の電車に飛び込みました。はてさて何処で夕食を調達しておけばよかったのだろう。SLの車内販売ではお土産やお菓子はあったけど駅弁は無かったし。新幹線で仙台まで行くしかなかったのかな。

そんなこんなで朝6時半から夜11時までほぼ列車移動という日帰り旅行でした。