東日本大震災の臨時災害放送局、3月で全て閉局

すでにコメント欄にも情報が寄せられていますが、東日本大震災を受けて設置された臨時災害放送局がこの春すべて姿を消すことになりました。
私は日ごろいわゆるネットニュースを見ないので気が付かなかったのですが、はてなアンテナに入れてある放送に関する情報を集めたブログ『某放送関係者のヒトリゴト。』さん(基本的には中の人のツイートのまとめ)が昨年末のうちに福島県内の臨時災害放送局の閉局を伝えていました。
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20171227-231309.php
あれっ、リンク切れになっている。web.archive.orgの力を借りよう。福島民友ニュース『お疲れさま...「災害FM」閉局へ 地元密着放送局に大きな転機』(2017年12月27日 08時00分 )という記事によりますと、

 東日本大震災東京電力福島第1原発事故後、富岡町が開局した臨時災害放送局「おだがいさまFM」が本年度で放送を終了し、閉局することが26日決まった。同じく南相馬市臨時災害放送局南相馬ひばりエフエム」も本年度末の閉局を検討していることが同日までに関係者への取材で分かった。震災発生から来年で丸7年。被災地で災害情報や生活情報などを発信してきた地元密着の放送局は大きな転機を迎えた。

(記事中の26日、同日とあるのは昨年の12月26日のこと、来年とあるのは2018年のことです。)
福島県富岡町郡山市で運用している「おだがいさまFM」については

 町の担当者は閉局について「震災から6年以上が経過し、臨時災害FMとしての役割は薄れてきた。避難指示も一部で解除され、形を変えた方がいいという結論になった」と説明。来年度以降は「まだ検討段階」とした上で、「郡山市富岡町をはじめ、全町民に情報を届けられる方法を考えている」とした。

南相馬市の「南相馬ひばりエフエム」については

 同エフエムは当初、震災発生後2年で終了の予定だったが、市の復興は終わらないとして放送を延長してきた。しかし昨年7月に帰還困難区域を除く地域で避難指示が解除され、既に1年以上が経過したことなどから一定程度の役割を果たしたとして、市は本年度末での閉局を検討している。市の担当者は「住民に身近なメディアとして役割を果たしてきたが、あくまで臨時的な放送局。今後はコミュニティー放送への移行も視野に入れている。最終的な判断は1月中旬以降になる見通し」と説明。市によると、運営には復興庁の復興交付金を活用しているが、年間約2500万円がかかるという。

と、それぞれ書かれていました。
こちらのブログは福島民友を引用することが多いのですが、ググってみたらライバル紙福島民報のサイトには同様の記事がまだ残っていました。
2018年3月で終了 富岡町の「おだがいさまFM」 | 東日本大震災 | 福島民報 (2017/12/28 11:37)
まず記事タイトルの「おだがいさまFM」については

 富岡町東京電力福島第一原発事故により多くの町民が避難している郡山市に開局した臨時災害FM局「おだがいさまFM」が来年3月で放送を終了する見通しとなった。町は27日までに総務省東北総合通信局に対し免許更新を求めない方針を決めた。
 東日本大震災原発事故から6年以上が過ぎ、4月に帰還困難区域を除いて町の避難指示が解除された。少しずつだが町民の帰還が進んでいることを踏まえ、町はおだがいさまFMが臨時災害FMとして一定の役割を終えたと判断した。町は今後、町議会や町民に対し、今年度での放送終了を説明するとともに、町民に対する新たな情報提供の方策を検討する。

南相馬ひばりFM」については

 南相馬市臨時災害放送局南相馬ひばりエフエム」は、市が今年度末の閉局を検討している。市から運営を委託されている栄町商店街振興組合は継続に向けて、コミュニティー放送への移行を目指してスポンサーなどを探すことにしている。

とあります。福島民報ではちょっと福島民友とは切り口が違って見えます。具体的に3月の何日に閉局するのかに関しては、「おだがいさまFM」についてはよくわかりません。局のホームページにはそれらしき記述が見当たりません。相変わらずの情弱ですみません。「南相馬ひばりFM」については2月1日付で「広報みなみそうま」や局のtwitterで3月25日(日曜日)閉局と発表されています。当日は特別番組が予定されているようです。


そして、岩手県には陸前高田市に「陸前高田災害FM」がありました。
3月16日(金曜日)に閉局することに決めたそうです。
地元紙、岩手日報は2月22日付で閉局を伝えていますが、2月19日に市長記者会見で『「目的を果たした」と感謝した』という短い記事になっています。これは毎日新聞の記事を引用したほうがよさそうです。2月18日付の記事です。
東日本大震災:4県臨災FM全て閉局へ 復興進み役割終了 - 毎日新聞

 陸前高田災害FMは2年前から、年1000万円弱の事業費を国の被災者支援総合交付金で賄ってきたが、国から「現在の放送内容は災害放送といえず、来年度以降は交付金は出せない」と告げられた。陸前高田市は「交付金打ち切りはやむを得ない」と話す。

Wikipedia臨時災害放送局を引くと運用の節で『臨時災害放送局放送法第108条にいう「被害を軽減するために役立つ放送」をするものであるが、放送事項は市町村や関連機関からの伝達事項ばかりでなく、精神的な被害を軽減する音楽やお笑いなどの軽い娯楽なども容認される。』と書かれています。
では具体的にどんな番組を放送しているのでしょう。局のサイトを探すとアメブロに移ったとのこと。そのブログを眺めていると、月曜から金曜の朝8時と夕方5時に30分の生番組。朝の番組は朝9時と正午に再放送。それぞれ放送後に広報のお知らせを30分がつきます。それ以外の時間は音楽を流したり、時には「川柳575便」のような他局制作の番組を流したり。夜7時から翌朝8時までは音楽を流す。土日は再放送の時間。
失礼を承知で言えば、大槌や釜石のさいがいエフエムだってこんなもんじゃなかったですか。名取だって、始めのうちは生放送の時間はもっと長かったのにコミュニティFMに移行する直前には陸前高田の現状と大して変わらない感じにまで落ち込んでいきましたよ。だってお金が無いんだもん(広告収入が期待できない補助金頼みの運営)。
陸前高田に関しては当初隣町の大船渡市にはさいがいエフエムがあったので、1つのコールサインで2つの周波数を得て大船渡向けと陸前高田向けの1局2波の放送をしていたのでした。FM802FM COCOLOもびっくりの臨機中の臨機の措置だと思います。この事態が8か月ほど続き、陸前高田向けの周波数を使って陸前高田の災害FMが開局することとなります。大船渡の災害FMは開局から2年でコミュニティFM局になりました。
町の規模が違うのでしょう。だからと言って、名取市民に隣町の岩沼もしくは仙台と合併してしまえと言ったら怒り狂うように、陸前高田市に大船渡のコミュニティFMと合併すればいいのにと言ったら怒られるでしょうね。
読売新聞の記事(2018年01月18日)
避難民の「心のインフラ」福島災害FM局ゼロへ : 国内 : 読売新聞オンライン
にあるように、臨時災害放送局には「心のインフラ」という側面はあったのかもしれません。でも臨時災害放送局はあくまで臨時のものであって、復興し終わるまで何年でも続いていかなければならないというのは違うと思います。できるだけ短い期間で別の手段に換えなければならないのだと思います。伝達手段としてなら富岡町にはスマホアプリ、南相馬市にはワンセグのエリア放送があります。問題は交流手段としての在り方ですよね。仮設住宅から災害公営住宅に引っ越せたものの隣人が誰だか分からないし今更繋がりを新しく作るのが億劫だ、だからと言って震災前に自分が属していたコミュニティは物理的に破壊されるか離散して自然消滅するかして今や存在しない。県域ラジオ局がかつてのコミュニティのための時間を取ってあげるというのも一つの方法かもしれないかな。ワイド番組のどうでもいい1コーナーを・・・うちの番組にどうでもいいコーナーなんて無い! って怒鳴られるか。役に立つ情報から役に立たないダジャレまで全部ひっくるめてひとつのエンターテインメントなんだから。
相変わらずうまくまとまりません。ごめんなさい。